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日本企業の行動加速 COP27で世界に発信
NIKKEI脱炭素プロジェクト COP27シンポジウム

カーボンゼロ
NIKKEI脱炭素プロジェクト
2022/12/13 22:00
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日本経済新聞社は11月、エジプト北東部シャルムエルシェイクで開催された第27回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP27)の会場内で、NIKKEI脱炭素プロジェクトCOP27シンポジウム「脱炭素への逆風を超えて 日本企業の最新の取り組み」を実施し、現地からライブ配信した。プロジェクト参画企業のトップらが自社の取り組みを世界に英語で直接発信した。

COP27は支援基金創設などを盛り込んだ合意文書を採択して閉幕(エジプト・シャルムエルシェイクの会場入り口)

COP27は支援基金創設などを盛り込んだ合意文書を採択して閉幕(エジプト・シャルムエルシェイクの会場入り口)

温暖化ガス排出ゼロに決意

シンポジウムは日本政府が会場内に設営したジャパンパビリオンで開いた。ビデオメッセージにオンラインとリアルの登壇を組み合わせた講演とパネルディスカッションの2部構成で、11月14日午後1時(日本時間午後8時)から実施した。

日本や開催国エジプトのほか、米国、中国、韓国、シンガポール、インドネシア、ベトナム、ニュージーランド、クウェートなど世界各国から広く視聴者を集めた。会場でもセミナースペースからあふれた立ち見客が出るなど関心が高かった。

NIKKEI脱炭素プロジェクトがCOPの会場から配信したのは昨年英国で開かれたCOP26に続いて2回目。

NIKKEI脱炭素委員会の委員長を務める高村ゆかり東京大学未来ビジョン研究センター教授は「今年の共通キーワードはアクションだ」と述べ、行動を加速する必要性を強調。気温上昇を産業革命前に比べ1.5度以内に抑え、公正で包括的かつ持続可能な社会を実現するため、遅くとも2050年までに温暖化ガス排出の実質ゼロを目指す決意を示した。

ジャパンパビリオンはセミナースペースと展示スペースで構成。13の技術や取り組みを実地展示したほか、21の技術についてオンライン展示した。環境省によると、COP会合中に多岐にわたるテーマで43件のセミナーを開催した。

COP27は11月6日にシナイ半島のほぼ先端に位置するリゾート地シャルムエルシェイクで開幕した。会期を延長して同月20日、気象災害で「損失と被害」を受けた途上国の支援基金創設などを盛り込んだ合意文書を採択して閉幕した。

直接語りかける意義

NIKKEI脱炭素委員会委員長 東京大学 未来ビジョン研究センター教授 高村ゆかり氏

日本企業やその経営者は、実際は多くの活動をしているにもかかわらず、社会に対して直接メッセージを語ることが少なかったように感じる。その意味でこのイベントは、企業のトップが直接、その理念と思いを語りかける素晴らしいチャンスだ。

エネルギー価格の高騰など企業をめぐる環境は厳しい。様々な課題に直面しつつも、強い決意を持って、1・5度以内に気温上昇を抑えるために、ネットゼロの達成に向けて果敢に取り組む企業の姿を多くの方に知ってもらえたと思う。

幅広い層の参加必須

環境省地球環境審議官 小野洋氏

日本政府として緩和、適応、資金、「損失と被害」に至るまでバランスの取れた成果を期待している。特に損失と被害の議論には、日本の優れた防災・早期警戒技術が生かせるので、積極的に関与していきたい。今回のCOP27のスローガンの一つが「実施に向けて共に」。気候変動問題を前に進めるためには民間企業の関与が不可欠だ。民間企業に加え非政府組織(NGO)や市民社会、国際機関なども巻き込んでいくことで、カーボンニュートラルという共通の目標を達成することができる。

