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未来見据え経営に決意 排出ゼロへの道筋示す
NIKKEI脱炭素プロジェクト第2回シンポジウム

カーボンゼロ
NIKKEI脱炭素プロジェクト
2022/4/13 22:00
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日本経済新聞社はNIKKEI脱炭素プロジェクトの第2回シンポジウム「脱炭素経営への決意~1.5度目標で考える地球の未来~」をライブ配信形式で3月に開催した。2050年に二酸化炭素(CO2)排出量の実質ゼロを実現するため、プロジェクト参画企業がそれぞれ決意を表明した。気候変動対策は喫緊の課題だ。持続可能な社会を形成し、次世代に地球を引き継ぐためにもあらゆるステークホルダーを巻き込んでいく必要がある。

シンポジウムで2021年度の活動を締めくくった(3月、日経ホール)

シンポジウムで2021年度の活動を締めくくった(3月、日経ホール)

「1.5度目標」明確に 対策の拡充も欠かせず


NIKKEI脱炭素委員会 高村ゆかり委員長

第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)でグラスゴー気候合意が採択され1.5度が達成目標として確認された。途上国、新興国も意欲的な温暖化ガス排出量の実質ゼロ目標を掲げ、多数のイニシアチブが立ち上がった。石炭からクリーン電力への移行声明には、石炭火力に大きく依存している韓国、インドネシアなどを含めて46カ国が署名した。

もう一つの大きなトレンドは排出量実質ゼロに向かう金融系の動きだ。ある機関投資家グループは、50年までに自社だけでなく投資先も含めて温暖化ガスの排出量を実質ゼロにする目標を打ち出している。同じような取り組みは資産運用会社にも広がってきた。

しかし現状では30年までに多くの温暖化ガスが排出されてしまう。そのため目標引き上げが行われる予定で、25年には35年目標の提出が奨励されている。

未来を見据えた取り組みを今から考えていく必要がある。気候変動に関する政府間パネルIPCCの第6次評価報告書によれば、気候変動の影響は広範で想定よりも深刻だ。排出量が変わらなければ悪化は避けられず、気候変動対応を企業経営に統合する政策がとられるようになってきた。

自然資本についての情報開示を進める指針づくりも進み、企業は気候変動、持続可能な社会形成という課題にどう応えていくのかが国際的に問われている。

日本の脱炭素化 後押し


 プロジェクトは日本経済新聞社が日本の脱炭素社会への移行を後押しするために始めた。9人の専門家で構成するNIKKEI脱炭素委員会(委員長・高村ゆかり東京大学未来ビジョン研究センター教授)と参画企業による円卓会議、テーマに応じた分科会、ユース団体との対話会、COP26でのサイドイベントなどを開催。意識調査やアワードの選定も実施してきた。
21年度の活動を締めくくる第2回シンポジウムではアワードの授賞式をオンラインで開いたほか、プロジェクトの宣言を公表した。22年度もプロジェクトを継続し、脱炭素社会の実現に向けて議論を深めていくと同時に、多面的に日本の脱炭素化を促していく。

投資市場発展欠かせず

大和証券グループ本社社長CEO 中田誠司氏

気候変動対策である脱炭素は最重要課題の一つだ。温暖化ガス排出量ゼロに向け資産運用会社の国際的イニシアチブへの加盟機関は20年12月の発足当初30団体だったが、22年2月には236団体に増えて運用資産合計は57兆㌦を突破。資産運用業界における取り組みは急拡大している。

こうした国際機関や国、企業と、個人や法人の投資家をつなぐことが証券会社の重要な役割だ。同時に、本格的な人生100年時代が到来するなか、資産形成のサポートも大きな使命だ。

社会課題を意識したESG投資は中長期でリターンの最大化を目指す投資手法で、人生100年時代に適している。SDGsの観点を踏まえた投資行動で、個人の資産形成と社会課題の解決が同時に可能になる。

近年はエクイティーファイナンス分野にサステナビリティーを求める動きがみられる。SDGs債は年々発行額が増えて債券市場の一大トレンドだ。脱炭素への移行のための資金調達手段としてトランジションボンドも注目される。ESG投資市場のさらなる発展は脱炭素の実現に必要不可欠だが、グリーンウオッシュ回避が今後の課題だ。

先行者にメリットある

AfterFIT代表取締役 谷本貫造氏

脱炭素経営を5つのステージに分けると、日本企業の多くはステージ1、2にとどまっている。ステージ1は工場や店舗の屋根に太陽光パネルをつける自家消費モデル。ステージ2は太陽光で電力を賄えない時間帯に非化石証書のある電力を使って実質再生可能エネルギーにするモデルだ。

ステージ3は日中に自社工場が使う電気分を全部再生エネで賄うモデル。工場の屋根で発電量が足りなければ遠隔地自己託送するなど、国民負担となるFITに頼らず賄うため、より環境価値が高いとされる。

ステージ4は総容量マッチングで夜など太陽光発電できない時間帯の電力も追加の環境価値を総容量で合わせ、事実上すべて再生エネで賄う。ステージ4に必要なバーチャルPPAの実現には膨大な太陽光発電所が必要になる。

ステージ5の全時間マッチングは現段階で達成できている企業はない。当社はステージ4実現のためAIを気象予測や適地発見に用い、変動電源の安定供給に取り組んでいる。脱炭素経営は先行者にメリットがある。ステージ2くらいまでは進め、自社専用の発電所を早めに確保すべきだ。

