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ゴーン退場1年 カリスマ逮捕、消えぬ波紋

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自動車・機械
ヨーロッパ
2019/11/19 1:00
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日産自動車のカルロス・ゴーン元会長(3月、東京都千代田区)

日産自動車のカルロス・ゴーン元会長(3月、東京都千代田区)

世界に衝撃を与えた日産自動車元会長、カルロス・ゴーン被告の突然の逮捕から19日で1年。長く社内に君臨したカリスマ経営者が退場した後、日産は新たな進路を定められないまま停滞し、ルノーとの日仏連合も揺らいでいる。検察は会社を私物化した経営トップの背信を追及し、元会長は潔白を主張して全面対決の構えを見せている。

▼巨額の資金流出、法廷で対決

2018年11月19日夕、ビジネスジェットでレバノンから東京・羽田空港に到着した日産のゴーン元会長を東京地検特捜部の係官が待ち構えていた。日産から社内調査の情報提供を受けた特捜部は数カ月にわたる捜査を続け、この日、元会長の逮捕に踏み切った。

逮捕容疑は金融商品取引法違反。受け取りを先送りした役員報酬を有価証券報告書に記載しなかったという内容だった。高額報酬への批判をかわす狙いだった疑いがあるとされ、2回目の逮捕容疑と合わせた総額は計約91億円に上った。

記者会見する弘中惇一郎弁護士(4月、東京都千代田区)

記者会見する弘中惇一郎弁護士(4月、東京都千代田区)

ただ、役員報酬の過少記載が罪に問われたケースは過去にない。問題とされた報酬が未払いだったこともあり、「形式犯」での逮捕を批判する声も出た。こうしたなか特捜部は会社法違反の特別背任容疑での立件にこぎ着け、元会長による「日産の私物化」に正面から切り込んだ。

起訴内容では、元会長は評価損を含む私的なデリバティブ契約を日産に付け替えたうえ、サウジアラビアとオマーンの知人側に日産子会社の資金を流出させて計約2千万ドルの損害を与えたとされている。

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日産は元会長の不正は350億円規模に上るとし、損害賠償請求などの法的措置をとる方針を表明。仏ルノーでも不正疑惑が浮上するなど、元会長は厳しい立場に追い込まれた。

ゴーン元会長は一貫して無罪を主張し、事件はルノーとの統合を恐れた日産の一部役員の「陰謀」と訴える。弁護人の弘中惇一郎弁護士は複数の無罪判決を勝ち取った実績から「無罪請負人」とも呼ばれ、検察との対決姿勢を鮮明にする。

5月から東京地裁で続いている公判前整理手続きの中で、元会長側は受領を先送りした未払いの報酬など存在しないと反論。中東の知人側への送金については「正当な業務への報酬だった」などと説明している。

公判は20年春にも始まる見通し。甲南大法科大学院の園田寿教授(刑法)は「海外を舞台とした事件もあり、検察側の証拠収集が不十分な可能性はある。弁護団は起訴内容に真っ向から反論しており、正攻法で無罪を得ようとする姿勢がうかがえる」と注目している。

▼日産、相次ぐ退陣 経営に空白

日産の経営体制はいまなお安定しない。ゴーン元会長を「追放」してゴーン体制の路線見直しを進めてきた西川広人前社長兼最高経営責任者(CEO)も9月、自身の報酬問題をきっかけに辞任を余儀なくされた。業績の悪化に歯止めがかからず、筆頭株主であるルノーとの関係も芳しくない。

記者会見する日産の西川広人前社長兼最高経営責任者(2018年11月、横浜市西区)

記者会見する日産の西川広人前社長兼最高経営責任者(2018年11月、横浜市西区)

「新しい日産というイメージを打ち出したかった」。内田誠専務執行役員が社長兼CEOに就く新体制が10月に内定した際、日産のある幹部はこう漏らした。11月12日には20年2月に臨時株主総会を開き、西川氏らが執行役だけでなく取締役からも退く方針を決めた。ゴーン元会長の逮捕から1年以上がたち、ようやく世代交代を果たす。

12月1日に発足する新体制では最高執行責任者(COO)に三菱自動車のアシュワニ・グプタCOO、副COOには7月に発表した再建策の策定を主導した関潤専務執行役員が就く。「指導者としては申し分ないが経験は浅い」(日産元首脳)と評される内田氏を2人が支える。ゴーン元会長が独裁に陥った反省もあり、集団指導体制に移行する。

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業績は悪化が続く。西川前社長は「外科手術的なものは早めに行う」として、累計1万2500人の人員削減を柱とするリストラ策を打ち出した。ただ、中国や新興国で自動車市場は想定以上に冷え込み、コスト削減策も焼け石に水だ。20年3月期の連結営業利益の見通しはこのほど期初時点より800億円少ない1500億円へ引き下げた。社外取締役からは「今の再建策では追いつかないのではないか」との声が上がる。

ルノーはゴーン元会長の突然の逮捕で不信感を募らせ、日産の幹部人事などを巡り日産側と対立した。1月に融和路線をうたうジャンドミニク・スナール会長が就任して関係修復が期待されたが、なおギクシャクした関係が続く。

三菱自動車を加えた日仏3社連合の運営も「最近は目立った成果を生み出せていない」とある幹部は嘆く。カリスマ経営者の退場で推進力を失い「ゴーン時代の方がマシだ」との声すら聞こえてくる。

