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2020年12月5日(土)
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関西の地価、キタ以北がけん引 ミナミ・京都は変調兆し

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2020/3/18 16:50
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新大阪駅周辺ではオフィスビル建設が目立つ(大阪市淀川区宮原)

新大阪駅周辺ではオフィスビル建設が目立つ(大阪市淀川区宮原)

2020年の公示地価(1月1日時点)で、関西の商業地は大阪のキタ(梅田エリア)以北の地点の伸びが目立った。キタのオフィス需給の逼迫を受け、JR新大阪駅付近までオフィス建設が拡大。千里ニュータウンは居住地として再び注目が集まる。一方、訪日客の増加で上昇してきたミナミ(難波・心斎橋エリア)や京都市では変調の兆しが見え始めた。新型コロナウイルスの影響で先行きは不透明だ。

新大阪駅を出て徒歩5分。関西地盤のデベロッパー、サムティが今秋開業する地上8階建てのオフィスビルの工事が進む。この場所を選んだのは「新大阪駅に近く賃料水準が上がっているため」(同社)。テナント募集の反応は想定以上だという。近隣の新大阪第一生命ビルディングは上昇率で全国8位(38.2%)。野村不動産もオフィスビル開発に着手した。

背景にあるのはキタのオフィス不足だ。三鬼商事(東京・中央)によると同地区のオフィス空室率は19年12月、バブル期以来久々に1%を割り込んだ。キタは関西の上昇率トップ10のうち4地点を占める。大型オフィスビルの新規供給は22年まで予定がなく、逼迫感は続きそうだ。

梅田に近く賃料も梅田より割安な新大阪には、交通の面でも追い風が吹く。31年に開業予定のなにわ筋線により関西国際空港へのアクセスが向上。長期的にはリニア中央新幹線との接続が計画される。不動産サービスのCBRE(東京・千代田)の山口武氏は「主要なオフィスエリアのなかで、梅田に次いで上昇率が高く推移する可能性がある」と話す。

新大阪から地下鉄でさらに北へ15分、千里中央駅(豊中市)の百貨店「千里阪急」付近は上昇率が41.3%で全国6位。19年の29.9%から上昇幅が拡大した。エイチ・ツー・オーリテイリングは千里阪急など2つの商業施設の再開発を計画する。千里は日本で最初の大規模ニュータウン。大阪府や都市再生機構(UR)が建て替えを進め、東急不動産などのマンション開発も進む。居住人口は19年10月時点で10万人を回復した。

北大阪急行電鉄は23年度に千里中央から大阪府箕面市まで延伸開業する。沿線には大阪大学の新キャンパスが21年度に移転開校し、さらなる人口流入も期待できる。

一方、訪日客需要への依存度が高いミナミは様相が異なる。住友商事心斎橋ビルが上昇率44.9%で全国3位に入ったのは例外的な動きで、黒門市場付近などで上昇幅が縮小。不動産鑑定士の真里谷和美氏は「19年後半からインバウンド(訪日外国人)需要の勢いが鈍っている」と指摘し、日韓関係の悪化に伴い韓国人観光客が減った影響が大きいと見る。

商業地で大阪府内最高地点の「住友商事心斎橋ビル」

商業地で大阪府内最高地点の「住友商事心斎橋ビル」

さらに新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけそうだ。大阪観光局によると、19年1~9月の訪日外国人の来阪者のうち、中国人と韓国人で6割超。政府は中韓からの入国制限を9日から始めた。道頓堀にあるドラッグストアの店長は「最近の売り上げは昨年の同時期より7割減」と嘆く。

不動産サービスのジョーンズラングラサール(JLL)関西支社(大阪市)の秋山祐子氏は「ミナミに出店予定のドラッグストアに3月初旬にヒアリングしたところ、4月に予定通り開店すると聞いた」という。ただ状況は日々変わっており先行きは予断を許さない。(皆上晃一)

京都、ホテル供給増え頭打ちに

祇園の花見小路や清水寺など京都を代表する観光地が多く集まる東山区。商業地の地価上昇率が全国2番目の府内でも、同区は最も高い23.9%だ。府下の上昇率上位5地点を同区が独占する。

昨年10月に東山区に開業したパークハイアット京都

昨年10月に東山区に開業したパークハイアット京都

旺盛なインバウンド需要を取り込もうと東山区ではここ数年ホテル建設が相次いだ。2019年10月、「パークハイアット京都」が開業。今月下旬にはNTT都市開発とプリンスホテルが清水小学校跡地を活用し、ホテルをオープン予定だ。

ただ上昇幅は前年よりも7.5ポイント縮小し、地価には頭打ち感が出ている。前年は関西の上昇率上位10位内に同区の4カ所が入ったが今年はゼロ。不動産鑑定士の村山健一氏は「宿泊需要に供給が追いついた。平均宿泊単価も稼働率も下落傾向で用地需要も落ち着いている」と指摘する。

京都市中心部でもホテル供給の過剰が指摘され、「新たな建設について、一部の金融機関は宿泊事業者への融資を止めているケースもある。現状では週に2、3件売却案件がでている」(市内の不動産会社)。新型コロナの感染拡大で観光需要がさらに鈍れば、地価への下押し圧力が強まる。

一方で京都市は21年度にも宿泊施設のバリアフリー基準を新たに設ける。簡易宿所など安価なホテル建設を抑制する面もあり、村山氏は「良質なホテルの進出は地価の上昇につながる可能性がある」と指摘する。(赤間建哉)

府県別動向 住宅地、利便性で二極化進む

【大阪】商業地は7年連続、住宅地は3年連続でいずれも上昇した。住宅地は大阪市や、吹田市など北摂エリアを中心に交通の利便性に優れた地域で上昇が続いた。ただ駅徒歩圏外では下落しており、二極化が鮮明。

【京都】商業地は7年連続で上昇も、上昇幅は縮小。住宅地は市内で引き続き上昇が続く。日本電産村田製作所などの本社も近く、大阪市内への通勤圏内でもある長岡京市などは上昇。一方、府北部では下落が続く。

【兵庫】商業地は5年連続で上昇、住宅地は12年連続で下落した。商業地は阪神間の芦屋、伊丹、西宮各市などで上昇幅の拡大が目立つ。住宅地は神戸市灘区、同中央区、芦屋、伊丹両市などで上昇幅が拡大した。

【奈良】商業地は奈良市の上昇率が7.8%。近鉄、JR奈良駅周辺の訪日客向けのホテル需要を受けた。その他は大阪へのアクセスの良い王寺町などを除き、横ばいから下落傾向が続く。住宅地はマイナス0.6%と12年連続で下落した。

【滋賀】商業地は7年連続上昇。住宅地は12年連続の下落。商業地の県内最高地点はマンション開発が盛んな草津市内のJR南草津駅近くの新設地点となり、長年1位だった大津市内から入れ替わった。住宅地の上昇率1位も草津市内だった。

【和歌山】商業地・住宅地とも29年連続の下落。商業地の上昇は和歌山市の18地点。住宅地では津波被害が懸念される地域でも高台で上昇地点が出た。田辺市の2地点、白浜町、上富田町、串本町の各1地点で上昇した。

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