【ニチリウの中核スーパー】滋賀県で強固な地盤。大型店が主力。
繁華街に人も戻りつつある(大阪・ミナミ)
新型コロナウイルス禍で深刻なダメージを受けた関西経済に底入れの兆しが見えてきた。日銀大阪支店が1日発表した近畿2府4県の9月の企業短期経済観測調査(短観)によると、足元の業況判断指数(DI)は全産業がマイナス32と、6月の前回調査から4ポイント改善した。自動車産業がけん引し、7四半期ぶりに改善した。ただ水準はなお低く、先行きの回復ペースも足取りの重い状況が続きそうだ。
DIは業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」の割合を引いた値。6月の短観では全産業の先行きは悪化の見込みだったが、持ち直した。しかし関西はインバウンド(訪日外国人)への依存度が高く、全国(マイナス28)より低い水準にとどまった。
製造業の足元のDIはマイナス39と3ポイント改善した。自動車関連では、欧州で都市封鎖が解除されて生産が再開、中国では販売が好調で、輸送用機械は14ポイント改善のマイナス43となった。自動車の持ち直しが他の製造業にも波及した。3カ月先の輸送用機械の先行きはマイナス18と、さらに持ち直しを見込む。
非製造業は6ポイント改善のマイナス25。公共事業や住宅営業の再開などで建設はプラス3、不動産はマイナス8へと上向いた。小売は18ポイント改善のマイナス22。在宅勤務の拡大などで生鮮食品や部屋着の販売が伸びた。宿泊・飲食サービスは政府の観光支援事業「Go To トラベル」で9ポイント改善したが、マイナス76にとどまった。
卸売や小売では改善が続く見通し。新型コロナの感染者拡大を懸念する宿泊・飲食サービスや、在宅勤務の定着で需要が減る対事業所サービスは先行き悪化を見込む。
2020年度の全産業の設備投資は従来より3.2ポイント下振れするが3.3%増を計画する。5G関連や、自動車の自動化や電動化では堅調を維持。巣ごもり需要への対応で物流センターの設置も加速する。ただ製造業では設備機械、非製造業では新規出店や店舗改修などを控える動きが目立つ。2.7%減の全国より高水準を保った。
関西経済について若林厚仁・日本総合研究所関西経済研究センター長は「製造業は輸送用機械が急回復したが、非製造業は回復が見通しづらい状況が続きそうだ」と話す。設備投資は「苦しい状況でも次世代に向けた種まきを続けている」と評価した。
ホテルグランヴィア大阪のフロントロビーには宿泊客の姿が戻りつつある(1日午後、大阪市北区)