ジャパンパビリオンでは技術や取り組みを展示し、セミナーも連日実施

ジャパンパビリオンでは技術や取り組みを展示し、セミナーも連日実施

国境越えノウハウ共有

日本コカ・コーラ社長 ホルヘ・ガルドゥニョ氏

ビジネスとESG(環境・社会・企業統治)は不可分だ。当社は2030年までに二酸化炭素(CO2)排出量を25%削減し、50年までにゼロにするのが目標だ。スコープ1、2の削減では輸送の効率化のほか、東京本社と守山工場(滋賀県守山市)で使用電力の100%を再生可能エネルギーで賄っている。

当社の排出量の大半はスコープ3で、サプライヤーとの連携が重要だ。消費電力を抑えた機器の開発に継続的に取り組んでいる。13年に導入を始めたピークシフト自販機は最大16時間冷却しなくても冷たい飲料を24時間提供できる。昼間の電力消費量を95%減らした。国内の自販機の85%が省エネタイプだ。

ペットボトルのリサイクルにも取り組んでいる。100%リサイクルボトルは従来型に比べ排出量を60%削減できる。国内リサイクル率は22年1〜3月に50%を超えた。

20年に日本で初めて導入したラベルレスパッケージは、韓国、香港、中国本土に拡大している。国境を越えてノウハウを共有し、持続可能でより良い未来をつくりたい。

湿地再生、防災も寄与

三井住友海上火災保険経営企画部SX推進チーム課長 浦嶋裕子氏

毎年世界各地で異常気象が発生し壊滅的な気象災害が発生している。気候変動は不可逆的で、手遅れになる前に気温上昇2度、可能な限り1.5度以内を維持するために超低排出、あるいは低排出のシナリオに軌道修正する必要がある。

当社グループは排出削減や引き受け、投融資における排出量も含め2050年までのネットゼロ達成を公約している。6月には保険会社の国際的なイニシアチブである「ネットゼロ・インシュアランス・アライアンス」(NZIA)に加盟した。

保険で経済的な補償を提供するだけでなく、災害を未然に防ぐ取り組みが求められている。気候変動リスク評価の共同研究に基づくグローバルなハザードマップの作成や、自然災害発生時の情報サービスも開発している。

当社はこのたび、自然を活用した防災減災を実現する新たなコミュニティープログラムを立ち上げた。生物多様性の向上と防災を同時に実現する湿地再生だ。また、藻場の再生によるブルーカーボンの創出と海洋生態系の改善に向けた取り組みも始める。

森林を育て生かす

王子ホールディングス社長 磯野裕之氏

パルプ、紙、包装資材などに加え、植林、エネルギー、木材、フィルム事業を手がけている。「王子の森」と呼ぶ森林を世界で57.3万ヘクタール保有し、年間平均65万3000トンのCO2を吸収している。「森林を健全に育て、その森林資源を活(い)かした製品を創造し、社会に届ける」というパーパス(存在意義)を定めた。

森林には様々な公益的機能がある。CO2を吸収・固定するのみならず、生物多様性や土壌、水資源を守っている。人々の健康増進、癒やし、レクリエーションを提供する機能もある。ブラジルの子会社、CENIBRA(セニブラ)では、絶滅危惧種などの生物を保護し、モニタリングを実施している。

森林は再生可能な資源でもある。木材や紙、あるいはエネルギー資源として利用されてきた。今後はプラスチック包装の代替素材としても期待され、紙由来の包装はプラスチックの包装に比べてCO2排出量を60%削減できる事例もある。

木質由来のバイオマスプラスチック、バイオ燃料や医薬品なども生産されるようになるだろう。

様々な組織と連携

ボストン・コンサルティング・グループ日本支社長兼北東アジア総責任者 佐々木靖氏

昨年のCOP26に続き、今回も唯一のコンサルティング・パートナーとして解決策を探る。COP27ではソリューションや社会実装についての議論がされている。それこそまさに私たちが行っていることで、気候変動に関するイノベーションを特定して活用、規模に応じてサステナビリティーを事業に組み入れ、企業が自ら創出した価値を活用できるよう支援している。

各国政府が掲げる排出量実質ゼロの実現に向けた取り組みも支援し、日本では経済産業省とともにグリーントランスフォーメーション(GX)に取り組み、エネルギーの組み合わせや産業構造の最適化について議論している。環境省とも共同でCO2排出量削減の計画策定を支援するプロジェクトを実施している。

