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2019年11月13日(水)
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TICAD開幕、展示会に156社・団体が出展

2019/8/28 20:06
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第7回アフリカ開発会議(TICAD7)が横浜市で開幕した。公式サイドイベントとして開かれた「日本・アフリカビジネスEXPO(ビジネスEXPO)」には前回より1.5倍増の156社・団体が出展した。アフリカは人口が増え、将来は有望な消費市場に育つ見通し。日本企業はインフラや医療、消費など各分野に進出し、アフリカの成長を後押しする。

横浜で開幕したTICADではアフリカ諸国が自前のブースを出展し、投資誘致合戦を繰り広げた(28日、横浜市)

富士フイルムは開発中である結核の検査キットを出展した(横浜市)

味の素はアフリカの現地のニーズに合わせた調味料の開発に力を入れている(28日、横浜市)

「アフリカビジネスは今後、2つの大きな方向性がある。製造業の現地化と消費市場の拡大だ」。アフリカ市場を深掘りしている豊田通商アフリカ本部の今井斗志光最高執行責任者(COO)はこう語る。

アフリカは人口が拡大しており、2048年には世界の4人に1人がアフリカ人になると言われている。ただ、急速な人口拡大に伴い、アフリカ各国は雇用の創出が急務となっている。雇用創出がままならないと、消費の拡大という経済の好循環に支障を来す恐れがある。「雇用を生むのは製造業。これから地産地消が課題となる」(今井氏)と指摘する。

これまでアフリカ開発は政府開発援助(ODA)を通じ、官を主体としていた。消費市場としてアフリカの魅力が増すなか、民主導のアフリカ開発が活発になってきた。今回のビジネスEXPOでもアフリカの産業基盤を支えるインフラや、人口増加に備えた医療、そして拡大する消費市場に照準に合わせた日本企業が目立った。

■貧弱な送電網補う インフラ分野では急拡大するアフリカの電力需要は商機となる。IHIは航空機エンジンを転用したガスタービンを披露した。10メガワット級の発電能力を備え、2週間程度で設置できる。IHIグローバル・営業統括本部の森武部長は「送電網が貧弱な地域で電力供給が可能となる」と語る。モザンビークの工業団地に昨年8月、納入した。今後はアフリカ各地の工業団地やホテル、病院などの需要を取り込む。

アフリカの40カ国以上で通信会社向けの設備を供給してきたNECは、太陽光パネルと蓄電池などを組み合わせたシステムを提案する。アフリカは電力インフラが不安定な地域も多く、バックアップ用の電源として売り込む。

「アフリカでも再生可能エネルギーへの関心が高まっており需要は高い」と担当者は話す。蓄電池システムは電力を多く消費する鉱山開発でも用途が見込まれるという。

ブースではケニアなどで納入実績のある監視カメラシステムも並べた。ナイロビ市街や空港などに設置しており、事前に登録したテロリストの顔と照合して該当する人物を見つけると警察に知らせる仕組み。治安の改善に一役買っている。

雇用創出に向けた産業基盤の整備を後押しするのは丸紅だ。丸紅はアフリカの繊維産業に着目し、紡績から染色、縫製までの一貫工場の建設をアフリカで展開している。アフリカは綿の生産国であるが、衣服への加工は中国やインドに頼っていた。丸紅の中俣道郎プラント・プロジェクト部担当部長は「人口が拡大するアフリカで衣料品を地産地消すれば、雇用創出にも貢献できる」と語る。すでにアンゴラで実績を上げ、ベナンでも国際協力銀行(JBIC)などと連携し、新たなプロジェクトを推進している。

■画像・AIで結核検出 人口が拡大するなか、新たな成長分野として期待できるのは医療だ。富士フイルムはX線の照射画像に人工知能(AI)技術をかけ合わせて、高精度で結核を検出できるシステムを参考出展した。コンピューター断層撮影装置(CT)スキャンと同等精度の実現を目指して開発中だ。

CT装置は高額なうえ、専用のスペースが必要なため後から病院内に設置するのが難しい。富士フイルムは移動式のX線装置に組み込んで結核感染の被害拡大を抑える。ブースではエイズウイルス(HIV)の陽性患者が結核に重複感染していないか調べる検査キットも紹介した。写真技術を応用して、患者の尿に含まれる微量の成分を増幅させて検出する仕組みだ。

結核は世界三大感染症のひとつであり、アフリカなど途上国では依然として大きな脅威となっている。なかでもHIV陽性患者は免疫力が低下するため結核にかかりやすい。従来は患者の痰(たん)から調べるのが一般的だが、痰の採取作業や検査が難しく訓練が必要だった。「キットを使えるようになれば病院外での検査も可能になる」(同社)と期待を寄せる。

豊田通商は出資するドローンを使った物流スタートアップ、ジップラインと連携し、アフリカの医療品物流市場を開拓している。展示会場では実物のドローンを披露した。ルワンダではすでにドローンを使った病院向けの輸血用血液製剤の物流事業を始めている。

アフリカは道路インフラも整っていない地域が多い。ジップラインのドローンは160キロメートルの航行が可能で、「自動車では片道6時間の道のりを30分で運べる地域もある」(豊田通商)。4月にはアフリカ2カ国目となるガーナでもドローン物流を始めた。ワクチンなど取り扱い商材も広げており、アフリカでの医薬品物流の充実を後押ししていく。

■地元料理向け調味料 アフリカの経済成長に伴い、巨大な消費市場誕生への期待は大きい。味の素はアフリカの消費者の嗜好に応じた商品開発に力を入れている。展示会場でナイジェリアやコートジボワール、エジプトなどの現地の人気料理に最適な調味料を披露した。

味の素はナイジェリアに研究開発拠点を構える。コートジボワールの「リグラ」やナイジェリアの「ジョロフライス」と呼ばれる地元料理に最適な調味料は、現地のニーズを研究して開発した。「味の素」のような世界のどんな食文化でもうまみを引き出せる調味料に加え、地元ニーズに対応した商品も開発し、消費市場の成長を取り込む。

今後、中間所得者層が厚みを増すと、個人消費の多様化も進む見通し。スズキは小売価格が4000ドル程度の二輪車を展示した。これまでアフリカの二輪車は価格が500ドル程度の法人向けが主体だったが、今後はツーリングを楽しむ消費者に照準を合わせた販売を強化するという。

米中貿易摩擦で世界経済が後退局面に入る懸念が強まるなか、中長期で成長を期待できるアフリカ市場をどう取り込むか。日本企業の知恵と実行力が試される。

(星正道、世瀬周一郎)

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