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【フリマアプリ】不用品売買を仲介するアプリで国内最大手。米国にも進出。

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メルカリ山田社長「社会にエンジニア的な視点が必要」

日経ビジネス
2020/9/15 2:00
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(写真 竹井俊晴)

(写真 竹井俊晴)

日経ビジネス電子版

新型コロナウイルスの感染拡大の結果、在宅勤務によるテレワークが当たり前になり、様々な局面で接触を減らす努力がなされるようになった。変化を余儀なくされる中で浮かび上がってきたのは、デジタルを使いこなせていない日本の姿だ。押印のための出勤など、デジタル化を真剣に進めていれば、容易に解決できた問題も多い。多くの日本企業も、コロナ禍を契機にデジタル化をもう一歩進めようとしている。日本を代表するIT(情報技術)企業に成長したメルカリの山田進太郎社長は日本のデジタル化をどう見ているのか。話を聞いた。

――新型コロナウイルスの感染拡大でデジタル化の機運が高まりつつあります。社会にどのような影響を与えたと見ていますか。

「新型コロナウイルスは人の行動そのものを変えました。デジタルトランスフォーメーション(DX)も一気に進み、印鑑廃止などコロナが発生しなければ起こらなかったであろう変革も起こっています」

「当社も、新型コロナの感染が国内で広がり始めた2月中旬から「原則在宅勤務」を実施しています。生産性は向上しています。開発で遅れが出る案件もありません。従業員には定期的にアンケート調査をしていますが、プラスの意見が多い。ただ、副作用が必ず出てくるとは思っています」

――急速なデジタル化による反動でしょうか。

「中長期的に見たときにどのような影響が出るのか。そこは未知数です。働き方だけではありません。人間関係や教育、あるいは子供の発達などにどんな影響を与えるのか。良い部分もあれば悪い部分もあるはずです」

「生涯の友を見つけたり、あるいは人生のパートナーと出会ったり。オンラインでも可能ですが、リアルなコミュニケーションが中心だったこれまでと異なり、様々な場面で著しく制限された生活を余儀なくされる中で、どういう影響があるのかは今後も注意深く見ていきたいです」

――日本を代表するテック企業として、オンライン化に猛進しそうなイメージですが、割と慎重に見ているのですね。

「慎重ですね。一気にオンライン化してしまいたいとは思っていません。いろいろとチャレンジはしますが、きちんとその効果は測定します」

「当社は7月からニューノーマルワークスタイルを追求する実証実験を始めました。9月末までをメドとして効果測定し、結果によっては就業規則を含めて見直す考えです」

(写真 竹井俊晴)

(写真 竹井俊晴)

「(10人程度の)チームごとに働き方の運用を任せています。週に一度だけ出勤して顔を合わせてミーティングする、あるいは毎日決まった時間にオンラインで雑談タイムを作るなど、働き方を自由にして自分たちが一番いいと思うスタイルを試してもらう。ただ、どういうパフォーマンスが出るのかは、個人やチーム、事業や会社ごとにそれぞれ定期的に測っていきます。短期的だけでなく、中長期的にも見ていきます」

「オフィスの縮小は今のところ考えていません。ただ、ミーティングスペースを増やすなど使い方はこれから変えていくつもりです。良い影響が出るものはより早く採用したいと思ってはいますが、副作用にもきちんと配慮しなければなりません」

――山田さん自身、旅がお好きです。メルカリ創業前にも世界中を旅して肌で感じ、事業の創造に役立てた過去があると思います。

「そうですね。ただ、インターネット上の仮想世界である「メタバース」には関心があります。話題のフォートナイトとか、ゲームやイベントなどを通じて今までにない一体感、共体験が生まれようとしています。新たなテクノロジーが出てきて人と人をつなぐ。今は補完する存在ですが、いずれは中心になる可能性も秘めています。我々のビジネスにも影響してくるかもしれないので、注意深く見ていきたいです」