また、ネットゼロに関する国際的な議論の形成に関しても積極的に様々な組織と協力している。

ネットゼロエミッションの実現は、企業や政府による個々の努力だけでは困難だ。当社は今後も顧客や様々な組織と連携し、社会全体に貢献することにより一層力を注いでいく。

移行企業をサポート

大和証券グループ本社副社長 田代桂子氏

当社は資本市場に位置する企業として脱炭素の実現に向けて世界に貢献する義務がある。同じ目標を持つ国々や企業と投資家をつなぐ仲介役として責務を果たす。再生可能エネルギーに関連する様々な事業に投資していく。

2021年8月にカーボンニュートラル宣言を発表した。30年までにスコープ1、2を、50年までにスコープ3の排出量をネットゼロにする目標を掲げた。スコープ3では投融資に伴う排出が大きな割合を占める。

脱炭素への移行期にある企業が資本市場にアクセスするために支援すべきだ。移行を現実のものとするには多額の投資が必要だ。大和証券は2月に航空業界初となる日本航空(JAL)のトランジションボンド(移行債)の事務主幹事を務めた。

子会社の大和エナジー・インフラは世界最大級となる英国の洋上風力発電プロジェクトに投資した。また国内13カ所で再エネを発電し、累積投資残高は10億ドルを超える。大和証券グループはこの世界をより良いものにするために未来に向けて変わり続けていく。

研究開発に積極投資

日本ガイシ社長 小林茂氏

当社は創業以来、独自のセラミック技術で地球規模の課題解決に貢献してきた。今後10年間は研究開発投資を積極的に行い、その8割をカーボンニュートラルとデジタル社会の分野に投入する予定だ。今年はNV(ニューバリュー)推進本部を新設した。マーケティング重視の開発を推進し、事業化を加速させる。

我々の技術を2つ紹介する。大容量蓄電池であるNAS電池は、再生可能エネルギーの活用に役立つ技術として期待されている。電力会社や地方自治体との共同開発に取り組む。

2つめはCO2の回収・再利用・貯留(CCUS)で重要な役割を果たすセラミック技術だ。当社のサブナノセラミック膜は、混合ガスからCO2を分離することが可能。米国で日揮グローバルと独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が行う実証試験に採用されている。

大気中のCO2を直接回収することが可能な新技術にも挑戦している。当社はセラミックスのスペシャリストとして世界に新しい価値を提供し続ける。

企業の持続的成長を支援

EY Japan チーフ・サステナビリティ・オフィサー 滝沢徳也氏

EYは20年以上にわたりサステナビリティー(持続可能性)とESG関連のサービスを提供している。実績と専門スキルを駆使して企業の課題解決を支援している。

最近発行したリポート「グローバル気候変動リスクバロメーター」を紹介したい。日本はほかの先進国と同様に大企業に気候変動関連の財務情報の開示を義務付けている。しかし多くの企業は気候変動リスクを開示するようになっているが、直面する課題について十分な説明をしていない。それに加えて、気候関連項目の財務諸表で定性的かつ定量的に参照していたのは、対象企業の29%にとどまる。

当社は①戦略の再構築②変革の加速③運用と管理④信頼の構築――のアジェンダにまたがるクライアント企業の価値を守り、新たな価値を見いだす。

EYは22年6月期に2期連続でカーボンネガティブを達成し、25年のネットゼロを目指している。「より良い社会の構築を目指して」が当社のパーパスだ。クライアントの持続的成長を支援していく。

最適な解決策用意

JERA取締役副社長執行役員 奥田久栄氏

当社はフルバリューチェーンを有し、日本の電力需要の約30%を発電している。液化天然ガス(LNG)取引量は年間3700万トンで世界最大級。50年に向けエネルギーの安定供給と適正価格を維持しながらCO2排出量を着実に減らす方針で、そのために3つのアプローチをとる。