商業施設の駐車場に設置する「ソーラーカーポート」にも取り組む

商業施設の駐車場に設置する「ソーラーカーポート」にも取り組む

無駄省き熱を効率利用

三浦工業社長執行役員CEO 宮内大介氏

日本の産業用ボイラーの総蒸発量を電気換算すると原発113基分の容量となる。ボイラーは化石燃料を燃やして熱をつくり、脱炭素に大きく関与している。

まず30年度の46%削減が非常に重要な通過点だ。19年度の日本のCO2排出量は約11億㌧。うち産業部門が約4分の1でさらにその約60%が熱利用だ。うち約1割をミウラのボイラーが占め、2000万㌧のCO2を排出している。

これをどう減らし、ゼロにしていくのかが我々の大きな役割だ。既存設備活用とエネルギー転換のバランスを取りながら2段階で脱炭素へ取り組んでいく。

ステージ1では無駄の徹底排除で熱の需要を減らしていく。需要を熟知したフィールドエンジニア(熱ソムリエ)が熱使用の可視化と徹底的な省エネ提案を行う。

石油ボイラーが30年にすべてガスボイラーになれば、CO2は2000万㌧を切る。コンプレッサーから拾った熱をボイラーで回収できれば、年間で62万㌧程度を削減できる。ボイラーとヒートポンプを組み合わせればCO2とともにランニングコストも抑えられる。ステージ2では、水素を中心に新しい燃料への転換も見据えた新商品を開発する。

フィールドエンジニアが徹底的な省エネを提案

フィールドエンジニアが徹底的な省エネを提案

「情報開示元年」迎える

EY Japanリージョナル・アカウンツ・リーダー 滝沢徳也氏

パリ協定で棚上げになっていた炭素排出量取引の円滑化がCOP26では合意。石炭の削減、メタンも数値目標として30%の削減が宣言された。開発途上国の気候対策に先進国が支援を増やすことも確認された。

ネットゼロのためのグラスゴー金融連合(GFANZ)という金融機関連合の総資産が130兆㌦、日本円で1京超という非常に大きな資産でネットゼロに取り組むと話題になった。国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が設立され、情報開示基準を出す。22年は開示元年となる。

金融機関から資金調達する一般企業にも大きく影響する。世界では現在6000超の地方政府が脱炭素に取り組んでいる。これによりなくなる産業もあるが、6500万の新しい雇用が生まれる。電気自動車へのシフトも確実に起こる。

企業の立ち位置がどこにあるのか。何ができ、何をすべきか。サステナブルファイナンスで継続して資金提供を受けるには長期的に目指す方向性を策定し、非財務価値を考慮した上で、複数のステークホルダーと関わることが重要だ。EYはカーボンネガティブを達成した。自ら道筋を示して企業を多面的に支援する。

電源開発に投資を継続

九州電力社長 池辺和弘氏

社会と企業のサステナビリティーにはビジネスを通じて社会価値と経済価値を同時に追求することが必要だ。この観点から「サステナビリティ推進委員会」を設け、気候変動を筆頭に課題を抽出して戦略・基本方針を議論している。

「九電グループカーボンニュートラルビジョン2050」に基づき電源の低・脱炭素化と電化の推進に挑戦する。業界トップランナーとして「九電グループカーボンニュートラル実現に向けたアクションプラン」を掲げ、サプライチェーンの温暖化ガスを50年に実質ゼロにすると打ち出した。

電源の低・脱炭素化に5年間で約8000億円を投じて再生エネの導入拡大などを推進してきた。今後5年間は約5000億円を投資し、再生エネの主力電源化、原子力の活用、水素など新技術の導入に充てる。

海外では、世界最大級のサルーラ地熱発電プロジェクトへ07年に参画。20年には地熱技術サービス会社のサーモケムも買収した。

電化の推進では家庭部門はオール電化、業務部門では高効率なヒートポンプシステムなどを提案。50年よりも早期の「カーボンマイナス」実現に挑戦する。

国内最大級の地熱発電所も保有(大分県九重町)

国内最大級の地熱発電所も保有(大分県九重町)

循環型森林経営で貢献

住友林業社長 光吉敏郎氏

長期ビジョン「Mission TREEING 2030」を策定し、地球環境や社会、経済活動への価値提供により地球が将来、快適な住まいとして受け継がれることを目指している。国内で約4万8000㌶、海外では約23万1000㌶の森林を保有・管理し、CO2吸収量で自社のカーボンネガティブは達成したが、バリューチェーン全体では削減努力が必要だ。

森林のCO2吸収量をいかに増やすかがカギ。世界では森林減少を食い止め、日本では高齢化した経済林の伐採・再植林が大事だ。保護林と、植林と伐採のサイクルを回す経済林のゾーニングにより、循環型森林経営を行っている。また森林、木材、建築の分野で成長と脱炭素社会への貢献を両立させる事業を推進。ウッドサイクルを回して社会全体の脱炭素に貢献する。

IHIとの協業「ネクスト・フォレスト」プロジェクトでは、両社の技術を合わせた先進的な森林経営を行う。木材ではウッドチェンジを推進し、木材コンビナート設立の検討も始めた。建築においてはZEHやLCCM住宅、CO2排出量の見える化や環境ラベルEPDの普及も推進する。

