メニューを閉じる
2020年4月4日(土)
本社住所

モルガンがネット証券買収 ウォール街2強、個人に照準

金融最前線
2020/2/21 3:33 (2020/2/21 6:55更新)
保存
共有
印刷
その他

モルガン・スタンレーは投資銀業務への依存度を減らしてきた(モルガンのニューヨーク本社)=ロイター

モルガン・スタンレーは投資銀業務への依存度を減らしてきた(モルガンのニューヨーク本社)=ロイター

【ニューヨーク=宮本岳則】米ウォール街を代表する2大投資銀行が個人向けビジネスに本腰を入れてきた。モルガン・スタンレーは20日、ネット証券大手イー・トレード・フィナンシャル(Eトレード)の買収を発表。ゴールドマン・サックスもアップルと組み、クレジットカード事業に参入した。新規株式公開(IPO)支援など伝統的な業務の収益に頭打ち感が出るなか、金融とIT(情報技術)の融合分野「フィンテック」に活路を見いだしている。

モルガンはEトレードを株式交換で買収する。買収総額は130億ドル(約1兆4千億円)に達する。米調査会社ディールロジックによると米金融機関のM&A(合併・買収)としては、08年の金融危機以降で2番目に大きい案件となった。最大は米ネット証券大手チャールズ・シュワブによる同業TDアメリトレード・ホールディング買収(19年、280億ドル)。共通するのは、個人向け金融事業の基盤強化を狙った再編ということだ。

米個人向けサービスは米金融業界の主戦場になりつつある。特に「ウォール街の雄」として君臨してきたモルガンとゴールドマン・サックスの攻勢が目立つ。モルガンは19年にカナダのソリアム・キャピタルを買収。同社は新興企業の従業員にストックオプション(株式報酬)管理サービスを提供し、若年層の優良顧客を囲い込む狙いがあった。Eトレード買収も狙いはほぼ同じだ。ゴールドマンは19年、新興の富裕層向け資産管理会社を傘下に収めたほか、アップルと組み、クレカ事業に参入した。

モルガンとゴールドマンが個人向け事業に力を入れるのは、伝統的な投資銀行業務の収益が頭打ちになってきたからだ。両社は新規株式公開(IPO)の引き受けやM&A助言で高いシェアを維持しているが、JPモルガン・チェースなど商業銀主体の金融機関も力を入れており、競争は激しい。手数料の引き下げ圧力も強まってきた。株式や債券の売買を仲介するトレーディング事業も、金融危機後の規制強化で稼ぐ力が落ちた。安定した収益を求める株主の声も強まり、個人向けに目を向けている。

ウォール街の両雄は個人向けサービスで先行する他の米銀を追う立場にある。競争の軸に据えるのは、金融とITの融合分野「フィンテック」だ。モルガンのジェームス・ゴーマン最高経営責任者(CEO)はEトレード買収の狙いについて、顧客基盤の強化に加え、同社の持つ「テクノロジーによる革新力がモルガンの競争優位につながる」と述べた。ネット証券の草分けであるEトレードは顧客満足調査で高い評価を受けており、個人向けサービスの開発で一日の長がある。

ゴールドマンのデービッド・ソロモンCEOも「店舗などのレガシー(遺産)を持っていないことが強み」と述べ、テクノロジーを軸に個人向けサービスを拡充する意思を鮮明にしている。ネット銀行事業は開始から3年で600億ドルの預金を集めた。低コスト運営のおかげで高めの預金金利を提供できており、優位性につながっている。預金獲得でゴールドマンとしての資金調達コスト削減にも寄与する。

迎え撃つ他の米銀大手もIT投資に多額の資金をつぎこんでいる。バンク・オブ・アメリカは20年に18年、19年とほぼ同水準の30億ドルのテクノロジー投資を計画する。人工知能(AI)を活用した「モバイルバンキング」サービスに顧客を誘導し、店舗網の効率化につなげる狙いだ。米投資銀行キーフ・ブルエット・アンド・ウッズ(KBW)のアナリスト、ブライアン・クラインハンスル氏は「米銀は欧州銀と異なり、フィンテックに大型投資を続ける体力がある」と指摘する。新興企業を交えた競争や再編が活発になりそうだ。

電子版の記事が今なら2カ月無料

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ日経会社情報デジタルトップ

ニュース(最新)  ※ニュースには当該企業と関連のない記事が含まれている場合があります。

274件中 1 - 25件

  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6...
  • 次へ
  • QUICK Money World