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天神イムズ、コト消費 先駆けた30年 最後まで発信

2019/4/16 6:45
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福岡・天神にある商業施設「イムズ」が12日、開業30周年を迎えた。1989年(平成元年)に開業し、平成の30年間で物販だけでなく、イベントなどの「コト消費」を他の施設に先んじて提供してきた。運営する三菱地所は2021年度に閉館し、建て替える。インターネット通販やファストファッションが台頭するなか、新しい消費のあり方を九州で発信し続けられるか。

今までにない商業施設を目指し、外壁には金色の有田焼のタイルを施した(福岡市)

今までにない商業施設を目指し、外壁には金色の有田焼のタイルを施した(福岡市)

3月27日、9階のイムズホールに約400人の客が集まった。現れたのは人気バンド「ゆず」の2人だ。

1997年、まだメジャーデビューする前のゆずが初めて福岡でライブをした場所がイムズだった。22年の時を経て、2人は当時のライブで歌った曲「地下街」を熱唱。商業施設での音楽ライブは今でこそ珍しくないが、当時は「そういう場所自体があまりなかった」(大森和香代副館長)。

多い時は年間1062回、30年間で計2万118回――。イムズが開いたイベントの数だ。音楽や芝居、アート、テクノロジーと多岐にわたる。古場治館長は「いつ来ても新しいことをしていて、かつお金をかけなくても楽しめる。リピーターが多かった」と話す。

開業30周年の記念品を来館者に手渡しする古場館長(12日、福岡市)

開業30周年の記念品を来館者に手渡しする古場館長(12日、福岡市)

通常の商業施設は物販テナントが8割程度を占めるが、イムズは半分以下。代わりに自動車・電機メーカーのショールームやアートギャラリーなどで最新技術や流行を発信した。95年度、来館者数約1900万人、売上高約140億円となり、共に過去最高を記録した。

上層階の非物販で集客し、シャワー効果で低層階の物販店も売り上げを伸ばす。イムズの収益モデルは順調に見えた。

だが96~97年、キャナルシティ博多や岩田屋現本館のZサイド、博多大丸の東館、福岡三越が相次いで開業し、宝飾品や食品のテナントが流出。物販は路線変更を迫られ、感度の高いセレクトショップなどを集めることで業績の回復を図った。

そこにファストファッションの波が押し寄せる。98年に日本に初出店したスペインの「ZARA」を皮切りに「H&M」などの外資系アパレルが天神に進出。イムズにも誘致する議論が浮上したが「この施設の役割とは違う」と退けた。

地上8階までの吹き抜け空間をカプセル型エレベーターが往来する館内

地上8階までの吹き抜け空間をカプセル型エレベーターが往来する館内

近年はそのファスト系も、ネット通販の台頭で店舗閉鎖といった事業改革を始めている。古場館長は「構造変化以外の何物でもない。商業施設は今、過渡期にある」と打ち明ける。

物販を軸とする商業施設の戦略は見直しを余儀なくされている。福岡パルコは17年、「泊まれる本屋」やシェアオフィスを開業。博多リバレインモールも19年度の改装で新たにフィットネスジムや宿泊施設を入れると明らかにしている。

「イムズが創業以来行ってきたことに、時代が追いついてきた」と古場館長。ただコト消費と収益性を両立させる事業モデルはイムズもまだ描けていない。

約80億円の売上高見込みとなった18年度、三菱地所は建て替え計画を発表。天神で再開発が進み「エリアの将来像が変化する中、新時代のニーズに応える」と説明する。

まもなく訪れる令和はイムズにとって閉館へのラストランが始まる合図。「(閉館が決まり)収益などのしがらみから多少解放される。賃料を下げるなどし、面白いテナント誘致や創業支援に挑戦したい」(古場館長)。アーティストらとの再コラボも構想中だ。

30年で個人消費の動向は大きく変わったが、施設の役割は変わらない。「本人も気づいていない購買体験や『こうなりたい』願望を満たすこと」。そして「天神を博多に負けない面白い場所にすること」(大森副館長)。イムズが担ってきた役割は、形を変えながら未来に引き継ぐ。(鳥越ゆかり)

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