社有林で生物多様性も

王子ホールディングス会長 矢嶋進氏

経営理念に「環境・社会との共生」を掲げ環境問題に取り組んでいる。20年に定めた「環境ビジョン2050」は温暖化ガスの排出実質ゼロに向けた取り組みだ。持続可能な森林経営には自然との調整が必要。生物多様性の保全と環境負荷の低減を図る。何をすべきかマイルストーンを明示したのが「環境行動目標2030」だ。18年に783万6000㌧だった温暖化ガス排出量を30年までに7割削減することが骨子だ。

気候変動問題への対応では排出量の削減に加え、森林を育ててきた歴史と技術の強みを生かし森林によるCO2吸収量を拡大させる。海外での森林面積拡大、早生樹の植林によりCO2吸収を促進していく。

生態系への配慮、希少動植物の保護・育成では、環境保全林を独自に設定して原則伐採はしない。四国の社有林では絶滅危惧種ヤイロチョウの保全に取り組んでいる。ブラジル子会社セニブラでは、東京都より広い24万9000㌶の社有林の約4割を環境保全林として、絶滅危惧種ムトゥンを保護している。温暖化ガス排出量の18年比70%削減をやり抜き、50年にはゼロカーボンを実現する。

経済成長との両立重要

みずほフィナンシャルグループ執行役サステナブル・ビジネス推進統括 牛窪恭彦氏

日本は50年カーボンニュートラルの中間目標で30年度までに13年度比46%減を掲げるが、ハードルは高い。重要なのは脱炭素と経済成長の両立だ。ありたい姿のイメージを固め、今どうすべきか長期戦略を立てる必要がある。サステナブルファイナンス市場やESG投資が拡大しているが、グリーンファイナンスは基準の厳格化が進む。課題はCO2多排出分野をどうグリーン化させるかだ。

パリ協定と整合的で科学的根拠に基づいた長期計画を立案し、脱炭素経営を進める。それを支えるトランジションファイナンスがカギだと考える。温暖化ガス排出量の正確な把握、企業の成長を損なわない形での削減に向けた長期計画の立案、その計画を実現していくためのファイナンスだ。

みずほグループは国際金融公社(IFC)との間でカーボンファシリティ組成に関する業務提携覚書を締結。IFCは新興国支援として森林保全などへの資金供給などを可能にするカーボンクレジット市場の開発に取り組んでいる。IFCと企業をつなぐことで、日本企業の脱炭素推進のみならず、新興国の森林の保全にも貢献できるだろう。

化石由来の原料ゼロに

サントリーホールディングスサステナビリティ推進部長 北村暢康氏

2030年までのCO2削減目標は自社工場など直接排出の50%削減、バリューチェーン全体での30%削減だ。奇手妙手はなく、まずは地道にエネルギー使用総量を抑制。その上でCO2を排出しない再生エネ由来の電力に切り替える。

日本、米州、欧州にある飲料・酒類事業の自社生産研究拠点で購入する電力を22年中に再生エネ由来に切り替えることを目指す。30年までには、設備投資を含む1000億円規模の取り組みを推進していく。

19年に「プラスチック基本方針」を定めた。30年までに当社グループが使う全ペットボトル原料をリサイクル素材か植物由来素材のみにし、化石由来原料の新規使用をゼロにする。

従来のペットボトルリサイクルよりCO2排出量が少ない世界初の技術を協力会社と開発、米企業と植物由来原料100%のペットボトル開発にも成功した。生活者へのリサイクル啓蒙活動も積極的に行っている。

気候変動は水にも影響を及ぼしている。水源涵養(かんよう)活動により工場でくみ上げている地下水の2倍以上の水を育み、国内で合計約1万2000㌶の森林を整備している。

全ペットボトル原料をリサイクルか植物由来に切り替える

全ペットボトル原料をリサイクルか植物由来に切り替える

水素供給網、広く活用へ

JERA取締役副社長執行役員 奥田久栄氏

JERAは日本発のグローバルエネルギー企業創出を目指し、東京電力と中部電力の国内外の火力発電事業、燃料事業などを統合して設立された。国内発電量のおよそ3割を占める日本最大の発電事業者だ。

ゼロエミッションに向け①再生エネとゼロエミッション火力の相互補完②国・地域ごとに最適なロードマップの策定③今できることからやるスマートトランジションの採用――というアプローチを実行している。

日本版ロードマップも発表した。ゼロエミッション火力を実現するため、非効率な石炭火力の全基停廃止と、アンモニア・水素の活用に取り組む。再生エネでは洋上風力と蓄電池事業の導入を支援する予定だ。

ゼロエミッション火力は燃料を入れ替えて既存の発電設備を使うことから無駄なく迅速に発電所の低炭素化に貢献できる。ただ、発電で使うには大量のアンモニアや水素が必要になる。発電用のサプライチェーンを新たに築く必要がある。大変な取り組みだが、発電用だけではなく、工業炉や船舶、自動車の燃料などに使う道も探りたい。新たな脱炭素燃料の供給という点でも貢献できると考えている。

既存の火力発電設備でアンモニアを混焼する(愛知県碧南市)

既存の火力発電設備でアンモニアを混焼する(愛知県碧南市)

異なる電源でバランス

関西電力取締役代表執行役副社長 稲田浩二氏

当社グループの「ゼロカーボンビジョン2050」では①当社自身の発電の取り組み②お客様に貢献する取り組み③水素社会への挑戦――を3本柱に掲げる。ロードマップでは、国内の再生エネ開発目標を設定。40年までに洋上風力を中心に新たに500万㌔㍗を開発し、国内累計900万㌔㍗規模を目標としている。

