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メルカリ、ヤフーLINE 共存型プラットフォーマーへ

日経ビジネス
コラム(ビジネス)
2020/11/16 2:00
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2月に包括業務提携を結び、握手をするメルカリの野辺一也執行役員(左)とアイスタイルの吉松徹郎社長

2月に包括業務提携を結び、握手をするメルカリの野辺一也執行役員(左)とアイスタイルの吉松徹郎社長

日経ビジネス電子版

コロナ禍で存在感がさらに増したGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)。そんな中、日本発のプラットフォーマーは世界で戦えるのか。データ開放や専門性の特化、自治体との連携などGAFAとは異なる動きで世界の頂を狙う。目指すのは、社会との摩擦を減らす「共存型」のプラットフォーマーだ。

都内に住む藤川美羽さん(仮名・24歳)は10月末、お気に入りのブランドバッグを6万円で購入し、帰宅するなり自分のスマホで写真を撮り始めた。SNSで知人に自慢をするのかと思えば、そうではない。フリーマーケットアプリのメルカリに出品するためだ。

メルカリを活用し「売れるまで使う」というのが藤川さんの流儀。購入価格の5~10%引きで出品すれば、ほぼ数日内に売れるという。手数料や送料を考えると1万円程度の損にはなるが、「ブランド品は高くてそう買えない。でもこれなら新しいカバンや服をたくさん身に着けられる」と藤川さんは満足顔だ。

残存価値や中古市場での需要を考慮して商品を買う──。新車や不動産といった高額商品の販売では浸透する購買行動が、フリマアプリの市場拡大とともにアパレルなどにも広がりを見せる。メルカリは独自の「二次流通データ」を活用して、GAFAやBAT(中国のバイドゥ、アリババ、テンセント)の巨人とは異なる、新たなプラットフォーマーとしての地位確立に挑んでいる。

メルカリの年間流通総額は2020年6月期に日本と米国で約7000億円と、前の期に比べて32%増えた。新型コロナ禍で利用が増えたこともあり、20年4~6月期は18年6月の上場以来、四半期で初の営業黒字化を果たした。消費や所有のスタイルが変わりつつある今、メーカーや小売店は「中古市場の価値」を無視できない存在となっている。

メルカリは今年2月に開いた事業戦略発表会で、個人情報の取り扱いに配慮した上で、利用者の属性や購買・検索などの行動データを外部企業に開放して連携する方針を示した。小売りの丸井グループやアパレルのアダストリア、パル(大阪市中央区)、ベイクルーズ(東京・渋谷)などとデータを連携。美容の総合サイト「アットコスメ」を運営するアイスタイルとは包括業務提携を結んで両社のIDを連携した取り組みを始めている。

小売店やメーカーの直販など、製品が新品として売られる一次流通では消費の低迷によって「値下げしないと売れない」という値引き合戦が横行した。消耗戦が繰り広げられ、米Jクルーや日本のレナウンが経営破綻に追い込まれるなどアパレルメーカーは苦戦を強いられている。冒頭の藤川さんの事例のように、「中古市場でも高く売れるなら買う」とする消費行動が増えていくならば、メーカーや小売店も値付けや販売戦略を見直し、安値競争から脱却できる可能性がある。

データ連携によって、出品や購入だけでなく、価格帯や「いいね」の数なども把握できるため、メーカーや一次流通業者にとっては商品のライフサイクルや価値を測るモノサシにもなる。一方、メルカリにとってはメーカーや小売りが持つ商品のカタログデータなどを入手できれば、ユーザーが出品する際に商品の詳細を調べて記入する手間が省けるため、出品が活性化する恩恵がある。

データ連携でコロナ禍に発生した問題の解消につなげる試みもある。メーカーが抱える滞留在庫の解消だ。コロナショックで消費が低迷し、大量の在庫を抱える企業は多い。外出制限の影響で販売が鈍ったのが化粧品業界だ。

滞留在庫をセールで安値販売すると、ブランド価値の低下につながりかねず、既存の優良顧客が離れるリスクもある。この課題解消に向け、メルカリはアイスタイルと連携したデータを活用したキャンペーンを実施したい考えだ。

両社の持つデータから、当該ブランドの製品を購入した経験がないが、類似商品を検索・購入したユーザーを絞り出し、トライアルセットとして定価より安く販売するクーポンなどを出す試みだ。メーカーからすれば割安で販売することになるが、新たな顧客獲得につなげる投資にもなる。メルカリにとってもメリットはある。一次流通企業やメーカーが持つデータと連携すれば、購入履歴からユーザーに対して出品を促すことができる。

国内で始まったデータ連携によるプラットフォーム作り。急成長を遂げる米国での展開について、メルカリの野辺一也執行役員は「検討中だが、まだそのステージにない」と語る。だが、過剰生産問題は日本に限った話ではない。独自の二次流通データを活用して一次流通やメーカーの商品開発に生かす「逆算のモノづくり」というプラットフォームは、世界に広がる可能性を秘めている。

■リクルート、インディードで大化け

独自の専門性を磨くことで、事実上の世界のプラットフォーマーに成長したのが、リクルートホールディングス傘下の米インディードだ。求人広告が主体だった市場に、インディードは求職者が探したい仕事のキーワードを打ち込む「検索型」の求人サイトを展開した。履歴書だけでなく、ネットの閲覧履歴をもとに個人に適した仕事を表示する。

