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米市場にドル不足の懸念 邦銀経営にも課題に

金融最前線
2019/11/26 18:30
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【ニューヨーク=後藤達也】米金融市場でドル不足の懸念が出ている。米銀が規制に基づいて手元資金を現金などの安全な形で積み増すよう求められ、市場でドルを融通しにくくなっているためだ。年末にかけて資金は一段と逼迫しそうで、米連邦準備理事会(FRB)は資金供給を拡充した。ドルの調達は邦銀にとっても大きな経営課題になっている。

【関連記事】 NY連銀、越年資金2.7兆円供給 金利高騰を予防

FRBの金融調節を担当するニューヨーク連邦準備銀行(NY連銀)は25日、国債などを担保に、返済期日が年末を越える資金を250億ドル(約2兆7千億円)供給した。金融機関からは490億ドルの応札があった。

NY連銀による資金供給は翌日物や2週間物が中心で、期間が短かった。今回は1カ月を超える資金を融通する。資金需要が高まる年末に向けて、金融機関の資金繰りを安定させる狙いがある。

米短期市場は銀行や保険、証券会社、機関投資家などが大量の資金をやりとりする。FRBが金融緩和を進めているのに市場でドル資金が足りない背景には、米大手銀が資金の出し手としての機能を落としているという側面がある。

2008年のリーマン・ショック時の米金融市場では金融機関が資金を過度に融通し合い、1つの金融機関の破綻で金融システムが揺らいだ。このため米当局は「流動性規制」を導入。銀行に対し、手元資金を現金や中央銀行への預金などできるだけ安全な資産で保有するよう求めた。

このため米大手銀は他行にお金を貸しにくくなり、市場を流通するドルが減りやすくなった。ドルを必要とする金融機関が増えると金利が跳ね上がる。国債などを担保に短期資金を融通するレポ金利は9月下旬に、一時的に10%程度まで上がった。年末は9月以上にドルが逼迫するとの見方が多く、NY連銀は混乱の予防に向けて動いた。

「ドル調達市場のもろさが金融システムの動揺を助長するおそれがある」。国際通貨基金(IMF)は10月、20カ国・地域(G20)会議で集まった各国の当局者に警鐘を鳴らした。米JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は「こうした事態は今後ますます増えていく」と指摘する。

米市場のドル不足は邦銀にも影響が大きい。融資の原資を得るためには、市場からのドル調達が欠かせないためだ。ドルの金利が急に上がると資金繰りが悪化し、新規の投資や融資が難しくなる可能性がある。

米国に進出している邦銀は手元資金を安定させるため、預金での調達を増やしてきた。19年9月末時点で、3メガバンクの外貨による貸出金に対する外貨預金の割合は7~9割程度ある。みずほフィナンシャルグループの坂井辰史社長は「外貨による貸出金の増加に合わせて、預金も着実に獲得している」と話す。

米市場では過去10年、欧州銀が事業を縮小する一方で邦銀が存在感を高めてきた。ただ邦銀の資金調達は米銀に比べると、現地企業の決済に関わる預金や個人からの預金は少ないとみられる。金利の急な上昇や経済危機があれば、外貨の調達は難しくなる恐れはある。

ドル資金の調達を考えると、資産の適切なリスク管理も欠かせない。三菱UFJフィナンシャル・グループは、海外での不採算の貸出債権などの削減により、19年9月末の自己資本比率を算定するもととなる「リスクアセット」を113兆円とし、3月末に比べて4兆円減らした。08年のリーマン・ショック以降、海外融資を増やしてきたが、「こうした運営には限界が来る」(三毛兼承社長)として、今年度から資産構成を見直している。

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