エネルギー戦略の基本は「S+3E」だ。ゼロカーボン社会実現に向け安全をベースに環境・安定供給・経済性のバランスがますます重要になる。エネルギー自給率が低い日本で特定電源に依存しすぎるのは大きなリスクだ。異なる強み・弱みを持つ電源を組み合わせて自給率を高めつつ、カーボンニュートラルを含めた我が国のS+3E同時達成に貢献していきたい。

お客様への貢献では、現状把握とCO2排出量の見える化に始まり、削減ポテンシャルの算定や計画策定のコンサルティング、具体策の提案、実行を包含したソリューションをパッケージとして提供している。

国内外の水素製造プロジェクト参画、海外での水素調達先の探索のほか、水素燃料による火力発電・産業運用分野での販売も協業を視野に進めている。

物件の環境性能向上へ

三井不動産社長 菰田正信氏

環境負荷の低減とエネルギーの創出が最大の課題であると認識し、30年度までにグループ全体のCO2排出量を19年度比で40%削減し、50年度までのネットゼロを目指す。当社グループの排出量は自社利用分12%に対し、他社排出分が88%を占める。サプライチェーン全体の削減へパートナーシップを強化していく。

行動計画としては、まず新築・既存物件の環境性能を向上する。国内で開発する全ての新築物件でZEB/ZEH水準の環境性能を確保。全国の保有物件共用部、自社利用部の電力グリーン化も進め、入居企業・購入者へのグリーン化メニューも提供している。

再生エネの安定確保のため、メガソーラー事業を展開して北海道の苫小牧から九州の大分まで全国5カ所で行っている。19年度の年間総発電量は0・8億㌔㍗時だが、30年度までに首都圏で保有する全施設の需要電力に相当する年間3・8億㌔㍗時を目指す。

建築時には低炭素材を使い、木造建築物の建築やリノベーションも徹底活用。創エネ事業展開や新技術創造にもオープンイノベーションを通じて参画し、脱炭素社会実現に貢献したい。

メガソーラー事業を拡大する(山口県山陽小野田市)

メガソーラー事業を拡大する(山口県山陽小野田市)

私たちは取り組みます 脱炭素社会実現に向け

NIKKEI脱炭素委員から プロジェクト 初年度を終えて

生き残り競争へ総力を結集

国連環境計画金融イニシアティブ特別顧問 末吉竹二郎氏

世界経済フォーラム(WEF)が1月に発表した「グローバルリスク報告書」によると、今後10年で最も懸念されるリスクのトップは「気候変動への対応の失敗」で、2位は「異常気象」だ。危機感を募らせる世界はネットゼロに向けて大きなステップを踏み出した。このグリーントランスフォーメーション(GX)は気候危機との闘いという表の顔だけではなく、国や企業同士の熾烈(しれつ)な生き残り競争という隠れた顔も持つ。

しかし日本は気候破壊とGX競争という2つの危機に対する危機感が非常に薄い。このままでは先を行く国や企業に置いてけぼりを食いかねない。時間稼ぎのうわべだけの取り組みではもうダメだ。日本は国の総力を結集してギアを上げ、先行組に追いつき追い越さねばならない瀬戸際だ。

再生エネ活用、地域ぐるみで

CDP Worldwide─Japan ディレクター・特別顧問 森沢充世氏

気候変動による影響は地球全体に広がっており、取り組みを加速する必要がある。「取り組みを加速」と言ったが、パラダイムシフトを起こさないといけない。日本企業が得意とするカイゼンではなく、変革を起こす必要がある。成長しながら脱炭素をめざすには省エネだけではなくエネルギーを替えなければならない。

日本は様々な再生可能エネルギーを生み出せる。有数の火山国であるため地熱発電、海に囲まれているため洋上風力は可能性が大きい。木質バイオマス発電は海外から原料を輸入するだけでなく、持続可能な管理の観点から国内の森林を活用する方法もある。再生エネ活用は企業や銀行も一体で取り組み、地域の発展につなげられる。成功例は世界中で展開でき、大きなビジネスチャンスを秘める。

企業の技術開発がカギ

産業技術総合研究所 エネルギー環境領域ゼロエミッション研究企画室 総括企画主幹 田中加奈子氏

世界の科学者が気候変動の危機を訴え、1992年に国連気候変動枠組み条約が採択されてから30年が経過した。日本ではこの2年脱炭素への取り組みが加速した。それは非常に喜ばしく、大変感慨深い。しかし将来の脱炭素社会の目標である2050年まで、すでに30年を切っている。

長期で大きく変わろうとしている社会を見据えたときに、短期、中期で何をすべきか。バリューチェーンの真ん中にいる民間企業の力は非常に大きい。企業の技術開発、技術への投資は脱炭素社会に向けた大きなカギになっている。今回のプロジェクトは大きな一歩であり大事な一歩。今後、脱炭素への取り組みを幅広いステークホルダー(利害関係者)に広げ、社会全体で脱炭素を実現するための礎となるようにしたい。

金融システムで問題解決

高崎経済大学学長 水口剛氏

気候変動問題は産業革命以来の社会経済システムによるシステマチックな問題だ。産業構造転換は不可避だが、単に脱炭素だけが進めばよいのではない。その過程で雇用が失われたり、経済格差がますます拡大したりしないよう、公正な移行を実現する必要がある。

