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キオクシア、上場延期でも1兆円投資 再編機運後押し

エレクトロニクス
朝鮮半島
2020/10/29 11:40 (2020/10/29 16:16更新)
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三重県四日市市の四日市工場に7棟目の工場棟を建設する(建設予定は写真右上部分)

三重県四日市市の四日市工場に7棟目の工場棟を建設する(建設予定は写真右上部分)

半導体大手のキオクシア(旧東芝メモリ)は29日、四日市工場(三重県四日市市)にフラッシュメモリーの新工場棟を建設すると発表した。高速通信規格「5G」向け需要を見込み、設備投資額は1兆円規模になる見通し。同社は10月の上場延期を決めたばかりで、資金を調達する手段は限られるが、中韓勢の攻勢にさらされるなか、2位の座の維持に向けて巨額投資の賭けに出る。

■「上場が遅れても設備投資は続ける」

「たとえ上場が遅れても、強い2位になるためには設備投資は続けていかなければならない」。キオクシアは10月に予定していた東京証券取引所への新規株式公開(IPO)の延期を、中国の華為技術(ファーウェイ)規制に伴う事業環境の悪化を理由に9月28日に発表。それでもキオクシア幹部はこう繰り返してきた。

設備投資は協業先の米ウエスタンデジタル(WD)と共同で実施し、5千億円ずつ折半する。工場建設は2期に分けて、2021年春に工事を始める。建屋面積は合計で4万平方メートルと同社の工場棟では最大の規模になり、22年内にも稼働する。

キオクシアは今回の投資には本業で稼いだ資金を充当するとしている。設備の導入などの新工場への投資は、数年にわたって断続的に必要となる。ほかの投資などとあわせて連結売上高の3割にあたる年3000億円前後の設備投資を続けていく考えだ。

同社の年間の営業キャッシュフローはおおむね4000億~5000億円台で推移している。ただ、最終赤字だった20年3月期は約1600億円と、市況によって浮き沈みがあり、投資に必要な額を下回ることもある。10月に予定していた際の上場に伴う新株発行での資金調達額は約603億~754億円だったが、延期により調達できていない。

「将来の需要を満たし、次世代技術を開発するためキオクシアと協力する」。WDのデービット・ゲックラー最高経営責任者(CEO)は28日(米国時間)、こう強調した。2社は岩手県北上市に20年に新工場を稼働させたばかりで、5Gの本格普及で見込まれるデータセンターなどメモリー需要を取り込む考えだ。

■投資決断の背景に中韓メーカーの攻勢

キオクシアが相次ぐ巨額投資を決断した背景には中韓勢の攻勢がある。フラッシュメモリーの市場は首位の韓国サムスン電子が35.9%のシェアを握る。19年末には中国・西安工場(陝西省西安市)に80億ドル(約8400億円)を追加投資すると表明。2位のキオクシア(19.0%)を引き離す。

中国政府の支援を背景に中国半導体大手の紫光集団傘下の長江存儲科技(長江メモリー・テクノロジーズ、YMTC)も技術力を着実に高めている。4月には、記憶容量を左右する層について世界最先端水準となる「128層」の開発に成功したと発表した。

さらに業界では再編の動きが表面化する。フラッシュメモリー5位の韓国・SKハイニックスは10月に米インテルのフラッシュメモリー事業を約90億ドルで買収すると発表。買収完了は25年までかかる見通しだが、実現すれば単純計算で19.4%のシェアとなり、キオクシアを抜いて2位に浮上する。

SKハイニックスは、キオクシアの新株予約権付社債(転換社債=CB)を保有しており、上場後に約15%の株式を取得する計画だ。28年まではキオクシアとの合意がない限り15%超は持てない取り決めだが、期限が過ぎれば買い増す可能性がある。

業界関係者からは「SKハイニックスの拡大が続くとキオクシアがのみこまれかねない」との見方も出ていた。こうした警戒感もあり、SKハイニックスの事業買収が完了するまでに生産能力を拡充する狙いもあったようだ。

■5G普及で見込まれる需要拡大

5Gの普及を見据えたNAND型フラッシュメモリーだけでなく、データセンターで使うDRAMの需要拡大も見込まれている。DRAMはサムスン、SK、米マイクロンの3強で9割のシェアを握るが、NAND型はそこまで集約されておらず、再編が加速するとみられている。

メモリー以外の半導体も含め、中国などを筆頭に国を挙げて生産支援をしたり、最先端技術の覇権を争って米国が一部企業に輸出規制をかけたり、国家間の政策も含めた競争が激しさを増している。

国内メーカーは、官民プロジェクトの効果もあり、日立製作所富士通NECなどが世界のDRAM市場を席巻した時期もあったが、投資競争に敗れ競争力を失った。東芝の経営危機もあり、海外勢の資本も入るものの、キオクシアは残された国内半導体大手の一角でもある。

ただ、有利子負債は1兆円を超える。海外の機関投資家は「成長投資の決断はポジティブだが、財務体質には不安が残る」と指摘する。リスクを伴う巨額投資で「強い2位」の座を死守できるか。それはキオクシアの中長期の戦略だけでなく、世界で改めて産業としての重要性が認識される国内半導体業界の趨勢をも占う。

(広井洋一郎)

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