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コクヨ、ぺんてるとの交渉難航で残る白地のノート
大阪経済部 渡辺夏奈

2019/7/19 4:30
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ノートはあってもペンがない。そんな問題を経営レベルで解決し、商品構成を多角化しようとしているのが「キャンパスノート」を主力とするコクヨだ。5月に、「サインペン」で知られる筆記用具大手のぺんてるの実質的な筆頭株主になった。だが、投資ファンドを通じた間接保有という手法にぺんてる側は反発。2カ月余りたった今も、提携交渉は難航している。

コクヨは提携で品ぞろえの補完を目指すが…(コクヨのノートとぺんてるのサインペン)

コクヨは提携で品ぞろえの補完を目指すが…(コクヨのノートとぺんてるのサインペン)

「まるで敵対的買収のように言われて困惑している。対立するつもりはないのだが……」。あるコクヨ幹部はこぼす。同社は5月10日、ぺんてるに出資したと発表した。ぺんてるの発行済み株式の37%を保有する投資会社、マーキュリアインベストメントの運営するファンドの大口出資者となり、事実上の筆頭株主に躍り出た。ただ、ぺんてるは直前までコクヨの出資を知らされておらず、「強引な手法」と反発を強めた。

コクヨ幹部は口を濁すが、「拙速」にも映るぺんてるへの出資を決めた背景には業績低迷や成長鈍化に対する危機感がある。

ぺんてる出資から遡ること約3週間。コクヨは4月22日、2019年1~3月期決算の発表にあわせ、19年12月通期の営業利益見通しを前期比8%減の168億円(従来予想は3%増の188億円)に下方修正した。大和証券の三浦勇介アナリストは翌23日、「国内文具市場の需要低迷などを背景に業績は当面弱含む」として、コクヨの目標株価を1800円から1500円に引き下げた。

文房具最大手のコクヨは前期の連結売上高が3151億円と、ぺんてるの約8倍だ。それでもコクヨがぺんてるにこだわるのは、文房具として欠かせないペンの販売がほとんどないためだ。

海外強化も課題だ。コクヨの海外売上高は全体の1割に満たない。「キャンパスノート」は日本でこそノートの代名詞といえる存在だが、ノートの売れ筋は国や地域ごとに異なり、市場開拓は一筋縄ではない。

一方のぺんてるは「サインペン」などのブランドが浸透し、海外売上高は6割を超える。ぺんてるは欧米では代理店とのつながりが強いのに対し、コクヨの海外事業はアジアが中心だ。そのため、コクヨの幹部は「ぺんてるとは商品の重複が少ない上、地理的にも補完関係にある」と話す。

だが、コクヨの思いはぺんてる側に十分伝わっていない。

そもそも今回の出資は、業績悪化などで社長を解任されたぺんてる創業家の堀江圭馬氏が18年1月に、保有していた株式をマーキュリアに売却したことが発端だ。ぺんてる株の売買には取締役会の承認が必要で、ぺんてる経営陣はファンドを通じた間接保有というコクヨの手法に疑念を抱いている。ぺんてるはマーキュリアが保有する株式を、文具大手のプラスなどに譲渡させるつもりだったという。

コクヨの株価は、ぺんてるへの出資後に反発する場面もあったが、交渉の難航が伝わると上値が重くなった。18日終値は1449円と、18年4月につけた約20年ぶりの高値(2244円)より4割弱安い。

打開策はあるのか。コクヨとぺんてるの幹部はこれまでに複数回、水面下で協議している。関係者によると、コクヨによる直接出資への切り替えも議題になっているようだ。コクヨは「ぺんてる株を手放す選択肢はない」(幹部)というが、ぺんてるとの業務提携に至るには少なくとも数カ月かかるとの見方もある。

ノートが白地のままでは、コクヨ株は買えない。株式市場は当面、そんな現実と向き合うことになりそうだ。

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