問題はどうしたらできるのか、だ。システムで解決していく以上、金融市場の仕組みの中に脱炭素が進む仕組みを組み込む必要がある。必要なことは①市場関係者の規範②正しい判断を下すための情報③リテラシー――だ。何が正しいのか知識やリテラシーが市場関係者の間で高まらなければ問題はシステマチックに解決していかない。何が正しいのかは実は非常に難しい。だからこそ対話を続けることや対話のプロセスを確保することが必要だ。

多様な議論、情報発信に深み

東京大学大学院工学系研究科准教授 田中謙司氏

NIKKEI脱炭素プロジェクトに委員として携わり、普段会う機会のない企業人や気候変動問題にかかわるユース(若者)との議論を重ね、私自身非常に勉強になった。日本は脱炭素化の取り組みや政策が遅れていると指摘を受ける。参画企業の取り組み、脱炭素アワードの応募プロジェクトなどをみると、国内にも様々なことを真剣に考えている方が多いと感じた。

新しいテクノロジー、企業の脱炭素社会に向けた試み、消費者の考え方などをうまく取り込んだ形で世の中に情報発信ができた。非常に興味深い議論ができたと思う。脱炭素は身近に感じることができないテーマの一つだ。しかし皆さんが一人ひとりどんなことができるのか、新たに情報発信することができ、有意義なプロジェクトだった。

一人ひとりの取り組み重要

三菱UFJリサーチ&コンサルティング 経営企画部 副部長/プリンシパル・サスティナビリティ・ストラテジスト 吉高まり氏

NIKKEI脱炭素プロジェクトに参加し、脱炭素にかかわる様々な専門家とともに、脱炭素を積極的に進めようとする参画企業の方と掘り下げた深い議論ができた。普段話をする機会の少ない企業の方々と議論を重ね、2021年度の活動の集大成となる素晴らしい宣言をまとめることができ、有意義だった。

脱炭素に向けた取り組みでは、エネルギーの転換や移行(トランジション)を促す金融の役割についても内容の濃い議論をした。気候変動問題に具体的な行動を取るユース(若者)団体との意見交換は我々にとって貴重な経験になった。宣言ではサプライチェーン(供給網)を含めた脱炭素を進めるとの文言を盛り込んだ。地域や中小企業、国民一人ひとりのこれからの取り組みが重要になってくる。

1年前の「先駆的」当たり前に

自然エネルギー財団常務理事 大野輝之氏

NIKKEI脱炭素プロジェクトでは脱炭素への取り組みに関する宣言を発表した。脱炭素委員や企業、ユース(若者)団体が本音で率直な議論を重ね、宣言をまとめることができた。私自身、大変勉強になった。

これから参画企業にとっても、日本全体にとっても、求められる脱炭素化のレベルはどんどん変わってくる。2年前には「2050年カーボンニュートラル」と言うだけで先駆的にみなされたが、今ではそうではない。1年前には「30年カーボンハーフ」と言えば先駆的だったが、今ではそうではない。

これから問われるのは本当に何をしていくかという点だ。どういう取り組みが求められるのか。今後、22年度のNIKKEI脱炭素プロジェクトで皆さんと一緒に議論をしていきたい。

厳しい道、事業創出にも

日本経済新聞社編集委員兼論説委員 安藤淳

様々な企業の方に温暖化ガス削減に向けた取り組みについて話を伺った。欧州などと比べた日本の対策の遅れを指摘してきた。日本は周回遅れだと言う人もいる。参画企業の取り組みは真剣そのもので決して立ち止まっているわけではないとよく分かった。ただそのスピードは十分ではなく、まだまだやることも多い。理想と現実のギャップが大きいと改めて認識した。

どうやって現実解を見つけていくか。このプロジェクトがそうした機会をつくる一つの場になったのではないか。参加者の総意として宣言をまとめることもできた。前に向かって進んでいこうとする意気込みが伝わってくるものになった。

宣言をどうやって実行に移すか、が問われる。温暖化対策を進める中で、企業組織のあり方、事業の進め方、技術開発の動向など、非常に興味のあるところだ。脱炭素は厳しい道ではあるが、ビジネスチャンスにもなる。そうした目で見ていきたい。

NIKKEI脱炭素アワード 受賞者コメント

プロジェクト部門で大賞7件

鳥取県日南町 地域金融機関と連携した脱炭素(カーボンオフセット)の 取り組み

日南町は全国で一番人口の少ない、鳥取県で一番高齢化率の高い自治体。国のSDGs未来都市に選定され、町の面積の9割を占める森林を活用した持続可能な町を目指して取り組みを進めている。このたびの「J-クレジット」の活動は、山陰合同銀行鳥取銀行をはじめ地域の金融機関に仲介いただき、圏域の企業と官民共同での脱炭素を目指すプロジェクトだ。この取り組みが全国に広がり、それぞれの圏域で森林が生かされ、経済が循環し、脱炭素社会の実現につながればと思っている。

みんな電力(UPDATER) ポストFITの再エネ拡大を担うコーポレートPPAプロジェクト

みんな電力は2016年から電力小売り事業をやり、自治体や企業の脱炭素を支援してきた。「顔の見える電力」ということで、生産者と需要家をつなげるブロックチェーンを使った仕組みをつくってきたが、このたび、コーポレートPPAという形を実現した。再生可能エネルギーはFITで増えてきたが、コストも下がってきたため、国民負担によらない再生エネを需要家に直接買ってもらう仕組みとして開発した。再生エネは資源価格によらない、日本では非常に貴重な国産資源になると思っている。

