第68回日経広告賞(2019年)で大賞となったコマツはドイツの高速道路「アウトバーン」の建設現場から、動物との共生や環境テクノロジーのあり方を問う内容。小林保彦審査委員長は「企業活動をアートと融合して美しく表現した」と講評した。(1面参照)
最優秀賞はプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)ジャパンとオリエンタルランドに決まった。P&Gは製品訴求の代わりに、就職活動に疑問を投げかけた。世代や男女を問わず共感を集め「社会情報広告というもう一つの広告のあり方を示した」(小林氏)。
オリエンタルランドの作品は、ディズニーランドは永遠に完成しないという創業者ウォルト・ディズニーの夢を伝える内容。小林氏は「ディズニー哲学と行動のすごみを見せている」と話した。
今回の受賞作品について小林氏は「社会の多様性についてわかりやすい言葉と写真で具体的に見せてくれた」と総括した。
環境部門最優秀賞・環境大臣賞はセブン&アイ・ホールディングス。「環境問題への取り組みを具体的な数値目標を掲げ大々的に宣言した姿勢に強い決意を感じる」(同部門の西尾チヅル審査委員長)との評価を受けた。
IR・アニバーサリー部門の最優秀賞は大和証券グループ本社。持続可能な開発目標(SDGs)をテーマとしたシリーズ広告で、同部門の石崎徹審査委員長は「具体的な活動内容を紹介し、理解しやすい」と述べた。
日経マガジンスタイル部門の最優秀賞はハリー・ウィンストン・ジャパン。高橋みどり審査委員長は「単に美しいヴィジュアルで訴求するのではなく、読むと気づきがある内容だ」と評した。
今年新たに設けた「日経AR広告特別賞」ではGMインターナショナル、前年に続き設けた「NIKKEI The STYLE特別賞」ではTASAKI、「日経・FTグローバル特別賞」では日本通運を選出した。
日経産業新聞広告賞大賞はパナソニック。社会問題の解決に役立つ「技術力を分かりやすく伝えている」(同部門の恩蔵直人審査委員長)。
日経MJ広告賞大賞はヨックモックホールディングス。久保田進彦審査委員長は「定番ブランドの認知と好意度を顕在化させ、さらに存在感を高める」と語った。
日経ヴェリタス広告賞大賞は国際協力機構(JICA)。疋田聰審査委員長は「JICA債がどう活用されているかわかりやすく伝えている。デザインも洗練され、色使いも上品だ」と評価した。
日経電子版広告賞大賞はKDDI。「企業サイトでの日経ID連携は広告展開で初めて。戦略企業に向け属性を絞って広告配信することで、5G関連資料のダウンロード率を高めた。見込み顧客獲得マーケティングの成功例」(同部門の真野英明審査委員長)だ。
日経サイエンス広告賞大賞は五藤光学研究所。星座の星々を和名で紹介した。同部門の大隅典子審査委員長は「同じ星でも日本各地で呼び名が違うことに着目した面白いアイデアだ」とした。
各広告賞の入賞作品は以下の通り。
◇日経広告賞(第68回)
▽大賞 コマツ
▽最優秀賞 プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)ジャパン、オリエンタルランド
▽電機・通信・IT部門最優秀賞 明電舎
▽優秀賞 Twitter Japan、
ソフトバンクグループ ▽生産財・産業部門最優秀賞 クボタ
▽優秀賞
三菱ケミカルホールディングス、
富士フイルム ▽商社・エネルギー・公共部門最優秀賞
丸紅 ▽優秀賞
東京ガス、
伊藤忠商事 ▽自動車・運輸・輸送部門最優秀賞 日本貨物鉄道
▽優秀賞
日本航空、
いすゞ自動車 ▽金融部門最優秀賞 アメリカン・エキスプレス・インターナショナル
▽優秀賞
セブン銀行、
MS&ADインシュアランスグループホールディングス ▽流通・サービス部門最優秀賞 そごう・西武
▽優秀賞
高島屋、
ぐるなび ▽ブランド・ファッション部門最優秀賞 伊藤忠商事
▽優秀賞 オニツカタイガー、
資生堂 ▽食品・医薬品・生活用品部門最優秀賞 MHD モエ ヘネシー ディアジオ
▽優秀賞 大日本除虫菊、サントリーコミュニケーションズ
▽建設・不動産部門最優秀賞
積水ハウス ▽優秀賞
鹿島建設、東急コミュニティー
▽出版・コンテンツ・教育部門最優秀賞 集英社
▽優秀賞 アニマックスブロードキャスト・ジャパン、藤田医科大学
▽環境部門最優秀賞・環境大臣賞 セブン&アイ・ホールディングス
▽優秀賞
ニチコン ▽IR・アニバーサリー部門最優秀賞 大和証券グループ本社
▽優秀賞
西松屋チェーン ▽日経マガジンスタイル部門最優秀賞 ハリー・ウィンストン・ジャパン
▽優秀賞 資生堂
◇NIKKEI The STYLE特別賞 TASAKI
◇日経AR広告特別賞 GMインターナショナル
◇日経・FTグローバル特別賞 日本通運
◇日経産業新聞広告賞(第46回)
▽大賞 パナソニック
▽最優秀賞
大成建設 ▽優秀賞 東日本電信電話、日本マイクロソフト、ミドリ安全
◇日経MJ広告賞(第48回)
▽大賞 ヨックモックホールディングス
▽最優秀賞 ユウキ食品
▽優秀賞 伊那食品工業、オカムラ
◇日経ヴェリタス広告賞(第11回)
▽大賞 国際協力機構(JICA)
◇日経電子版広告賞(第10回)
▽大賞 KDDI
▽クリエーティブ部門最優秀賞 Twitter Japan
▽優秀賞
サイボウズ ▽コンテンツ部門最優秀賞 ガーミンジャパン
▽優秀賞
日東電工、ホテルオークラ東京
◇日経サイエンス広告賞(第48回)
▽大賞 五藤光学研究所
▽最優秀賞 中谷医工計測技術振興財団
各賞の審査委員長は以下の通り。
日経広告賞 本賞 小林保彦(青山学院大学名誉教授)、環境 西尾チヅル(筑波大学大学院ビジネス科学研究科教授)、IR・アニバーサリー 石崎徹(専修大学経営学部教授)、日経マガジンスタイル 高橋みどり(オーエンス代表)、日経産業新聞 恩蔵直人(早稲田大学商学学術院教授)、日経MJ 久保田進彦(青山学院大学経営学部教授)、日経ヴェリタス 疋田聰(東洋大学名誉教授)、日経電子版 真野英明(日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会顧問)、日経サイエンス 大隅典子(東北大学副学長)