日産が負の連鎖にあえいだ「空白の1年」に業界では再編が進んだ。トヨタ自動車スズキSUBARU(スバル)と提携強化を進め、10月末には欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)と仏グループPSAが経営統合で基本合意した。自動運転など次世代技術の実用化による業界秩序の激変期は年々迫る。日産が混乱収拾に割ける時間は長くない。

▼「人質司法」批判 異例の条件で保釈

長年にわたって日産とルノーの連合を率いてきた世界的に著名な経営者の逮捕は、日本の刑事司法制度、とりわけ身柄拘束の在り方について国内外の関心を呼び起こすことになった。

保釈され東京拘置所を出る日産のゴーン元会長(4月、東京都葛飾区)

保釈され東京拘置所を出る日産のゴーン元会長(4月、東京都葛飾区)

欧米では経済犯罪は任意捜査が前提とされ、身柄を拘束した場合も比較的短期間にとどまることが多い。ゴーン元会長の「長期勾留」に対し、海外メディアは批判の目を向けた。特捜部が金融商品取引法違反事件の対象期間を分けて再逮捕したことも「勾留期間を長くしようとしているように見える」(仏経済紙レゼコー)などと報じられた。

こうしたなか東京地裁は18年12月20日、2回目の逮捕容疑について10日間の勾留延長を認めない決定を下す。「近く保釈か」との観測もあって特捜部は急きょ捜査のスケジュールを繰り上げ、翌21日に会社法違反(特別背任)の新たな容疑でゴーン元会長を逮捕した。元会長は拘置所で年を越し、否認すると勾留が長引く「人質司法」として問題視する声が国内外で続いた。

【関連記事】 保釈判断、見えぬ基準 裁判所は理由示さず

元会長の弁護団は19年2月、早期保釈を勝ち取るため、住居への監視カメラの設置、パソコン・携帯電話の使用制限など異例の条件を裁判所に提示。裁判所は3月、これらの条件を採用して保釈を認めた。特捜部の事件で否認する被告の保釈が認められた例はほどんどなく、検察内では驚きと共に「裁判所は外圧に屈した」とやゆする声も漏れた。

ただ、裁判所は近年、保釈を以前より広く認めるようになっており、01年に12.6%だった保釈率は18年に32.1%に上昇している。元会長は4月に4回目の逮捕で再び身柄を拘束されたが、追起訴の後、裁判所は妻との接触禁止などの条件を加えたうえで改めて保釈を認めた。

今回の事件では、日産幹部ら2人が特捜部と「司法取引」で合意し、捜査に協力する見返りとして刑事責任の追及を免れた。弁護団は取引について、元会長の追放を図る日産役員の意向を受けたものであり「法の趣旨に反して違法」とし、公判の争点に据える方針を示している。

日本版の司法取引は18年6月に導入されたばかりで、これが2例目。検察は取引の経緯を明らかにしておらず、成城大の指宿信教授(刑事訴訟法)は「米国では起訴の際に司法取引の合意内容が公表される。被告側が反論を検討できるようにするためにも、手続きの透明性の確保が求められる」と話している。

▼ルノーから消えた「ゴーン派」

ルノーは過去1年で「ゴーン派」を一掃した。05年から会長兼CEOを務めたゴーン元会長は辞任、側近だった人物も解任や降格となった。主導したのは仏政府の後押しを受けたスナール会長で、経営は安定に向かいつつある。ただ、日産との主導権争いなど課題は山積したままだ。

ルノーのジャンドミニク・スナール会長(1月、ルノー本社)

ルノーのジャンドミニク・スナール会長(1月、ルノー本社)

「長い時間はかけないが、適任者を選びたい」。スナール氏は10月末、東京都内で日本経済新聞の取材に答えた。ルノーは同月、ゴーン被告に代わってCEOに就いたティエリー・ボロレ氏を解任していた。後任が決まると「脱ゴーン」の体制づくりが完了する。

ゴーン元会長の逮捕当初、フランスでは日本の捜査に懐疑的な見方も強かった。ただ、ルノーを巡る疑惑も次々に明らかになり筆頭株主の仏政府は元会長を守るのをやめた。19年1月に仏ミシュラン出身のスナール氏が会長、ルノーのナンバー2だったボロレ氏がCEOに就いた。

続いてルノーは元会長の関係者を経営から遠ざけた。法律の顧問だったムナ・セペリCEOオフィス副社長を降格、長年契約を結んでいたPR会社とも関係を解消した。

経営が落ちついたかに見えたが今度はボロレ氏に批判の声があがる。例えば19年度決算で利益を実態より多くみせるため、ボロレ氏は取引先への支払いを遅らせようとしたと関係者は話す。仏政府もボロレ氏を見限り、解任に至った。

今は日産との交渉役も務めるスナール氏が社内を掌握したようだ。ゴーン元会長は自分専用のエレベーターを使って社員と顔も合わせず出社したのとは対照的に、社員食堂で気さくに誰とでも話すスナール氏には社員も好感を持っている。

ただ、スナール氏は6月、FCAと経営統合を協議したが実現に導けなかったことから、一部幹部は混乱を引き起こしたと不満を持つ。日仏連合で新しい行動計画を打ち出せていないことに対しても批判の声がある。スナール氏は一刻も早く日産と信頼関係を回復し、結果を出す必要が出ている。

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