【自動車ランプ大手】仏ヴァレオの子会社に。ミラー類も手掛ける。
トヨタ自動車が政策保有株(持ち合い株)の見直しを進めている。日本製鉄や切削工具大手のOSGなど4銘柄を売却した。24日に公表した2020年3月期の有価証券報告書で明らかにした。次世代車開発で自動車産業が変革期にあるなか、持ち合い株も、見直して成長投資に振り向ける。
「モビリティカンパニーへのフルモデルチェンジを念頭に、政策保有株の見直しや遊休不動産の見直しなどアセットの見直しにも取り組んでいる」。豊田章男社長は5月の決算発表の場で説明していた。
日本製鉄とOSGのほか、ランプの市光工業、産業用ベルトの三ツ星ベルトの保有株を20年3月末までに売却した。不二越なども保有株を減らした。トヨタは前の期にもいすゞ自動車、セーレンなどを売却しており、保有株の見直しを進めている。トヨタ幹部はかねて「基本的な考えとしてはトヨタがサプライヤーの株式を持つ必要があるのか、というのがある」と説明してきた。
トヨタは上場企業が守るべき企業統治の行動指針であるコーポレートガバナンス・コードの方針も踏まえて保有株を見直す。18年6月の改定では、政策保有株の削減方針の開示や、経営幹部の解任の説明などを求めていた。トヨタは同日、今回の保有株の売却について、「取引関係に影響はなく、長期安定的な取引関係を継続できると判断した」と説明した。
一方で、同報告書には上場によって新たに開示基準となった米ウーバーテクノロジーズ株が掲載された。相互出資の資本提携を交わしたスズキ株も掲載された。
自動車産業では自動運転やコネクテッドカー(つながる車)などの次世代車開発が競争の中心になっている。トヨタは既存の自動車メーカーなどとの仲間作りによって、互いの強みを持ちより競争力を確保するほか、新領域では異業種と手を組んでいる。
今回の報告書には記載されていないが、トヨタは3月にNTTとの相互出資の業務資本提携も発表している。つながる車やスマートシティー(次世代都市)づくりで連携する。豊田社長は発表の記者会見で「長期的な関係を構築するには対等出資に意味がある」と語っていた。
東海東京調査センターの杉浦誠司シニアアナリストは「取引関係が安定している自動車部品メーカーなど取引先の保有株売却は理解できる」と話す。ただNTTとの持ち合いなどを念頭に「依然として株式の持ち合いについては機関投資家など市場との考えにずれがある」と指摘する。
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