サントリーホールディングス ペットボトルの水平リサイクルによる脱炭素社会の実現

サントリーグループは「人と自然と響き合う」を企業理念に掲げ、この理念を追求することがサステナビリティー経営にほかならないと考えている。ペットボトルをはじめプラスチックも、有用性を理解しつつ資源循環を進め、自然環境への負荷を極力減らしていこうと取り組んでいる。プラスチック課題への向き合い方には様々な選択肢がある。その中で我々は環境、社会、経済、そして企業理念の観点から、まずは2030年という時間軸での最適解としてこの取り組みを進めている。

プラゴ/埼玉県長瀞町 GREEN ROAD PROJECT

EVの充電ソリューションを中心に「続けたくなる未来を創る方法」というコンセプトで、サステナブルな社会の実現に向け、新しい社会のインフラ、ユーザー体験の実装を行っている。

このたび埼玉県長瀞町の、非常に観光資源豊かな地で、EVの充電インフラを整備し、首都圏からEVで出かけたくなるような町づくり、それを観光に生かす取り組みをGREEN ROAD PROJECTとして始めた。今後も「続けたくなる未来の社会実装」に向け励んでいきたい。

グリッド CO2削減と経済合理性を実現する「デジタルツインシミュレーター」を用いたプロジェクト

当社は社会インフラやサプライチェーンの計画問題を、AI技術を用いて最適化している企業だ。日々の計画をAIで最適化することにより多くのCO2を削減できる可能性がある。効率だけを追求すればよかった時代から、今後はCO2の排出量を鑑みて企業のオペレーションを最適化していく時代になっていくと思っている。今回の取り組みが評価されたことは、当社としても非常に大きな意味がある。一緒に取り組んでいるお客様と、実現のため日々奮闘しているエンジニアに感謝したい。

高砂熱学工業/北海道石狩市 石狩市厚田地区へのマイクログリッド導入による脱炭素社会と地域住民生活への貢献

石狩市の北部に位置する厚田は災害時に孤立しやすく、エネルギーの安定供給に課題を抱えている。今回の高砂熱学工業と共同で行った取り組みでは、地域で生み出すエネルギーを地域で使うエネルギー地産地消の新たなモデルを構築できた。本事業ではエネルギーシステム導入だけでなく、道の駅にリアルタイムで発電量などがわかるデジタルサイネージを設置し、地元の小中学校に環境教育を行うなど、地域住民や近隣の児童生徒にとって、わかりやすいものをつくり上げることを心掛けた。

日建設計エンジニアリング部門設備設計グループ/岐阜県瑞浪市/日建設計総合研究所/名古屋市立大学芸術工学部 環境への思いをつなぐ ─ゼロ・カーボン・スクール瑞浪北中学校─

岐阜県瑞浪市立瑞浪北中学校は未来を担う子供たちが地球温暖化という社会課題に日々向き合い、自ら行動することで、国内の学校では初めてゼロ・エネルギー・スクール(ゼロ・カーボン・スクール)を達成した学校だ。

文部科学省のスーパーエコスクール実証事業として瑞浪市の関係者、名古屋市立大学、日建設計がアイデアを出し合い、地域のエネルギー課題に貢献する学校を実現することができた。今後、全国の学校にも、こうしたチャレンジが広がっていくための契機となれば幸いだ。

奨励賞4件

アイデア、政策提言部門

TOLTO至極文人 地域に眠る多様な既存電源インフラを活用するEV充電サービスの社会実装

電柱や街灯といった既存インフラを介し、電動アシスト自転車などの小さなEV充電サービスを提供したい。費用対効果が高く、地域エネルギーへの転換が図れ、大きなポテンシャルを秘めている。

高本損害鑑定事務所/オフィス協働 災害事故プラットフォームの提案─損害保険鑑定から見た脱炭素社会実現への貢献─

損害鑑定で再生エネ分野の対応が増えている。設備を健全、安全、そして継続運営するための気づきがあり、文書にまとめた。損害保険でしっかりリスクヘッジをする仕組みが大事ではないかと思う。

Policy Makers Lab カーボンニュートラル型企業版ふるさと納税制度の導入

再生エネ開発は立地する自治体の尽力が多い半面、長期的な見返りは多くない。再生エネ促進のため、開発者が立地する自治体に20年間ふるさと納税できるようにしてはどうかと提言した。

研究部門

アークエルテクノロジーズ 余剰再エネの有効利用を促進するAI・IoTテクノロジー

再生エネ導入の拡大に向け、系統の柔軟性が重要になってくる。柔軟性のひとつとしてセクターカップリングの実現がキーワードになる。我々はその最適化プラットフォームを構築していく。

講評 連携で課題解決を

「プロジェクト部門」大賞7件のうち4件が自治体と企業の連携による社会実装だ。鳥取県日南町は地域の金融機関や企業と協力を拡大。北海道石狩市、埼玉県長瀞町、岐阜県瑞浪市も正面から課題を取り上げており、こうした点を評価した。また、みんな電力とグリッドはデジタル技術を使った取り組み、サントリーは素材の脱炭素化につながる試みだ。「アイデア、政策提言部門」「研究部門」に大賞はなかったが、社会課題に対しブレークスルーを生み出すようなアイデア、政策提言、研究を今後期待する意味で奨励賞とした。

