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性同一性障害職員、利用トイレ制限は違法 東京地裁

2019/12/12 17:00 (2019/12/12 19:21更新)
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戸籍上は男性だが女性として勤務する性同一性障害の経済産業省の50代の職員が、女性用トイレの使用を制限されたのは違法だとして、処遇改善や損害賠償を国に求めた訴訟の判決が12日、東京地裁であった。江原健志裁判長は女性用トイレの自由な使用を認めなかった人事院の判定を取り消し、国に132万円の賠償を命じた。

判決後に記者会見する原告(12日、東京都内)

判決後に記者会見する原告(12日、東京都内)

性的少数者(LGBT)が職場で抱える課題への社会的な問題意識は広がっており、判決は企業側に対応を促すことにつながりそうだ。

江原裁判長は判決理由で、女性用トイレの使用制限を「自認する性別に即した社会生活を送るという重要な法的利益の制約にあたる」と指摘。国側は他の女性職員とのトラブルを避けるためと主張したが、判決は「直ちにトイレの使用制限が許容されるものではなく、具体的な事情や社会的状況の変化を踏まえて判断すべきだ」とした。

そのうえで判決は、「日本でも、トランスジェンダーがトイレ利用で大きな困難を抱えており、働きやすい職場環境を整えることの重要性が強く意識されている」と、社会一般の問題意識の高まりも指摘。原告が他の職員とトラブルになる可能性は抽象的で使用制限は正当化できず、経産省の対応は違法と判断した。

原告が上司から「もう男に戻ってはどうか」などと発言されたことも争われ、判決は「性自認を正面から否定するもので、法的に許される限度を超えている」として、慰謝料などの支払いを命じた。

判決によると、原告の職員は男性として入省後、性同一性障害の診断を受けた。健康上の理由から性別適合手術を受けなかったという。「女性として勤務したい」と申し出て、2010年に女性の服装での勤務や女性用トイレの使用を認められたが、職場から離れたフロアのトイレを使うなどの条件が付いた。職員はトイレの使用制限などをなくすよう人事院に求めたが認められなかった。

職員は訴訟で、女性として職場になじみ、トイレの使用制限の必要性はないと主張。要求を認めない人事院の判定は違法として、判定取り消しと慰謝料など約1650万円の損害賠償を求めた。

原告の職員は判決後に記者会見を開き、「非常に安堵している。使用者や管理者は人格を尊重して対応してほしい」と話した。

企業にLGBT対応を助言するNPO法人「虹色ダイバーシティ」の村木真紀代表は今回の判決について「同じ悩みを抱えている人にとっては希望になるし、企業などに対応を促す効果もあるのではないか」と指摘。「差別的な取り扱いでLGBT当事者が休職などに追い込まれてしまうと職場の生産性は下がり、社会的な損失が非常に大きい」と話した。

経産省は「主張が認められなかった。控訴するかどうかは関係省庁と相談の上、対応したい」とコメントした。

■民間で広がる取り組み
 多様な価値観を受け入れることが、人材確保や競争力の向上につながるとみて、性的少数者(LGBT)が働きやすい職場環境づくりが、国内企業に広がり始めている。
 日本IBMは2015年、本社(東京・中央)の改装で全フロアに男女共用の多目的トイレを設置。当事者の社員も参加する「LGBTコミュニティ」という委員会を定期的に開き、福利厚生の見直しなども進めている。広報担当者は「多目的トイレは当事者からの要望で実現した。今後も継続的に議論していきたい」と話す。
JR東日本はLGBTへの配慮も含め、20年5月から女性用制服のスカートを廃止し、シャツやネクタイのデザインを男女共通にする。スターバックスコーヒージャパンは17年、性別適合手術を受けるための休暇制度や、同性婚でも異性婚と同等の福利厚生を受けられる同性パートナーシップ登録制度を設けた。
ソニーパナソニックなど約30の企業などでつくる組織は16年、LGBTの働きやすい職場を評価する指標を策定。制服やトイレの使用を巡る配慮のほか、福利厚生制度の充実を求めた。応募があった企業について指標を基に取り組みを評価しており、19年は応募があった約190社のうち約150社が満点の「ゴールド」評価を受けた。

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