――どのような影響が考えられますか。

「アプリの利用者は今、スマホの画面を見て、写真や文字で買うかどうかを判断しています。ただ、テクノロジーが進化してバーチャルワールドが広がれば、より商品が分かりやすく、リアルなお店に近づく」

「パソコンやネットの普及でオークションサービスが盛り上がりました。そしてスマホシフトによって、出品や購入の「簡単さ」が求められるようになった。バーチャルワールドが広がっていくにつれ、新たな需要が生まれてくる可能性がある。その領域にいかないと取り逃がしてしまうものもあるかもしれません。イノベーションのジレンマに陥らないようにしたい」

――日本は「デジタル後進国」ともいわれています。なぜここまでデジタル化に時間がかかっていると考えますか。

「時代背景は当然あると思いますが、日本は『文系的な社会』が続いてきました。ゼネラリストとしての総合職が中心で、エンジニアはもの作りに集中する。作る部分と売る部分が分かれていたのです。製造業が中心だった時代は、それでもグローバルでの成功例だったので良かったのかもしれません」

「ただ、日本のネット企業は世界で戦えているとは言いづらい。ネットサービスでは、売ると作るがより密接です。政治家や経営者がリーダーとして判断する際に、エンジニア的な考え方も必要になってきていますが、日本ではリーダーにその素養がないまま意思決定をしていることが多い」

「一方、米国のビル・ゲイツ氏やマーク・ザッカーバーグ氏にはそうした判断ができるバックグラウンドがある。社会全体がそういう視点でデザインされている。日本を変えていくには時間はかかるでしょう。エンジニアを中心としたテックカンパニーである当社がグローバルで成功を収めるなど、自分たちができることから社会を変えていきたい」

――それを実現するために工夫している点などはありますか。

「合理的に透明性を高めて判断して意思決定するということでしょうか。社内政治など属人的なものではなく、データや事実に基づいてきちんと判断していることを示す」

「当社のエンジニアは40%が外国人です。日本や日本人の良いところは吸い上げつつも、日本であることを強調しない。グローバルで通用する仕組みを社内で導入すべきです」

――優秀なエンジニアは国境を越えて争奪戦が繰り広げられています。GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)をはじめ、海外の大手と競り合いながら人材を確保するためには何が必要と考えますか。

「待遇など、ベーシックな部分は当然、合わせていかなければいけません。ただ、最終的な決め手になるのはミッションだと思います。シリコンバレーで有能な人材を見ると、自分が何をやりたいか、どういう人と働きたいかで企業を決めているケースが多い。会社としてこういうことをやっていくという価値を宣言し、そこに共感してもらえるかが大事です」

(写真 竹井俊晴)

(写真 竹井俊晴)

――日本でデジタル化が進まない背景には、新しいものに対する恐怖が根底にあるような気がします。

「先人が築き上げてきたものを大切にする文化があります。ハンコもそうです。合理的に考えれば、やめてもいいはずです。ただ、なかなか進まない」

「そういう意味では、メルカリも新しい。最初は小さな存在で、一部のリテラシーが高い人が使っている段階では大きな問題はないのですが、成長して利用者が増えるにつれて想定していない使われ方をすることもあります。現金の出品や、コロナ禍でのマスク転売など、想定外の使われ方で社会に摩擦を生む結果になりました。出品禁止物を決める委員会を設置するなど、その都度対応してきました」

――すべての使われ方を想定してローンチするのは不可能です。そういう意味では、「走りながら考える」ように改良を重ねてきたわけですね。

「コロナショックで国内だけでなく、米国でもフリマアプリの利用は増えました。循環型社会の機運が高まりつつあり、メルカリが果たせる役割は大きい。社会にとって不可欠な存在になるという覚悟が決まりました」

「企業としても、社会としてもステージが変わってきています。メルカリは社外の方を招いて有識者会議を設置しました。どういうマーケットプレイスになるべきか。原理原則を定めていきたいと考えます」

(日経ビジネス 白壁達久)

[日経ビジネス電子版2020年9月11日の記事を再構成]

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