メニューを閉じる
2019年9月17日(火)
9021 : 陸運 日経平均採用 JPX日経400採用

【西日本地盤】営業エリアは2府16県。京阪神の都市圏輸送に強み。

現在値(15:00):
9,360
前日比:
+28(+0.30%)

都会に思わぬローカル線 大阪・南海汐見橋線の歴史
とことん調査隊

関西タイムライン
コラム(地域)
2019/8/13 7:01
保存
共有
印刷
その他

大阪・難波の近くに知る人ぞ知るローカル線がある。南海電気鉄道の通称「汐見橋線」だ。運行距離は5キロ弱で、運行回数は1時間にわずか2往復。1日の乗降人数が100人程度の駅もある。なぜ都会の真ん中にローカル線が残っているのか。鉄道ファンを自認する記者がその成り立ちを探った。

8月上旬の日曜日、汐見橋線の木津川駅(大阪市西成区)で降りた。古びた白い駅舎は無人。外にでると、舗装していない砂利道が延び、さびの目立つトタン板の工場が目の前に現れた。コンビニエンスストアなどはなく、人の姿も見当たらない。さながら都会の秘境のようだった。

汐見橋線は高野線の一部で汐見橋―岸里玉出駅を運行する。木津川駅はかつて貨物駅として使われ、和歌山で伐採した木材を鉄道で輸送し、ここから貯木場に運んだ。だが貯木場の廃止などに伴い、1971年に貨物駅を閉鎖。現在は1日の乗降人数が123人と南海が乗り入れる100駅のなかで93位だ。

沿線住民は同線をどう思っているのだろうか。再び電車に乗って西天下茶屋駅で降りた。商店街で駄菓子屋を営む村田静子さん(79)は「近くを走るバスが数年前になくなり、難波に行く時に利用する」と話す。今でも地域では足となっているようだ。

汐見橋線はどういう経緯で都会のローカル線になったのか。南海電鉄を訪ねると、分厚い社史を片手に教えてくれた。南海電鉄の前身の一つである高野鉄道にさかのぼる。

高野鉄道は1898年、高野山への参拝客を乗せるため大小路(現堺東、堺市)―狭山駅(大阪府大阪狭山市)の運行を始めた。1900年に汐見橋駅まで延伸した。汐見橋駅が起点の同鉄道は22年に南海鉄道と合併。利便性向上のため、南海鉄道の起点だった難波駅から高野山方面に向かう連絡線ができた。

南海電鉄が難波駅をターミナル駅にしたため、汐見橋線は乗客が減少。65年に4千人以上だった汐見橋駅の1日の乗降人数は2000年代半ばには300人程度に落ち込んだ。鉄道ジャーナリストの梅原淳氏は「地方の閑散路線並みの利用率だ」と指摘する。

ではなぜそんな路線が残っているのか。鉄道に詳しい大阪学院大学の中山嘉彦教授は「なにわ筋線との接続計画があったからだ」と説明する。04年の近畿地方交通審議会の答申書では中長期的に望まれる鉄道のなかでなにわ筋線を挙げ、「JR新大阪駅からJR難波駅および南海汐見橋駅を結ぶ」とあった。

将来の新線活用を見込んでいた汐見橋線だが、17年に岐路を迎えた。大阪府・市、JR西日本、南海などが合意した事業計画では北梅田駅(仮称)と南海新難波駅(同)およびJR難波駅を結ぶことが決まり、汐見橋線はルートから外れた。「今のところ汐見橋線の廃止の計画はない」(南海)というが、沿線からは心配する声があがる。

津守駅の近くにある大阪府立西成高校は生徒の約3割が同線を利用する。「14年の高校の学区制の廃止後、電車で通学する学生が増えた」と話し、「廃止しないでほしい」と訴える。実際に記者が津守駅を訪れると、夏休みにもかかわらず高校生らしき乗客が目立った。

沿線活性化の動きも出てきた。汐見橋駅の近くでクリエーターを育成するコバヤシタカシさん(53)は18年10月、南海電鉄と協力して同駅を含む桜川地域でアートイベントを開いた。「鉄道会社とともに地域を盛り上げていきたい」と話す。

こうした活動や09年に開業した阪神なんば線の桜川駅との接続で、近年は汐見橋駅の乗降人数は回復傾向にある。地元に愛される都会のローカル線は今日も走り続ける。

(金岡弘記)

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ日経会社情報デジタルトップ

ニュース(最新)  ※ニュースには当該企業と関連のない記事が含まれている場合があります。

683件中 1 - 25件

  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6...
  • 次へ
【ご注意】
・株価および株価指標データはQUICK提供です。
・各項目の定義についてはこちらからご覧ください。

便利ツール

銘柄フォルダ

保有している株式、投資信託、現預金を5フォルダに分けて登録しておくことで、効率よく資産管理ができます。

スマートチャートプラス

個別銘柄のニュースや適時開示を株価チャートと併せて閲覧できます。ボリンジャーバンドなどテクニカル指標も充実。

日経平均採用銘柄一覧

日経平均株価、JPX日経インデックス400などの指数に採用されている銘柄の株価を業種ごとに一覧で確認できます。

スケジュール

上場企業の決算発表日程や株主総会の日程を事前に確認することができます。

株主優待検索

企業名や証券コード以外にも優待の種類やキーワードで検索できます。よく見られている優待情報も確認できます。

銘柄比較ツール

気になる銘柄を並べて株価の推移や株価指標(予想PER、PBR、予想配当利回りなど)を一覧で比較できます。

  • QUICK Money World