NIKKEI脱炭素プロジェクトからの宣言

サステナブルな脱炭素社会の実現に向けて私たちは変わります。みなさまとともに

日本でも世界でも気象災害が甚大な被害をもたらしています。気候変動は、遠い将来の問題ではなく、きょう、あすの私たちのいのちと生活を脅かしている問題です。最新の科学は、人間活動が温暖化を引き起こしていることに疑いはないこと、気温の上昇とともに気候の変化はさらに大きくなること、そして、世界の温室効果ガスの排出が早期に減少に転じなければ、遅くとも2040年ごろまでには工業化前と比べて気温上昇が1.5度を超える可能性が高いとの予測を示しています。将来にわたり安心で安全な持続可能な社会を構築するためには、気温上昇を可能な限り抑えるよう今からできる限り排出を削減しなければなりません。

気候変動対策は、将来の気候変動のリスクを低減するだけでなく、私たちの生活を豊かにし、地域の課題の解決につながる可能性をもっています。カーボンニュートラルに向けた社会と市場の大きな変化は、企業にとっては、市場再編の可能性もはらむ大きな転換と競争の時代であるとともに、新たなビジネスの機会をもたらす契機でもあります。

英国・グラスゴーで開催されたCOP26では、工業化前と比べて気温上昇を1.5度までに抑えるという1.5度目標の実現を決意をもって追求することが合意されました。そして、そのために、これからの10年、2030年ごろまでの排出削減が決定的に重要であることも確認されました。

脱炭素社会に向かう社会の変革は決して容易な道のりではありません。NIKKEI脱炭素プロジェクトに参加する企業と専門家は、強い決意と覚悟をもって、自然と調和した持続可能な地球を次の世代に引き継ぐこと、そして、人権が尊重され、一人ひとりが幸せを実感できる公平、公正で、サステナブルな脱炭素社会を実現することをめざします。そのために、工業化前と比べて気温上昇を1.5度までに抑えるというパリ協定の長期目標をめざして、まさに今から2030年に向けて、気候変動対策をさらに強化・加速します。脱炭素社会の実現をめざす気候変動への対応が、生物多様性や森林の破壊、人権侵害などにより、社会のサステナビリティーを毀損することがないよう、また、産業や社会の転換の中で取り残される人や地域が生まれないよう、公正な移行をめざします。

脱炭素社会の構築は私たちだけで実現できるものではありません。社会のあらゆる主体が連携して取り組むことが必要です。私たちは、国内外の多くのみなさんにこの取り組みに加わっていただくことを呼びかけます。国や自治体に対して、一人ひとりが幸せを実感できる公平、公正で、サステナブルな脱炭素社会を実現するための制度やルールを早急に構築・整備することを求めます。

2050年カーボンニュートラルの実現をめざして、まさに今から2030年に向けて私たちがともに取り組むこと

●脱炭素社会のビジョンを描き、そこに向かう総合戦略をつくります。

脱炭素社会の実現には、エネルギー、建築物、交通などのインフラや産業を含む社会経済の脱炭素化とそのための社会経済の変革・移行が必要です。人口減少、高齢化、気象災害への対応、自然共生などを考慮しつつ、自然が身近で、生活の質を向上させることができる地域が連結・連携する分散型のネットワーク社会へと国土のあり方を構造的に転換していくことも必要です。そのために、次のことに取り組みます。

▶社会経済全体を脱炭素型に変えていくため、脱炭素社会のビジョンを描き、そこに向かう総合戦略をつくります。国と地域に対して、若い世代を含む国民・住民とともに脱炭素社会のビジョンと総合戦略をつくることを求めます。

▶地域の多様性をふまえて脱炭素を実現する多様なモデル地区をつくることに地域とともに取り組みます。

●1.5度目標をめざし、2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向けて、強い決意と覚悟をもって、地域にある再生可能エネルギーを最大限活用し、需要側の分散型エネルギーリソースも統合・活用した効率的で脱炭素なエネルギーシステムへと根本的に転換をはかります。

脱炭素社会の実現には、特にエネルギーシステムの根本的転換、脱炭素化が必須です。エネルギーの脱炭素化には、供給側だけでなく、需要側のリソースの活用や取り組みも重要です。地産地消とともに、再生可能エネルギーのポテンシャルを日本全体で最大限活用するという視点も重要です。それにより、大都市や工業地帯も再生可能エネルギーを最大限利用でき、再生可能エネルギーの豊富な地域もそのメリットを受けることができます。再生可能エネルギー中心のエネルギーシステムを実現するには、電力の安定供給を維持するシステム(システムサービス)の脱炭素化が大きな課題です。また、電力の脱炭素化の加速とともに電化を進める一方、電力で代替できない用途のエネルギーの脱炭素化も課題です。脱炭素なエネルギーシステムへの転換と移行に伴うこうした課題について、社会全体で広く議論し、課題解決に向けて取り組むことが必要です。そのために、次のことに取り組みます。

▶都市も含め、地域にある再生可能エネルギー資源を最大限活用し、再生可能エネルギーの地産地消を促進します。

▶エネルギーの需要家が、みずから再生可能エネルギーを所有し、使用するプロシューマー化を促進すること、eモビリティーを含め蓄電池や住宅・建築物といった需要家が保有する分散型エネルギーリソースを活用することで、地域全体で効率的にエネルギーを使い、脱炭素化が促進するよう取り組みます。

地産地消とともに、再生可能エネルギーのポテンシャルを日本全体で最大限活用するために、国に対して、送電網の広域運用や整備拡充など、そのための対策を加速することを求めます。

