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2021年3月9日(火)
8293 : 自動車小売
名証2部

【トヨタ系最古参ディーラー】中部最大。中古車、住宅販売も。

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トヨタ新車販売店の将来像、「家電量販型」に転換も
販売改革の成算 全車種併売の衝撃(中)

自動車・機械
愛知
中部
2020/5/11 15:30
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国内市場の縮小に加え、シェアリングや自動運転を指すCASEの波が押し寄せるなど自動車業界は「100年に1度」の大転換期を迎えている。トヨタ自動車は全車種併売を機に、全国に6千店ある販売店網にビジネスモデルの転換を迫っており、各地で新たな取り組みが始まっている。将来、メーカーに縛られずに多数の商品を扱う家電量販店のような自動車販売店が生まれる可能性を指摘する声もある。

群馬トヨタは中古車版KINTOの展開を順次広げる(高崎市)

群馬トヨタは中古車版KINTOの展開を順次広げる(高崎市)

3年に1回、10万円分を上限にパンクしたタイヤを無償で交換します――。全車種併売を機に「トヨタ販社で初めて」というサービス提供を始めたのはネッツトヨタ東名古屋(名古屋市)だ。山口峰伺社長は競争激化に備え「他社にないサービスで差異化を図りたい」と力を込める。

■「ゆでがえるになるぞ」

トヨタ首脳陣は併売を機に販売店の一国一城の主たちに奮起を促したいフシがある。「地域の困りごと解決や『ご用聞き』としての役割が重要になる」などと今後の方向性を示している。

「今の変化のスピードではゆでがえるになるぞ」。変わろうとしてこなかった「城主」にこう発破もかけている。高齢化や人口減で国内新車市場はピークの1990年より3割縮小し、30年かけてじわじわと収益力が弱まる状態が続いてきたからだ。

「新規顧客を吸引する新たな武器に」。トヨタが販売革命として力を入れる定額サービス「KINTO」に活路を見いだす販売店もある。群馬トヨタ自動車(高崎市)は、全国で初めて中古車を使ったKINTOを展開している。開始から3カ月で契約は2件にとどまるが、「全国から問い合わせは多い」。

当初、1店舗のみで5月末までの提供を予定していたが、期間を延長して店舗も順次拡大する。

愛知県最大手の販売会社ATグループ(名古屋市)は、新型コロナウイルスの支援策として軽症患者の移送に使う車両を愛知県に無償提供した。山口真史社長は「車移動の価値が見直されており、持っている資産を有効活用したい」と述べる。

東京で先行する「トヨタモビリティ東京」は19年4月に併売を始めた。19年度販売台数は18年度に全面刷新した高級セダン「クラウン」の反動減の影響を除くと「ほぼ前年並み」だが、高級外車が人気の都心部にある旧カローラ店、旧ネッツ店では高級・大型車の販売が増えるなど販売傾向に地域性が表れた。

■販売戦略の転換点

「つくるより、売る方が難しい」。トヨタ自動車創業者の豊田喜一郎氏はこう考えていた。トヨタは当初から製造・販売を車の両輪とし、販売戦略にも力を注いできた。創業時は米ゼネラル・モーターズ(GM)とフォードが市場を席巻しており、トヨタなど国産勢は赤子も同然だった。

喜一郎氏は日本GMに在籍していた神谷正太郎氏を引っ張り販売を任せた。神谷氏や日の出モータース(現愛知トヨタ)の山口昇氏らを中心に、全国各地の地元資本家や人材が担い手となって強固な販売網を築き上げてきた。神谷氏はのちに「販売の神様」と呼ばれた。

1950年、戦後の混乱で経営危機に陥ったトヨタは、銀行団から融資を受けるために販売部門を分離した。その後、高度経済成長期には兄弟車や販売チャネルの多様化がフィットし、82年にトヨタ自動車工業と同販売が合併し今のトヨタになった。全車種併売はこれらと同じ販売戦略の大きな転換点といえる。

併売は消費者にとって1つの店での車の選択肢を広げる。小型車「ヴィッツ」に10年以上乗っている名古屋市昭和区の土川国彦さん(75)は「慣れ親しんだ店で今まで買えなかった車に乗り換えられて便利だ」と話す。

将来、より便利な買い方が実現するかもしれない。ある販売店幹部は「自動車もいずれ、家電量販店のように1つの店で複数のメーカー・ブランドを取り扱うようになるのではないか」と指摘する。定額サービス・KINTOの小寺信也社長も「他のブランドもできるのであればやっていきたい」と意欲を見せる。

かつて「町の電気屋さん」と呼ばれた電機メーカー各社の系列販売店が力を失い、品ぞろえと安さを武器に急速に台頭した家電量販店。今ではネット通販との価格競争に追われる立場ともなっている。

新型コロナ感染拡大以後の消費者の変化はまだ読めないが、モノよりはサービス、ネット重視の志向は加速するだろう。メーカーががっちりおさえる新車流通はこれまで異業種の参入障壁が高かったが、これからは垣根がなくなり、車を家電のように量販店やネットで買うのが当たり前になる可能性もある。

ただ、先に併売に踏み切った日産自動車ホンダなどが国内市場の縮小にあらがえたとは言いがたい。トヨタも今回の動きを機に新たな価値を消費者に提供できなければ、販売店同士が競争し合い収益を底上げしたかつての良さだけが失われる。値引き頼みの販売競争に陥り、市場縮小に流されるままになりかねない。コロナ禍で縮小が加速する恐れもある。

「一にユーザー、二にディーラー、三にメーカー」。「販売の神様」神谷氏がとなえた哲学の一つだ。自動車市場にも異業種では当たり前の地殻変動が押し寄せる中、独自の価値を顧客に提供できる販売店が生き残る。

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