【石化・アルミ大手】ハードディスクなどエレクトロニクス事業も。
石油化学工業協会(東京・中央)と塩ビ工業・環境協会(同)は23日までに、2019年12月の汎用5樹脂の生産・出荷統計(数量ベース)をまとめた。化学品の基礎原料であるエチレンは19年1~12月の総生産量で2年ぶりに前年から増えた。定期修理があったプラントが3基で、前年と比べて4基減ったことが影響した。
エチレンの19年12月の生産設備稼働率は95.4%だった。高稼働の基準となる90%を73カ月連続で超えた。19年1~12月のエチレンの生産量は約642万トンとなり、前年を4.2%上回った。20年は定修予定のプラントが6基あるため稼働率が19年並みの95%程度の場合、生産量は約610万トンを見込む。
19年12月の汎用5樹脂の生産量(数量ベース)は、高密度ポリエチレン、ポリスチレン、塩ビ樹脂の3樹脂で前年同月を上回った。ただ、世界的な景気減速により、国内向けの出荷は低密度ポリエチレン以外の4樹脂で前年同月と比べて減少、在庫は塩ビ樹脂以外で積み上がった。石化協の森川宏平会長(昭和電工社長)は今後の見通しについて「足元は不安を感じており、20年1~6月のプラントの稼働率を注視する必要がある」と話した。
19年末から続く米国とイランの対立によるナフサ調達への影響について、石化協の鍋島勝副会長(丸善石油化学社長)は「現時点で影響はない」と述べた。石化協によると、18年時点で日本国内で使うナフサの6割は輸入で、そのうち6割は中東産だ。ナフサの備蓄について鍋島副会長は「国内は原油の備蓄が相当あるので、液化石油ガス(LPG)など原料の多様化を進めるのが現実的だ」とした。