▶再生可能エネルギー電気の供給だけではまかなうことが難しい産業用熱需要等のエネルギー需要への対応や再生可能エネルギーの自然変動に対応し需給を調整する調整力の脱炭素化も課題です。水素、アンモニア、蓄電池などエネルギー貯蔵技術、デマンド・レスポンス(DR)など需要側のリソースも含む新たなエネルギーリソースの開発や活用にも取り組みます。国に対して、これらのエネルギーリソースの開発・活用が促進されるよう、インフラの整備や市場や制度の構築を求めます。また、これらの課題について、エネルギーの脱炭素化の実現に向けて真正面から検討すべき課題として、引き続き検討するとともに、広く社会に提起していきます。

●2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、2030年に向けてまさに今から、新築の住宅・建築物、そして既存の住宅・建築物の脱炭素化を強力に進めます。

建築物、住宅はその寿命が長いことから、2050年までにカーボンニュートラルを実現するという長期目標と整合するよう、次のことに取り組みます。

▶すべての新築の住宅・建築物をZEB(ゼロ・エネルギー・ビルディング)・ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)にすることをめざします。

▶個人、中小企業の所有が大半を占める既存の住宅・建築物の脱炭素化が大きな課題であることを認識し、国と自治体に対して、そのための対策を早急に具体化し、実施することを求めます。

●インフラや設備の導入・更新にあたっては、その寿命を考慮して2050年カーボンニュートラル目標と整合的な脱炭素のインフラ・設備を選択します。

●森林の保護と持続可能な林業の拡大・促進により、炭素の排出を抑制・吸収を促進し、森林資源を活用した脱炭素の地域づくりを進めます。

日本は、国土の3分の2が森林であり、森林によるCO2吸収は脱炭素社会の構築に大きく貢献します。森林を保護するとともに、持続可能な林業を拡大、促進することにより、森林の生態系・生物多様性を保全し、水源の涵養(かんよう)や地域の防災にも貢献します。住宅・建築物、製品などに炭素を固定した木材を活用することで大気中へのCO2排出を遅らせ、熱エネルギーとして利用することで化石燃料を代替して、排出削減に大きな役割を果たします。

▶そのために、国と自治体が、炭素固定の価値の可視化、持続可能な森林経営のため施策の実施、製材や紙製品など木材製品の炭素固定の価値が経済的に評価される仕組みづくりを行うことを求めます。

●生態系・生物多様性を保全し、自然と共生する脱炭素社会の実現をめざして、自然がもたらす恩恵と自然への負荷を可視化し、気候変動対応とともに企業経営に組み込んでいきます。

●2050年までに投融資ポートフォリオ全体のネットゼロの実現をめざします。

金融・投資業に携わる企業として、現在ストックとして保有する投融資ポートフォリオの炭素負荷を2050年までにネットゼロにすることをめざします。そのために次のことに取り組みます。

▶あらゆる産業が移行リスクを乗り越えるために、投融資先が必要な設備投資を真剣に考え、脱炭素社会への円滑な移行ができるよう、積極的にエンゲージメント(建設的な対話)を行います。

▶投融資先に対して、脱炭素に必要な支援を行います。

●脱炭素化の実現のために十分な資金を振り向けます。

金融・投資業に携わる企業として、経済・社会の脱炭素化を実現するために投資が必要な分野に対して、十分な資金を提供します。2030年目標(2013年度比46%以上の削減)を実現するためには、ZEB、ZEH、再生可能エネルギーの導入拡大など、今利用できる技術の大規模かつ急速な導入が必要です。また、2050年までのカーボンニュートラルをにらんで新たな技術の開発をはじめ、より長期的な視野に立って脱炭素社会への移行(トランジション)を支える資金が必要です。即効性があって今すぐ行うべきことと、より長期的な視点から脱炭素社会への移行を支える資金の両面で、次のように取り組みます。

▶約1900兆円の個人金融資産を含む3000兆円の日本の金融資産を動員できるような魅力的な金融商品や仕組みづくりに取り組み、新たなグリーン資金の流れを生み出します。そのような金融商品を支えるグリーン税制優遇措置など政策枠組みの強化を求めます。

▶次世代技術の開発を支えるための資金など、民間にとって相対的に大きなリスクを伴うものについて、国や自治体に対して、リスクの分担やハイリスク部分を公的に保証する仕組みづくりなどを求めます。

●私たちは、脱炭素に貢献する商品・サービスを開発し、社会に提供していくことで、脱炭素社会の実現に向けてその事業で役割を果たすとともに、その商品・サービスを通じて、脱炭素社会にふさわしい消費や生活への転換を促します。消費者が商品・サービスを利用すればするほど、排出が抑制され、自然が豊かになるような商品・サービスの開発にチャレンジしていきます。その際、炭素負荷の低いものには高い付加価値があるという点も重要な基準として、炭素負荷の評価を適正に行います。また、調達のトレーサビリティーの確保やサプライチェーン、バリューチェーン全体の温室効果ガス排出をはじめとする環境負荷の低減に取り組みます。そのために、サプライチェーンのパートナーとの協働と支援を進めます。

●こうした取り組みが社会全体で進むために、炭素削減の価値=炭素排出の費用が広く社会で可視化され、適正に評価され、公正に負担・分担されるよう、カーボンプライシングなどの仕組みづくりを国に対して求めます。

●私たちは、カーボンニュートラルに向けて確固として対策を進めていくことをここに表明し、その決意と取り組みを国際社会に広く発信していきます。

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