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作業現場でも在宅勤務でも 「複合現実」ゴーグル浸透

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エレクトロニクス
2020/9/1 11:00
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中小企業でもホロレンズの活用が広がってきた(堀江車輌電装の作業員)

中小企業でもホロレンズの活用が広がってきた(堀江車輌電装の作業員)

装着すると複合現実(MR)が見えるゴーグル型端末が、製造業の最前線で使われ始めた。海外拠点への技術支援や、新型コロナ対策のための遠隔会議など用途が広がる。一方で端末の種類の拡充やコスト削減など課題も見える。

8月、埼玉県日高市にある西武鉄道の武蔵丘車両検修場。電車の整備を請け負う堀江車輌電装(東京・千代田)の男性社員が、電車のユニットブレーキを手入れしていた。ヘルメットの下に米マイクロソフト(MS)のゴーグル型端末「ホロレンズ」を装着している。

■映像参照しつつ整備作業

作業員が手に持つのは支点ピンと呼ばれる部品だ。ホロレンズ越しに見つめると、部品の周囲の空間に支点ピンの特徴や取り付け手順が映し出される。「次へ」という文字に視線を2秒合わせると、説明文が切り替わった。レンズの映像を参照しながら、実物の支点ピンで作業ができる。作業員は「紙の説明書のように油汚れを気にしなくていい」と満足げだ。

同社は創業53年の中小企業で、ベテランの技能伝承が課題になっていた。「『背中を見て覚えろ』という手法は個人差が激しい」(堀江泰社長)。だが紙のマニュアルにすると何百ページにも及ぶ。そこでホロレンズを使ってみることにした。

ユニットブレーキの分解など127工程をMRとして表示できるよう、2年かけてホロレンズ用のアプリを開発。8月に本格導入し、新人からは「先輩が忙しくても疑問が解ける」「工場以外でも練習できる」と好評だ。アプリ開発などに数百万円がかかったが「技術承継の効率化を思えば高くない」(堀江社長)。

MRとは、現実の景色に仮想の映像などを重ね合わせて操作する技術のこと。専用のゴーグル型端末を使うのが一般的だ。人気のスマホゲーム「ポケモンGO」で使われる拡張現実(AR)と比べ、複雑な情報を表示できるのが特徴だ。

MSは2019年11月、視野角を2倍にして装着感を改善した新機種を投入。コミュニティーの整備などアプリ開発の支援を強化し、普及を後押ししている。

ホンダ系部品大手の武蔵精密は5月から、メキシコの拠点でホロレンズを使い始めた。新型コロナウイルスの影響で、海外拠点を支援する日本からの技術者派遣が困難になったため、ホロレンズを通じて作業手順を伝える。大塚浩史社長は「世界のほかの拠点にも広げて、移動時間やコストを削減したい」と話す。

トヨタ自動車も研究を進めている。修理や点検業務を効率化するため、販売店の整備士への配備を検討中だ。

■生まれる臨場感

在宅勤務の増加がきっかけで、ホワイトカラー職場にも広がり始めた。

オフィス家具大手のイトーキはスタートアップのホロラボ(東京・品川)と組み、MRを活用した遠隔コミュニケーションツールの共同開発に取り組む。主な狙いはビジネスミーティングだ。

「こんにちは、はじめまして」。ホロレンズを装着して周囲を見渡すと、何もない空間に男性の姿が現れた。画像の解像度は粗いが、奥行きを感じられる。相手先に設置した3Dセンサーとカメラが離れた場所にいる人の情報を立体的に捉え、ホロレンズを通じて見えるようにする。

文字のチャットよりも、ビデオ通話の方が微妙なニュアンスを伝えられる。3次元映像になれば臨場感はさらに増す。

イトーキは現実世界のオフィス家具や空間設計を手掛けてきた。今後は「仮想空間で働く人たちも支援したい」と先端技術研究所の新居貴志チームリーダーは話す。実証実験を踏まえ、早急に法人向けサービスとして提供したい考えだ。

遠隔手術の支援など医療分野での応用も期待されている。アプリ開発が進めば、様々な現場でMRが浸透しそうだ。

■5Gが追い風、費用が課題

「スマホの次のデバイスは、XRグラスが本命だ」。米半導体大手のクアルコムの幹部は、19年にイベントでそう断言した。XRとは、MRやAR、VR(仮想現実)を総称した技術。矢野経済研究所(東京・中野)によると、XR端末やソフトの19年の国内市場は3951億円。「次世代通信規格5Gの普及でさらに拡大する」(同社)とし、25年には1兆2千億円を予測する。

VRヘッドセットはゲームでも多く使われている。米IDCによると、19年のVR端末の世界シェア首位はオキュラスを傘下に持つ米フェイスブック(31%)で、2位は「プレイステーションVR」を販売するソニー(23%)だった。

競争は激しさを増す。米アップルは5月にVRなどの映像技術開発を手掛ける企業を買収し、ゴーグル型端末の開発を進めているとの臆測を呼んだ。米グーグルも6月に関連企業を買収した。

一方でMR端末は米スタートアップのマジックリープなどが販売するが、まだ参入が少ない。昨年発売した新型ホロレンズの価格は1台税込み約42万円で、アプリ開発費用もスマホと比べるとまだ高い。活性化にはもう一歩のハードル低減がカギになる。(中藤玲)

▼MR(複合現実) 仮想世界と現実世界を融合させる技術。現実世界にある物体の位置や形などを認識し、目の前に立体的な映像を表示する。空間に情報を浮かべて操作したり、遠方にいる人と同じ空間でコミュニケーションを取れたりする。
 似たような技術に、拡張現実(AR)や仮想現実(VR)がある。ARは現実の風景にCGなどを重ねて表示する技術で、スマホゲーム「ポケモンGO」が有名だ。VRは360度見えるもの全てが仮想空間で、没入感がある。
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