【データベース管理ソフト大手】米オラクルの日本法人。
米オラクルは17日、同社クラウド「Oracle Cloud Infrastructure(オラクル・クラウド・インフラストラクチャー、OCI)」上で米ヴイエムウェアの仮想化ソフトを使う「Oracle Cloud VMware Solution(オラクル・クラウド・ヴイエムウェア・ソリューション)」の提供を開始した。オンプレミス(自社)環境で稼働するVMwareベースのシステムをそのままOCIに移行したうえで、「Oracle Autonomous Database(オラクル・オートノマス・データベース)」などOCI上のサービスの活用を促す狙いがある。
Oracle Cloud VMware Solutionは同社すべての商用リージョン(データセンターを置く地域)、およびオンプレミス版である「Oracle Dedicated Region Cloud@Customer(オラクル・デディケーテッド・リージョン・クラウド・アット・カスタマー)」で利用できる。
Oracle Cloud VMware Solutionは、ヴイエムウェアのクラウド基盤ソフト「VMware Cloud Foundation(ヴイエムウェア・クラウド・ファンデーション)」をOCI上に導入して用いる。Cloud Foundationは、仮想サーバー(VMware vSphere=ブイスフィア)、仮想ストレージ(VMware vSAN=ブイサン)、仮想ネットワーク(VMware NSX)などで構成する。
同様のサービスは、米IBMや米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)など大手クラウド事業者が提供済みだ。AWS版に当たる「VMware Cloud on AWS」の東京リージョンでの提供開始は2018年11月にさかのぼる。
最近になって米マイクロソフト版「Azure VMware Solution(アジュール・ヴイエムウェア・ソリューション)」や米グーグル版「Google Cloud VMware Engine(グーグル・クラウド・ヴイエムウェア・エンジン)」が加わるなど、運用主体の違いなどはあるものの、今やこうしたサービスを持たないクラウドを探すほうが難しい。
飽和状態とも言えるなか、オラクル版は顧客に何を打ち出すのか。その1つとして、日本オラクルテクノロジー事業戦略統括の佐藤裕之ビジネス推進本部長は「オンプレミス環境と同等の操作性の提供」を挙げる。
他のサービスはインフラからVMwareの管理まですべてをクラウド事業者が担うが、「Oracle Cloud VMware Solutionはあえてユーザー管理の範囲を増やし、VMware環境の運用はユーザーに任せた」。これにより、VMware製品へのパッチ適用などはユーザーが任意のタイミングで実施できる。
(日経クロステック/日経コンピュータ 森山徹)
[日経クロステック 2020年8月17日掲載]