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造船ニッポン視界不良、中韓に「巨人」誕生

2019/3/27 17:15
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「明るい話題がないのが今の造船業界だ」。国内2位のジャパンマリンユナイテッド(JMU)の千葉光太郎社長は27日の記者会見でこう本音を吐露した。韓国や中国で巨大な企業同士の経営統合が相次ぐ一方、日本ではJMUが誕生した2013年以来大きな再編は起きていない。日本は世界で進む合従連衡から取り残されつつある。

記者会見するJMUの千葉光太郎社長(27日、横浜市内)

世界の船舶市場を大きく揺るがしているのが韓国勢だ。世界首位の現代重工と同3位の大宇造船海洋が3月、経営統合で合意した。千葉社長は「新会社が選別受注に移るのか、規模を生かした戦略をとるのか」と身構える。

造船の花形は1隻辺りの船価が200億円程度と高く、技術的にも建造が難しい液化天然ガス(LNG)運搬船だ。かつて日本勢の十八番だったが、16年以降は1隻も受注していない。ほとんどが韓国の造船会社に流れている。英クラークソン・リサーチによると、19年初時点での世界のLNG船の受注残136隻中100隻を韓国勢が占め、日本はわずかに15隻だ。

中国も負けていない。傘下に多くの造船所を抱える国有の2大メーカー、中国船舶重工集団(CSIC)と中国船舶工業集団(CSSC)が統合し、世界2位の巨大企業を作る構想も現実味を帯び、日本は造船の世界規模での再編に取り残されつつある。すでに18年の世界の船舶建造量シェアで中国は34%と、日本の13%を大きく上回る。積載量が20万トンを超える超大型タンカー(VLCC)の建造量でも日本を超え、技術力の伸びは群を抜く。

日本ではJFEホールディングス傘下だった旧ユニバーサル造船とIHIの造船部門が13年に統合し、JMUが誕生して以降、大規模な再編が起きていない。同年に表面化した川崎重工業と三井造船(現三井E&Sホールディングス)の統合交渉は破談。窒素酸化物(NOx)の新規制導入で14~15年に船の更新需要が拡大して市況が回復し、危機感が薄れた背景もあった。

だが、つかの間の春は短かった。16年には需要先食いの反動が出て世界の発注量は23年ぶりの低水準に。その後も、新たな環境規制の強化を受けて需要が回復するとの期待もあったが、実際には現在に至るまで受注量が出荷量を下回る水準が続いている。

造船産業には再び、じわりと危機感が広がり始めている。19年4月には三菱重工業や三井E&Sなど大手重工のトップも交代し、再々編の動きが広がるのではとの見方も消えない。台風の目になりそうなのはJMUや三菱重工をはじめとする大手重工系だ。

今治造船や常石造船などの専業メーカーは経営の独自色が強く、重工系とは賃金水準も異なり、隔たりが大きい。三菱重工と今治造船など専業3社は17年に技術提携を結んだものの資本提携など本格的なアライアンスには至らず、有名無実化しているのが現状だ。

一方、三菱重工とJMUは16年ごろに造船事業の統合を議論していたことが明らかになっている。当時は両社が自衛隊など向けの艦艇の受注をめぐって激しく争っていたこともあり、交渉はうまく行かず立ち消えになっていた。

全国に6カ所の造船所を抱えてコスト体質の改善に懸命なJMUと、主力のLNG船を16年から1隻も受注できていない三菱重工は追い込まれる一方だ。JFE、IHI、三菱重工はトンネル掘削機事業を16年に統合するなど、各社の溝は埋まりつつある。JMUの千葉社長も「色々な可能性を常態的にシミュレーションしている」と語る。

三井E&Sは18年に中国の民業最大手、揚子江船業と合弁事業を始めることで合意した。ただ国内の造船事業は依然赤字で、中でも首都圏に残る最大規模の造船所である千葉事業所のあり方は「事業再生計画の中で大きな課題」(岡良一次期社長)。首都圏ではJMUや住友重機械工業の造船所も現存しており、提携や売却の可能性は残る。

川重も17年3月に国内の主力、坂出造船工場のドックの一部閉鎖などの合理化策を発表した。しかし、中期経営計画の達成に必須とみられていた18年度にLNG船を2隻受注するとの目標は未達で、やむを得ず赤字でばら積み船を建造することを決めた。

国内をマザー工場として海外で量産するという日本の製造業が得意の戦略は、造船業に限っては成り立ちづらくなっている。国内で統合して抜本的にコスト削減するか、思い切って海外に軸足を移すかの二択を迫られている。

ただ国内再編にしても大手重工は全国各地に小規模な造船所を複数抱え、たとえ経営を統合しても簡単にはコストは減らない。周辺に造船関連産業が少ない孤立した造船所の閉鎖など、痛みの伴う改革は避けられそうもない。

千葉社長は「造船業は地方の雇用を支えるというミッション(使命)があり、傘下の造船所を統合することはできない」と強調する。だが、世界的な大規模再編で変化の潮流は激しさを増す。脆弱な産業基盤を一新しなければ、日本の近代化を支えてきた産業そのものの火も消えかねない。(朝田賢治)

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