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「全役員クビ」突きつけられた駅探 大株主が独自候補

日経ビジネス
2020/6/22 2:00
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駅探の乗り換え案内アプリ。経営権を巡る争いは、委任状争奪戦にもつれ込んでいる

駅探の乗り換え案内アプリ。経営権を巡る争いは、委任状争奪戦にもつれ込んでいる

日経ビジネス電子版

東証マザーズ上場で乗り換え案内サービスを手掛ける駅探が、大株主に全役員の解任を迫られている。大株主は駅探の取締役が社員にパワーハラスメント(パワハラ)を行ったとし、独自の取締役候補を提案。駅探は「事業に知見がない取締役では経営が混乱する」として対決姿勢を強めている。

「現経営陣では、駅探の企業価値を守れません」。駅探の株式の30.871%(議決権ベース)を保有する、東証1部上場のCEホールディングス(HD)は、自社ウェブサイトでほかの株主へ賛同を呼びかけている。

6月29日の株主総会に向けてCEHDが発表した株主提案は、駅探の現経営陣を全て解任し、CEHDの取締役2人、駅探の管理職3人、社外取締役2人の計7人を取締役候補とする内容だ。提案が通った場合は、CEHD取締役が駅探社長に就き、コンプライアンス体制を再構築するとともに、次世代移動サービス「MaaS(マース)」領域に注力して業績を伸ばす、としている。

CEHDが問題視するのは、駅探の元取締役によるパワハラだ。CEHDとの窓口を担当する駅探社員が頻繁に退職することを不審に思い、駅探の社員らに確認したところパワハラの端緒をつかんだ。

CEHDの要請を受けて駅探は社外取締役や弁護士で構成する外部調査委員会を設置。5月に提出された調査報告書(非公開)で調査委員会は「パワハラに該当する可能性が相当程度認められる」と指摘し、対象となった取締役は辞任を申し出た。

それでもCEHDは矛を収めない。駅探が2016年3月期から20年3月期の5年間で、20年3月末の社員数64人を上回る65人の退職者を出しているとして「長年、パワハラを放置した取締役は善管注意義務を果たしていない」と強調している。

CEホールディングスは自社のホームページで、駅探株主にCEHDの株主提案への賛同を呼びかける

CEホールディングスは自社のホームページで、駅探株主にCEHDの株主提案への賛同を呼びかける

対する駅探の現経営陣は「CEHDが提案する取締役候補は主力事業に関する経営経験が無い」と批判。取締役7人のうち過半の4人を社外取締役とする選任案を提示して、ガバナンスの改善を訴えている。

■「事業の関係性が薄い」と一度は突き返した資本提携

両社の対立の根源をたどると、12年に行き着く。駅探は、東芝が1997年に携帯電話やパソコン向けに開発したサービス「駅前探険倶楽部」が分社化して生まれ、2011年に上場を果たした。東芝から07年に株式を買い取ったポラリス・プリンシパル・ファイナンス(現ポラリス・キャピタル・グループ)は、エグジット(売却益を得る)先としてCEHDに声をかけ、12年に譲渡が実現した。

実は、CEHD首脳は「両社の事業に関係性が薄い」と一度は突き返していた。CEHDの主力は電子カルテなど病院向けシステムの開発で、乗り換え案内とは縁遠い。しかし、駅探のノウハウを活用して消費者向けのサービスに進出したいと、方針転換した経緯がある。

しかし、この資本提携は、最初の見通しが正しく、無理があった。駅探の中村太郎社長によると、合弁会社をつくって、医療情報を発信するメディアや駅探の位置情報サービスを生かした地域医療機関を検索するサービスを立ち上げようとしたが、うまく軌道に乗らなかった。

相互に取締役を派遣した時期もあったが、次第に疎遠になった。ファンドなどからCEHDに「駅探株を売ってくれないか」と打診が来たり、CEHDが株主から「駅探株を売るのか、買い増すのかどっちなんだ」と問われたりといったこともあったという。CEHDが株式を手放すことについて駅探と話し合いを持ったこともある。

■米議決権行使助言会社は「支配権を握りたいならTOBすべきだ」

しかし3月、新型コロナウイルスの感染拡大により人々の外出が厳しくなると駅探の株価は急落。さらにシナジー創出も難航していることから、経営を「てこ入れ」するしか選択肢はないと判断したとみられる。「コンプライアンスを理由に経営陣の総とっかえを進めるのは過激な印象」(業界関係者)といった意見もあるが、取締役を交代させて実質的に経営を主導することを狙っているようだ。

ただ、CEHDが描く青写真に、ほかの駅探株主が魅力を感じるかは不透明だ。CEHDは出資から8年の間、シナジーを生み出せなかった。その上、約30%しか議決権を持たないCEHDが選んだメンバーが取締役会を牛耳れば、その他の株主の反発は必至だ。

米議決権行使助言会社インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)は「駅探の業務遂行には懸念があり、株価は低迷している。しかし、CEHDが支配権を握りたいなら、適切なプレミアムを付けた価格でTOB(株式公開買い付け)を行うべきだ」として会社側を支持している。

一方で、駅探のパワハラ問題も捨て置けない。CEHDの芳賀恵一取締役経営企画室長は「(駅探の)事業展開が遅い根本原因は、パワハラで幹部クラスの社員がいなくなり、組織が痛んでいるため」と話す。駅探の20年3月期の最終利益は3期連続で前年割れとなっている。また、CEHDは駅探元社員らの訴えが届く前から、今回辞任した取締役の態度を問題視していたという。他の株主から駅探の現経営陣では自浄作用が働かないと判断されれば、大幅な入れ替えが支持される可能性もゼロではない。

株主総会に向けて揺れる駅探だが、財務は盤石だ。自己資本比率は80%を超えており、現預金24億円に対し、有利子負債(1年以内に返済予定の長期借入金と社債の合計)はわずか1800万円。こうした「キャッシュリッチ」企業は高い投資余力を持ち、株主還元も強化しやすい。

同じく6月の株主総会でプロキシーファイト(委任状争奪戦)が起きている天馬も良質な財務体質が特徴で、「投資ファンドの間で優良企業として名が知れていた」(金融関係者)。こうした企業の株主総会は近年、株主と経営陣の争いの舞台となることが少なくない。

乗り換え案内サービスは駅探のほか、ジョルダン、ヴァル研究所、ナビタイムジャパンの4社が競合している。鉄道やバスなど複数の交通機関を組み合わせて適切なルートを割り出す機能は、MaaSに不可欠だ。駅探以外の大手3社が積極的に他業種との連携を進める中、駅探も6月にIT企業のTOKAIコミュニケーションズ(静岡市)と業務提携し、MaaSエンジンの開発を目指すと発表した。

競争が激化する業界で、経営権を巡る争いが尾を引けば出遅れを招きかねない。株主の判断が駅探の今後を大きく左右することになる。

(日経ビジネス 鷲尾龍一)

[日経ビジネス電子版 2020年6月17日の記事を再構成]

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