「人材業界のグーグル」という異名を持ち、月間の利用者は世界で2億5000万人を超える。この分野ではインディードが事実上の業界標準を握る。リクルートはインディードを12年に約10億ドル(1050億円)で買収。リクルートは14年に上場したが、時価総額は上場当時の2兆円から6年で4倍の8兆円まで膨れ上がった。一方、人材業界でグローバル展開するスイスのアデコの時価総額をみると、同期間では逆行して3割安と低迷している。リクルートの伸びは、インディードの成長期待の表れといえる。

AI(人工知能)は機械学習の量がマッチングなどの精度上昇に比例する。先行者に利用が集中しやすく、後追いする競合よりも学習量が増えることで、より精度を高めて利用を増やして差を開けていく。

同社の峰岸真澄社長は「インディードで磨いたテクノロジーを斡旋(あっせん)紹介や人材派遣の領域にどう生かせるかが1つのチャレンジ」と語る。いまだに人を介したマッチングが中心の非効率な領域だが、テクノロジーを確立すれば国境を越えて活用できる利点がある。

GAFAに比べると領域は確かに狭い。だが、インディードを活用したリクルートのプラットフォーム戦略は、分野を突き詰めれば世界のトップを狙えることを教えてくれる。

■ヤフーLINEは防災情報から覇を競う

「GAFAM(GAFAと米マイクロソフト)の好決算は私も見た。強い事業の伸び方について我々も負けてはいない。ただ、同じくらいの成長ではいつまでたっても追いつけない。企業グループの違いを生かして、トップラインを伸ばしていきたい」

ヤフーを傘下に持つZホールディングスの川辺健太郎社長は10月30日に開いたオンライン決算会見で、日本発のプラットフォーマーとしての存在感を世界に示す方針を改めて示した。

21年3月末をメドとするLINEとの経営統合について、今年8月に公正取引委員会から条件付きながら承認を得た。19年に開いた統合発表会見で語った「プラットフォーマーとして世界の第三極になる」という目標に変わりはない。

国内が中心のヤフーと、日本に限らず台湾やタイ、インドネシアでもメッセージアプリとして広く浸透するLINE。「統合後はLINEの拠点を足掛かりに、ソフトバンクグループ(SBG)の資金力も活用してAIテックカンパニーへと成長していきたい」と川辺氏は語る。

もちろん、海外でも既にGAFAをはじめとしたプラットフォーマーは広く浸透している。ヤフー・LINEが第三極として浸透していくには、新たな価値を示す必要がある。その1つのテーマとして考えられるのが「防災」だ。

災害大国ニッポン。地震や台風、水害など多くの災害に見舞われる。メッセージアプリのLINEは国内だけで月間8600万人のアクティブユーザーを抱え、災害時の安否確認や自治体からの情報伝達など広く活用されるプラットフォーマーとして、独自の進化を遂げている。

神奈川県は11月1日、行政サービスのデジタル化やAI活用による効率化を推進するために、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進に向けた70人の専門部署を設置した。トップは黒岩祐治知事だが、実質的にデジタル関連政策を統括するのは、今年8月から県の最高情報責任者(CIO)とデジタル部門の責任者(CDO)を務める江口清貴氏だ。江口氏は県の職員ではない。LINEの執行役員を務める人物だ。

新型コロナが国内で感染拡大した今年3月末、厚生労働省はLINEを使った実態調査に乗り出した。8000万を超えるユーザーにLINEを使ってアンケートを実施。わずか2日で2400万を超える回答を集めた。LINEを使った大規模調査を提案し、仕切ったのが江口氏本人だ。LINEは自治体の中に人材を送り込むなど、連携を深めている。

神奈川県だけではない。LINEは7月、自治体のスマートシティ化を推進するプロジェクトを開始した。空き家対策の情報発信や保育所の入所申請などをLINEを使って効率的に進めるというものだ。開始から3カ月強で、既に全国329の自治体が参加。市民と行政の距離を縮めるプラットフォーマーとしての地位を確立しつつある。

統合相手のヤフーも災害情報の発信で自治体との連携に力を入れている。国内で2000万以上のユーザーを抱える「Yahoo!防災速報」アプリを活用し、自治体が市民に注意喚起や災害時の避難所開設情報などを発信するスキームを用意している。

ヤフーと災害協定を締結する自治体は全国で1100を超える。全国の都道府県と市町村の約3分の2はヤフーと協定を結んでいる計算になる。ヤフーとLINEは日本で培った公的セクターと個人をつなぐプラットフォーマーとしての成功例を海を越えて広めていけるか。GAFAとは異なる、草の根からの浸透で第三極を目指す。

GAFAをはじめとした巨大プラットフォーマーに対する視線は厳しくなっている。日本でもプラットフォーマーの巨大化による弊害を危惧する声が高まり、規制強化の動きもみられる。重要になるのは、社会との摩擦解消に向けた企業の動きだ。

「転売問題」に揺れるメルカリは20年7月、外部人材を招いた有識者会議を設置した。「マーケットプレイスの在り方を再定義する」(山田進太郎社長)として、社会との摩擦解消に取り組む。LINEは8月、フェイクニュースやイジメなどにつながりかねない投稿への対応について利用者の意見を聞くべく、パブリックコメントを募集した。楽天は10月に国民生活センターと意見交換したことを発表。新興ネット企業は「独善的」と批判された方針を改める姿勢を見せている。

個人の生活だけでなく、国や自治体など公的機関も頼らざるを得なくなったグローバルプラットフォーマー。その存在が大きくなればなるほど、新たな摩擦が生じる可能性もある。求められるのは、社会との共存だ。その姿勢を内外に見せて行動で示していけるか。世界で勝ち残っていけるかは、そこにかかっている。

(日経ビジネス 白壁達久)

[日経ビジネス電子版2020年11月11日の記事を再構成]

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