1つは水素やアンモニアを燃料とするCO2排出ゼロの火力発電と再生可能エネルギーの補完関係を構築すること。2つめは各国に適したロードマップの作成、3つめがスマートトランジションの推進で今ある技術で今できることを行う。

地球温暖化の問題を解決するためにはすべての国の取り組みが必要だ。しかし、エネルギー需給の状況は国によって違うため、様々な選択肢を脱炭素化に向けて用意する必要がある。当社は様々なソリューションを用意し、各国に最適なソリューションを提供する。

再生可能エネルギーを補完するシステムの組み合わせもまた各国、異なる。ゼロエミッション火力がオプションに追加されることで、再エネの増加につながる国もあると考えている。

パネルディスカッション

技術や金融の力で貢献

第2部では三浦工業社長執行役員CEOの宮内大介氏=写真左、みずほフィナンシャルグループサステナブルビジネス部サステナビリティ・チーフストラテジストの伊井幸恵氏=写真右=が登壇。コーディネーターは高村ゆかり氏、コメンテーターは日本経済新聞社編集委員兼論説委員の安藤淳が務めた。

第2部では三浦工業社長執行役員CEOの宮内大介氏=写真左、みずほフィナンシャルグループサステナブルビジネス部サステナビリティ・チーフストラテジストの伊井幸恵氏=写真右=が登壇。コーディネーターは高村ゆかり氏、コメンテーターは日本経済新聞社編集委員兼論説委員の安藤淳が務めた。

宮内 ボイラーメーカーの経営トップとして、産業部門の熱利用をいかに脱炭素に導くかについて話したい。二酸化炭素(CO2)排出量を減らすには、まずエネルギー消費量を減らす必要がある。きのうまでにやっておくべきことだが、残念ながら十分ではない。低炭素の電力や低炭素の燃料を用いた電動化も必要だ。

我々は短期的にはヒートポンプを拡大したい。未利用の熱を回収することで効率が非常に高い。2050年に向けてボイラーの25%がヒートポンプで代替できるだろう。ヒートポンプは熱源と熱需要を把握し、顧客の状況に合わせたシステムデザインが必要だ。

長期的には低炭素の燃料が必須だ。水素は一つの候補だが、安全性、環境性、経済性の3つの理由から現時点で燃料として普及していない。この課題に対する解決策を当社は提供したい。窒素による閉じ込めや火炎防止器を駆使し安全性を確保する。環境面では低NOx(窒素酸化物)バーナーを開発した。経済性ではコントロールシステムを用いて効率よくエネルギーに変えられる。

伊井 気候変動など環境・社会課題に対応するために企業は事業環境の変化を織り込んだ経営計画を策定し、サステナビリティー経営を実現することが必要になっている。50年のあるべき姿を設定し、バックキャスティングでマイルストーンを設定する。しかし一足飛びに変わることはできない。そこで短期的には省エネや電化、中長期的には事業モデルの変革・転換が必要だと考えている。

脱炭素の実現と企業価値の向上を両立させることが日本の産業界の課題。我々のアプローチはサステナブルファイナンスといった金融面のみならず、事業戦略、つまり非金融面にもサステナビリティーを組み込んでいくこと。金融、非金融の支援を通じて企業の脱炭素化を支援している。

高村 脱炭素に向けた課題は何か。

伊井 低炭素社会に向かう上で2つの側面のバランスを取ることが重要だ。急に脱炭素にシフトし、日々の生活や経済活動が中断してはならない。50年に向けて秩序だった移行が必要だ。ロシア・ウクライナ問題など、社会や経済の情勢にサステナビリティーの取り組みは影響を受けている。当社は低炭素社会の実現に貢献し、移行期における企業の新技術・事業などを支援するためにプロジェクトへの出資を始めた。融資のみならず出資を通じた金融機能の提供と高い産業知見の活用が我々の核心になっている。

高村 最後に強調したいことは。

宮内 ネットゼロという目標と現実のギャップが大きくなっている。だから、小さなことでもやっていきましょう。

伊井 金融・非金融の力でサポートしたい。また、ファイナンスだけではなく、出資という形でも脱炭素を支援したい。

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