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微生物で有機物を自在に合成 注目の米バイオ企業

CBインサイツ
スタートアップGlobe
コラム(テクノロジー)
2020/3/27 2:00
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ギンコのナノレベルの試料処理機器(出所:同社)

ギンコのナノレベルの試料処理機器(出所:同社)

CBINSIGHTS
 デジタル分野に続いて今後大きな技術革新と市場拡大が期待できるのが、バイオ分野だ。スタートアップ企業が続々と誕生しており、企業価値が10億ドルを超えるユニコーンも増えている。中でも大きな注目を集めている会社が、微生物を使って様々な有機物を自在に作る米ギンコ・バイオワークス(Ginkgo Bioworks)で、世界中の企業が同社の技術を求めて群がっている。CBインサイツが同社の強みを解剖した。

日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週2回掲載しています。

バイオスタートアップ、ギンコ・バイオワークスは工業や医療、消費財に利用する有機物を作り出す微生物の設計を手掛けている。化学から香料の開発、大麻の生産まで、様々な業界の顧客が微生物を活用して低コストで効率的な量産体制を構築するのを支援している。

ギンコは最先端の研究技術と特許取得済みのソフトウエアを駆使し、顧客企業の研究開発のスピードを速め、能力を高めている。既に様々な企業と提携して微生物を使った斬新な製品や生産手法を市場にもたらしている。

■資金調達履歴

▽調達額は計7億ドル超

ギンコは米ボストンに拠点を置き、2014年以降、公表ベースで計7億2600万ドルを調達している。

創業当初は米エネルギー省や全米科学財団(NSF)、米国立標準技術研究所(NIST)など政府機関から助成金や報奨金を受けた。

14年には、米有力アクセラレーター(支援家)「Yコンビネーター」が出資した初のバイオ技術スタートアップになった。

19年9月に実施した直近のシリーズEラウンドでは2億9000万ドルを調達し、企業価値は最大42億ドルになった。調達資金は研究所の新設やロボットの購入に使うもよう。

投資家には米データコレクティブや米バイキング・グローバル・インベスターズ、米カスケード・インベストメント、米ゼネラル・アトランティック、米ティー・ロウ・プライスなどが名を連ねる。

■事業モデルと強み

▽細胞工学のテクノロジーと最先端の設備により、研究開発を強化

ギンコは顧客向けに細胞(微生物)を設計し、商用レベルの量産体制を構築することで収益を上げている。

さらに、同社の技術の活用を望む企業と提携している。ギンコのバイオ技術に関する専門知識と提携パートナーの業界知識を組み合わせることができるため、提携は両社にとってメリットがある。

提携パートナーが量産に乗り出せば、ギンコはライセンス協定により売り上げに応じたロイヤルティー(手数料)を受け取る。

または、事前に定めた条件を満たすか研究課題をクリアする細胞の設計に成功すると、報酬を受け取る契約を交わす場合もある。例えば、医療用大麻やCBDオイル(CBDは大麻に含まれる有効成分)の生産・販売を手がけるカナダのクロノスは、ギンコが研究開発目標を果たす発明をするたびに、最大60万ドルを支払うことで合意している。

知的財産(IP)の所有権は顧客によって異なる。例えば、クロノスとの間では、クロノスのCBD製品の使用、投与、応用に関連するIP以外は全てギンコが所有している。

■提携・ジョイントベンチャー

ギンコの提携はこの5年で爆発的に増えている。同社が提携企業に価値ある新規事業をもたらすからだ。ギンコが顧客向けに新しい製品を開発し、量産化体制を整えると、双方が営業秘密に触れるため、提携やジョイントベンチャー(JV)の正式契約が必要になる。

ギンコとの提携でパートナー企業は新素材を開発し、バイオ技術の研究を加速し、量産化の新たな方法を見つけることができる。ギンコは新たに発明した素材に対してロイヤルティーを受け取るため、こうした契約は長期に及ぶ収益を生む可能性が高い。

