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手術ロボ大競争 川重・スタートアップ、ダビンチを猛追

2020/9/8 2:00
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川崎重工業とシスメックスが共同出資するメディカロイドの手術支援ロボット「ヒノトリ サージカルロボットシステム」

川崎重工業とシスメックスが共同出資するメディカロイドの手術支援ロボット「ヒノトリ サージカルロボットシステム」

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

医療現場にデジタルトランスフォーメーション(DX)の波が押し寄せている。ロボットや人工知能(AI)、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」などの技術を手術や画像診断に相次ぎ導入。これまで海外勢がリードしてきた「メディテック」市場に様々な日本企業が切り込み始めた。高齢化や医師不足といった課題に立ち向かうとともに、新型コロナウイルスへの対策もバネに台頭しつつある。

ダビンチの牙城を「火の鳥」で崩せ――。川崎重工業と血液検査機器大手のシスメックスが折半出資するメディカロイド(神戸市)は、月内にも国産初の手術支援ロボット「ヒノトリ サージカルロボットシステム」を発売する。

内視鏡を使う前立腺がん手術などを支援でき、1日に公的保険が適用された。2022年をめどに欧米などでも発売する計画で、シスメックスの家次恒会長兼社長は「日本発の手術支援ロボットを世界中に展開したい」と期待を込める。

ヒノトリはロボットアームに手術器具を取り付け、医師の操作で人間には難しいきめ細かい動きができる。病変を切除する際は余分な傷や出血を減らし、患者の負担を抑えられる。医師の経験や技量の差によるばらつきもカバーする。

■ベテラン医師の手技データ解析

外科医療の人材不足が叫ばれる日本で、ヒノトリは強力な助っ人と期待される。メディカロイドは経験豊富な医師の操作データを解析し、手技の伝承や若手医師らのスキルアップに生かす考えだ。川重の橋本康彦社長は「医療ロボットは高齢化社会に欠かせなくなる」と断言する。

手術支援ロボットは過去20年、米インテュイティブサージカルの「ダビンチ」が国内外で独占状態だった。ただ、ダビンチの主要特許の多くが19年に切れたことで市場は「戦国時代」に突入。「日本企業は産業用ロボット市場で過半のシェアを握るにも関わらず、手術向けは海外製しかなかった。この現状を変えたい」。メディカロイドの浅野薫社長は意気込む。

ヒノトリには川重がFA(ファクトリーオートメーション)で培ったノウハウを注ぎ込んだ。詳細な比較は難しいが、アームの太さはダビンチを脚とすると、ヒノトリは腕ぐらい。関節も多く、しなやかに動きアーム同士がぶつかりにくい。

ロボットの動作データに異常がないか、手術室の外でチェックできるのもダビンチにない特長だ。川重の橋本社長はヒノトリで「遠隔手術にも挑みたい」と話す。日本外科学会も遠隔手術の指針作りに着手し、実証実験を進める考えだ。

手術ロボ参入の動きは活気づいている。米トランスエンテリックスの「センハンス・デジタル・ラパロスコピー・システム」が台頭し、国内でも東京工業大学発スタートアップのリバーフィールド(東京・新宿)、国立がん研究センター発のA-Traction(エートラクション、千葉県柏市)が開発を進める。オリンパスは手術用内視鏡の操作補助ロボットを24年に発売する計画だ。

■8K映像に「スマート手術室」も

「ここまでクッキリみえれば安心だ」。手術室には今、8Kなどの映像技術やIoTが広がりつつある。エア・ウォーターは8K対応の内視鏡や手術用顕微鏡を発売。オリンパスも国立がん研究センターと8Kの内視鏡を使う手術支援システムの開発に乗り出した。

東京女子医科大学(東京・新宿)は日立製作所などと組み「スマート手術室」をいち早く導入した。室内の医療機器をソフトウエアで連携し、ディスプレーに稼働データを一括表示。どの部分を切除すべきかなど外科医の瞬時の判断を支える。脳腫瘍の手術などでの利用が始まっている。

NTTドコモとは高速通信規格「5G」の活用でタッグを組み、手術映像を5Gで遠隔地に送ってベテラン医師が執刀医に助言するという実証実験を進めている。

コンピューター断層撮影装置(CT)などの画像診断では、AIが医師より速く正確に画像を読み取り、小さな病変をとらえる。新型コロナウイルスでも、AIで患者の胸部CT画像で感染判定する取り組みが進む。

先行するのはソニー系で医療情報サービス大手のエムスリー。中国アリババ集団と組み、新型コロナに特有の肺炎を診断するAIを開発。6月に厚生労働省から製造販売承認を取得した。

富士フイルムホールディングスキヤノン子会社のキヤノンメディカルシステムズ、富士通、医用画像解析ソフトのザイオソフト(東京・港)なども同様のAI開発に走る。各社は肺全体に病変が広がる「間質性肺炎」が新型コロナによる肺炎とCT画像で似ている点などに着目している。

■新型コロナ診療でも活躍

遠隔(リモート)診療の技術開発も新型コロナを機に加速している。

フィリップス・ジャパン(東京・港)は9月、複数の集中治療室(ICU)を専門医が支援できる「遠隔集中治療ソリューション」を発売した。国内の集中治療医は2000人弱といい、慢性的な不足が課題だ。堤浩幸社長は「人材不足や医療の質の格差に対処し、医療者の働き方改革にもつなげられる」と話す。

同システムは患者の呼吸状態や血液の検査値、ICUの映像などを専門医に送信。AIで重症度を評価し、どの患者を優先治療すべきかなどをICUの医師に助言する。

「新型コロナ対策にも非常に役に立った」と、試験運用してきた昭和大学医学部の小谷透教授は明かす。新型コロナの重症患者は体外式膜型人工肺(ECMO=エクモ)の治療が必要になり、昭和大はフィリップスのシステムを活用した。

医療機器は操作の習熟に時間がかかり、他社製品には乗り換えにくい先行者メリットが働く市場だ。時に訴訟リスクもありうる治療機器になると、日本企業は及び腰で海外勢に市場を奪われてきた経緯もある。

メディテックには精密機器、光学、通信など多分野の製品開発と技術の掛け合わせが必要だ。日本企業の強みを解き放てるか、勝負の時期を迎えている。

(企業報道部 大下淳一)

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