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ケーヒン「7000億円目標」の成算、インドと電動化

2018/12/17 7:00
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ホンダ系部品メーカー、ケーヒンが2030年度までに連結売上高を現在の2倍の7000億円に高める計画を掲げた。野心的な目標の達成には、思い切った取り組みが欠かせない。排ガス規制の強化で需要が高まるインドで二輪部品と電気自動車(EV)の普及を見すえた電動部品の開発・拡販を急ぐだけでなく、社内組織や社員の意識改革にも乗り出した。

ケーヒンが提携する英ホリバ・マイラ社のテストコース

「20年以降、インドと電動化対応の売上高が増える。新規開拓した顧客分も上乗せできる」。都内で開かれた経営説明会で横田千年社長は「7000億円企業」に向けた中長期の成長戦略を初めて語った。

19年度までの3年間の中期経営計画では(1)新環境時代へのソリューション提供(2)新たな顧客を倍増(3)「ケーヒンが好き」を拡大する、の3つを重点に掲げていた。この中計でも売上高の倍増方針は盛り込まれていたが、同社が7000億円に向けて青写真を示したのは今回が初めてだ。

まずはインドの二輪事業。ケーヒンは二輪の燃料系部品で世界シェア50%を握る最大手で、二輪車販売が年2000万台を超える世界最大市場のインドでもケーヒンのシェアは70%を占める。20年4月からインドで導入される新たな排ガス規制「バーラト・ステージ(BS)6」を新たな商機と見込んでいる。

これまでケーヒンが生産してきた空気圧で燃料を気化させてエンジンへ供給するキャブレターは浄化性能が低い。そのため先進国で一般的な電子制御の燃料噴射システム「フューエルインジェクション(FI)」に切り替えるからだ。

FIでは部品点数が吸気量を調整するスロットルボディーや燃料噴射用のインジェクターなど4つに増える。従来のキャブレターの生産体制は年1500万個ほどだったが、FIへの切り替えで「年4千万個となり、売上高も比例して増える」(横田社長)。FI化に向けインド国内の3カ所で新工場建設や既存工場も拡張工事を進める。

横田社長が「インドの次の大きなチャレンジになる」と強調するのは電動化対応。その中心がハイブリッド車(HV)やEVなどの電力制御に欠かせない「パワーコントロールユニット(PCU)」。ケーヒンは99年以来、PCUを手掛けており、16年からの現行品はその基幹部品の開発から初めて担った。

ケーヒンのPCUは小型ながらも出力密度が高いのが特徴で、設計レイアウトに制限のある小型車の電動化と相性が良い。ホンダ向けPCUではデンソー三菱電機といった競合がいるものの、ケーヒンは6割程度のシェアを確保しているとみられている。

19年には宮城製作所(宮城県角田市)でPCU生産能力を現在の2倍の年25万台にする工事が進んでいる。20年から22年にかけて中国で生産を開始し、それ以降は米国生産も視野に入れる。

今後の業界トレンドとされる電力損失を大幅に減らせる炭化ケイ素(SiC)を使うPCUの開発では他社を追う立場ながら、横田社長は「ホンダ系だから早い段階で一緒に開発に携われる強みがある」と強調。ホンダ向けのシェアをさらに高められると強気だ。

18年夏には堀場製作所子会社の英ホリバ・マイラ社と業務提携した。ケーヒンはPCUを含めた電動関連部品を1つのシステムにして、顧客への提案活動を強化する方針。この分野で知見を持つマイラ社との協業を生かしていく。

ホンダ向けのシェアを高めながら過度な「ホンダ依存」からの脱却も同時に進める。17年には社長直轄の拡販事業部を新設。新規顧客の開拓を迅速に進めるため、製品開発で役員が決裁していた仕組みを改め、製品の事業責任者の1人がスピード感を持って物事を判断できる体制に改めた。

18年夏までに宮城県と栃木県内の6カ所で社員食堂の大規模リニューアルを終えた。福利厚生を含めた社員の待遇改善を進め、大転換期の生き残りに向けた社員の満足度向上を進めている。

数値目標の「7000億円」は将来像を示す「ビジョン」の側面が強く、必達目標ではない。それでも明確なゴールを掲げたことで売上高の9割近くをホンダに依存し、どこか「受け身」意識があった体質を変革しやすくなる効果はあるだろう。横田社長の手腕が試される局面は続く。(古川慶一)

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