下記の表では、ギンコの多くの提携(JVを含む)の詳細を示している。企業名、提携タイプ、提携期間、業種、業務内容をまとめた。ギンコの収益モデルを考えると、こうした提携が同社の売り上げを伸ばし、関与する業界を増やす足掛かりになっているといえる。

ギンコの過去5年間の提携

ギンコの過去5年間の提携

医薬・農薬大手の独バイエルは17年にギンコと提携し、ジョイン・バイオ(Joyn Bio)を設立した。バイエルは世界有数の化学メーカーであり、ジョイン・バイオはギンコと共同で窒素固定菌の進化に取り組んでいる。ギンコはバイエルが保有する10万種以上に上る微生物の菌株のライブラリーから、主な候補を見つけ出す。バイエル、ギンコ、そしてギンコの投資家でもあるバイキング・グローバル・インベスターズは、ジョインに1億ドルを出資している。

一方、ギンコは16年にバイオセンサー(微生物などが持つ優れた認識機能を利用したセンサー)の開発を手がける米プロスペクト・バイオ(Prospect Bio)と提携した。バイオセンサーは電子機器に接続して結果を表示できるため、ギンコによる提携各社向けの新製品の試験コストを大幅に削減できた。

さらに、従来の手法とは異なり、複数のサンプルを一気に試し、結果と同時に分析できるため、試験のスピードも速まった。例えば、研究者は新しい抗生物質の試験の効果を結果が出るまで待つのではなく、リアルタイムで知ることができるようになった。

ギンコの提携実績を踏まえると、提携やJVは今後さらに増えるだろう。

■顧客獲得戦略

ギンコは様々な業界の新しいトレンドを見極め、それが競争に先んじるためにどう役立つかを顧客に売り込む。例えば、大麻関連ビジネスは堅調に伸びているが、大麻から高品質のCBDを抽出するのは難しく、コストもかかる。ギンコとクロノスは提携により人工的につくり出した微生物を活用し、この問題の解決に取り組んでいる。その結果、ギンコは最大2200万ドルの収益を生む契約を締結した。

19年末時点でのギンコの顧客は20社以上、進行中のプロジェクトは50件以上に上る。

■市場規模

▽新興の合成生物学市場に所属

ギンコはバイオ技術を中核事業とし、合成生物学市場に属している。CBインサイツの業界アナリスト予想によると、この分野の市場規模は年4.2%拡大し、2~3年後には240億ドル相当に達するとみられている。

■ライバル企業

▽他社をリード

ギンコは、機械学習と自動化を活用し生物工学を駆使して微生物をつくり出す企業と競合している。こうした合成生物学の分野では、ギンコは資金調達額と提携企業数の両方でトップに立っている。直近の資金調達ラウンド後には工場をさらに拡充する計画だ。同社の生産量は15年以降、6カ月ごとに2倍に増えている。

・米バイオスタートアップ、ザイマージェン(Zymergen)は機械学習を活用して開発プロセスを加速するゲノム(全遺伝情報)分野の革新的存在として、ギンコと直接競合している。ザイマージェンは14年以降、4回の資金調達ラウンドで5億7400万ドルを調達した。ソフトバンクグループや米ゴールドマン・サックス、韓国のハンファ資産運用などが出資している。ザイマージェンは19年、先端材料の分野で新たな分子を見つけるために住友化学と提携した。

・米シンセティック・ゲノミクス(Synthetic Genomics)もライバル企業として有望だ。共同創業者のクレイグ・ベンター氏は2000年、ヒトゲノム解読の草分けとなったチームを率いたことで知られる。米スレッショルド・ベンチャーズ、石油大手の米エクソンモービルと英BPなどが06年以降、7500万ドルを出資している。

・他のシードステージやアーリーステージのライバルには、英シンセース(Synthace)、カナダのメタミクシス(MetaMixis)、独シンバイオニック(Synbionik)、ギンコと同じ米マサチューセッツ州に拠点を置くエンエボルブ(enEvolv)などがある。

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