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防衛産業、採算低く コマツが一部撤退

2019/2/21 20:00
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コマツが陸上自衛隊向けに開発・生産してきた車両の一部の新規開発を中止したことが分かった。開発コストに見合った収益が期待できないのが理由だ。日本の防衛費は拡大が続くが、増加分の多くは米国製の装備品購入に充てられ、日本勢への新たな発注は限られている。自衛隊向けだけの小さな市場で多数の企業が携わる日本の防衛産業。低い採算性に投資家から批判の目も向く。使命感で防衛事業を継続してきた日本勢だが、コマツのように採算を優先する動きは広がるだろうか。

コマツは自衛隊車両の大手。開発中止を決めたのは軽装甲機動車(LAV)でイラク派遣などで使われた。2000年代に200台近く受注したが、その後は発注が止まり生産を終えていた。防衛省から新規開発の打診があったが、コマツは「今の状況では新規開発は難しい」と伝えていた。

防衛装備品の価格は原価に一定の利益を上乗せする「原価計算方式」を取るのが基本だ。比率は5%程度と、民間事業の利益率としては高いとは言えない。技術開発には時間も人手もかかる。三菱重工業が製造したF2戦闘機や川崎重工業が手掛けるP1哨戒機など、国産防衛装備品も同様だ。自衛隊向けという限られた需要しかないため原価も高く、住友重機械工業が製造する機関銃のように、外国製の5倍以上の価格のものもある。

「採算性は厳しい。使命感でやっているので、完全なビジネスとしては見ていない」。防衛用航空エンジンを手がけるIHIで財務を担当する山田剛志取締役はこう話す。同社の防衛事業は売上高1000億円規模。構造改革の真っただ中にある同社でも別枠扱いだ。

各社が防衛事業を続けてきたのは、国の防衛への使命感や景気変動に左右されない安定性という観点が大きい。IHIの山田取締役は「装備品開発を通じて技術を鍛えられるという利点もある」と強調する。

ただ、このような状況は徐々に変化しつつある。各社の事業がグローバル化し、防衛事業の利益水準も海外勢や他の事業と比較されるようになった。民間ビジネスの片手間に国内市場だけを相手とする防衛事業は「投資家に説明しづらい」(大手重工幹部)存在になってきた。営業利益率が15%に上るコマツにとっては、「お荷物」事業と見られていたとしても不思議でない。

米トランプ政権は同盟国に軍事費の負担拡大を求め、米国政府から直接装備品を購入する有償軍事援助(FMS)を増やしている。日本政府も三菱重工などがライセンス生産していたF35戦闘機を輸入に切り替えた。防衛費が拡大しても国内勢の取り分は増えず、収益の改善や事業の成長は見込みにくい。三菱重工幹部は「サプライヤーたちがどんどんいなくなっていく」と嘆く。

一方、世界の軍需産業は再編を繰り返してきた。世界最大の国防費を誇る米国でも冷戦崩壊後の予算削減を受け、米航空・防衛の巨大メーカーが90年代半ば以降激しく再編。95年に米ロッキードとマーチン・マリエッタが合併して世界最大の防衛企業が誕生。米ボーイングも97年に米マクドネル・ダグラスを買収し、世界最大の航空・宇宙企業が誕生した。

日本の防衛産業を担う重工各社は祖業の造船も含めて事業の再編を進めてきた。その中で防衛事業の再編や撤退に踏み込んだ例はほとんどなく企業の動きは鈍い。政府は18年末に策定した中期防衛力整備計画で国内防衛産業の再編の必要性に言及したが、「国内の防衛産業の再編は一筋縄ではいかない」(川崎重工幹部)との声も聞かれる。

米国の18年度の国防費は約70兆円と日本の防衛費の10倍以上。技術開発競争では、巨額の予算を背景にした米国勢に追随するのは難しく、ただでさえ小粒の日本勢が競争力を発揮できる分野は乏しい。期待していた輸出も実現しない。生き残りの道は先細る一方だ。

(企業報道部 朝田賢治、西岡杏)

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