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「拝啓ベゾス様」 アマゾンを呼び込んだメール
ネット興亡記

ネット興亡記 第3部
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2019/1/15 2:00
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時代が21世紀に移ろうとしていた頃、インターネットを武器に既存の産業界に挑んだ若き起業家たちが現れた。その先駆けがeコマース(ネット通販)だった。モノの流れを変え、我々の生活スタイルをも変えた流通革命の立役者たちの物語。

日経電子版の新しい連載企画「ストーリー」がスタートしました。毎週新しいコンテンツを追加していく予定です。トップページの「ストーリー」からどうぞ

■ビットバレーの主役たち

1999年4月22日、東京・渋谷の東急文化村地下にあるカフェ「ドゥ・マゴ」。その日は日本のネット史の特別な1ページだ。「ビットな奴らの飲み会」と題された集まりに、ネットでの起業を夢見る若者たちが駆けつけた。

スピーチに立ったのが西野伸一郎だった。西野の表の顔はNTTの社員。その場に集まった人々からは「才場英治(サイバーエイジ)」のペンネームで知られていた。

1999年11月4日夜、約800人が参加して東京・渋谷で開かれた経営者や起業家志望の交流会「ビットバレー」。会場の壁には銀行、証券、投資会社の社員の名刺がピンで留められていた

1999年11月4日夜、約800人が参加して東京・渋谷で開かれた経営者や起業家志望の交流会「ビットバレー」。会場の壁には銀行、証券、投資会社の社員の名刺がピンで留められていた

渋谷を日本のネットビジネスの聖地にしようという集まりは「ビターバレー構想」に発展する。渋谷を英語にしたビターバレーは、すぐにビットバレーへと名を変える。翌2000年2月2日夜、六本木のクラブ「ベルファーレ」に2000人もの若者が集まり、壇上にソフトバンク社長の孫正義が上ったとき、熱気はピークに達した。

こうした動きの中心となったのがベンチャー企業、ネットエイジ。西野はその立ち上げメンバーの1人だ。

ヤフー社長の川辺健太郎、グリーを創業した田中良和、ミクシィ創業者の笠原健治、コロプラの創業者で現在は起業家支援の「千葉道場」を主宰する千葉功太郎――。起業を夢見た若者たちがネットエイジの門をたたいた。当時はまだ早稲田大学の学生で後にメルカリを創業する山田進太郎も「腕のいいプログラマー」として紹介され、このムーブメントに関わっていた。

アマゾンに乗り込んだ西野伸一郎氏。NTTからアマゾンに移り、現在は富士山マガジンサービス社長

アマゾンに乗り込んだ西野伸一郎氏。NTTからアマゾンに移り、現在は富士山マガジンサービス社長

■「梁山泊」ネットエイジ

ネットエイジは数々のネット起業家を輩出した「梁山泊」のような存在として知られる。だが米国で生まれたeコマースの巨人、アマゾン・ドット・コムを日本に連れてきたことはあまり知られていない。西野はそこにも深く関わっていた。

西野がネットの可能性に気づいたのは、NTT時代の93年に留学したニューヨーク大学だった。「これこそ俺が憧れたジョン・レノンの"Power to the people"。まさに世界を変えるテクノロジーだ」

ネットエイジには起業をめざす若者たちが集まった

ネットエイジには起業をめざす若者たちが集まった

帰国した西野が戻った職場は、こうした時代のうごめきとはかけ離れていた。「なぜNTTはインターネットを真剣にやらないんだ」。NTTの固定電話の契約者数はちょうどこの頃の1997年にピークを迎えて減少に転じるが、社内にはまだ「電話の会社」という固定観念が残っていたように、西野には思えた。米国で見たネット革命が日本に押し寄せるのは時間の問題なのに。

生まれたばかりのネットで何かできないか――。西野はその答えをNTTの外に探し始め、グロービス創業者の堀義人が主催する経営学修士号(MBA)取得者による勉強会に通い始める。そこで出会ったAOL日本法人の西川潔が社長となり、1998年2月にネットエイジを設立した。

■「アマゾンて?」

NTTは副業を禁じていたが、「就業規則によると、社外で働くことは禁じられているが経営は禁じられていない」との理屈で、会社には黙ったまま取締役に就任してしまった。

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