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村田製作所社長、焼鳥店で描いた回路 世界製品に

京都
関西
コラム(ビジネス)
エレクトロニクス
自動車・機械
2020/8/11 2:00
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NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

電子部品大手の村田製作所に6月、初めて創業家以外からの社長が就任した。前社長の村田恒夫会長からバトンを引き継いだのは、1985年に入社して以来、技術畑を歩んだ中島規巨(58)だ。高い技術力が強みの本業の電子部品だけでなく、スピード感を持った経営でソリューションビジネスなど新たな事業の柱を打ち立てようとしている。

「次期社長候補は中島さんだろう」――。3月に社長交代が発表される前から中島は村田会長の後継として社内外で本命視されていた。直近ではスマートフォンに欠かせない通信部品などを束ねるモジュール事業本部長として、新技術の開発や事業拡大を指揮。社内では「村田をスマホ部品メーカーの代表格に育てた立役者」と評される。

85年に同志社大学工学部を卒業して村田製作所に入社した。最初に任されたのは、現在では村田製作所が世界シェア4割を握る電子部品、積層セラミックコンデンサー(MLCC)の原材料開発だった。

MLCCの電極材に価格の安いニッケルを使うにはどうしたらいいか――。必要な技術の開発に没頭し、「本社の図書室にあった専門書はすべて読んだ。人生で一番勉強をした時期」という。それでも「商品になる材料はできたが、これといった成果はほぼなかった」と、当時を振り返る。

村田製作所のセラミックコンデンサー

村田製作所のセラミックコンデンサー

その後、MLCCを製造する福井村田製作所を経て1991年にフランスの電子部品メーカーに出向した。そこで携わったのが通信部品の開発だ。「MLCCの技術を高周波部品に展開できないか、2年ほど研究した」。ただ、そこでも思ったような成果を上げられなかった。「当時、欧州子会社の社長をしていた村田会長に『いつまで遊んでるねん』と言われた」と笑う。

そんな中島を一躍有名にする製品が90年代後半に誕生する。アナログ通信方式からデジタル方式に切り替わった携帯電話で、送受信の電波を切り替えるのに使われる「スイッチプレクサ」と呼ばれる部品だ。それまで使われていた「フィルター」に比べて、サイズを格段に小さくすることを可能にした。

スイッチプレクサは、中島が焼鳥屋で描いた回路図をもとに開発された。当時、携帯電話のトップメーカーだったスウェーデンのエリクソンの技術責任者が来日。焼き鳥を囲んだ会食の席で、エリクソンの責任者が「通信部品はもっと小型にできるんだ」と新技術のイメージ図を中島に見せた。中島はすぐさま「こうした方がさらに小さくなる」と、手持ちのリポート用紙に新たに回路図を書き上げた。

なかじま・のりお 1985年(昭60年)同志社大工卒、村田製作所入社。13年取締役常務執行役員、17年代表取締役専務執行役員、20年6月から現職。大阪府出身

なかじま・のりお 1985年(昭60年)同志社大工卒、村田製作所入社。13年取締役常務執行役員、17年代表取締役専務執行役員、20年6月から現職。大阪府出身

スイッチプレクサにより、携帯電話の小型化が進んだ。現在のスマホや携帯電話は中島が考えたスイッチプレクサがさらに改良された技術を使っているが、原理は当時から大きく変わっていないという。現代人の必需品を支える技術の1つが、技術研究の手を緩めなかった中島のアイデアから生まれたと言っても過言ではない。

中島のもう一つの功績が、現在では主力顧客となっている米スマホメーカーとの取引拡大だ。携帯音楽プレーヤーに無線通信技術を載せたいという顧客企業からの要望に、「音楽プレーヤーに通信機能が必要なのか」と半信半疑で小型無線通信技術を開発。ここで得た取引関係が、後に世界で最も有名なスマホへの部品供給につながった。

前社長の村田恒夫会長の就任中に、村田製作所の連結売上高は2.5倍の約1兆5千億円規模まで拡大した。中島は、今の村田製作所が「MLCCのような汎用的な電子部品の販売戦略と、顧客ごとに専用設計の製品を生み出すという2枚のポートフォリオが回るようになった」と語る。

社長のバトンを受け取った中島は「3枚目のビジネスモデルを僕は用意しないといけない」と意気込む。狙うのはソリューション(問題解決)ビジネスだ。ものづくりだけでなく、そこから派生する「コトビジネス」の展開を狙う。村田会長も「30年には売上高の2割はコトビジネスになっているかもしれない」と後押しする。

「コトビジネスは物売りとは大きく違う。ビジネスの仕組みを変えないといけない」と中島は強調する。どのような仕組みを作るのか。具体的な計画はこれからだが、前提となる経営スタイルのイメージは既に描かれている。それが「自律分散経営」だ。

顧客のニーズを丁寧に把握しながら完成度の高い部品を供給するのが村田製の強みであり、成長力の源泉だ。それを実現するには個人プレーではなくチームでビジネスに取り組む必要があり、「多くの人に参画意識を持たせることが重要」と中島は考える。

そのために顧客や技術、経営に関する情報などを社内で共有し、現場が判断することで顧客の要望にスピード感をもって対応できる仕組みを作るという。「どこまでできるかわからないが、30年やその先の創業100周年に向けて進める」。初の非創業家のトップがどんな変革を起こすか。携帯電話の進化に匹敵するような時代の波につながるかもしれない。=敬称略

■中島規巨氏、ラグビー部でネットワーク


村田製作所の村田恒夫会長(左)から初めて創業家以外の社長のバトンを引き継いだ

村田製作所の村田恒夫会長(左)から初めて創業家以外の社長のバトンを引き継いだ


スイッチプレクサの開発と並んで「大きな成果」と自ら胸を張るのが、若い頃に社内の愛好者らを集めたラグビー部の創部だ。京セラ島津製作所といった京都の強豪チームと争い、京都の社会人リーグで上位に入ったことも。様々な部署から集めたメンバーには現在の幹部も多く「組織間連携の1つの形だった」。初代監督は同志社高校ラグビー部出身の村田恒夫会長だった。

(京都支社 福冨隼太郎)

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