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フィナテキスト、SNS風アプリで投資家を魅了

2018/9/3 6:30
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NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

7月にKDDI(au)などから60億円を調達したフィンテック企業のフィナテキスト(東京・千代田)。傘下のネット証券のアプリでは利用者同士のソーシャル機能を充実させ、投資経験の浅い若者を取り込む。林良太社長(32)がこだわるのは「好奇心をくすぐるサービス」。原点は東大卒業後に渡った金融都市ロンドンだった。

林良太社長

林良太社長

「物流会社の需要は強い。値上がりが期待できる」「好業績だけど、人手不足がマイナス材料だ」。株取引アプリ「ストリーム」は銘柄ごとに自分の意見を述べたり、他の投資家と雑談したりして、興味を持てば数タップで取引画面に移る。フィナテキストが大和証券グループ本社と設立したスマートプラス(東京・千代田)が7月から正式に取引を始めた。

「決算短信を見るより好奇心をかき立てる。取引をしない時でも見たくなるように設計した」。林氏は胸を張る。日本では若者の好奇心を誘う金融サービスが圧倒的に足りない、と感じていた。モバイル世代の若者に寄り添い、初心者でもストレスなく取引できる工夫を随所にちりばめる。

アプリはデザインに力を入れ、その日の話題の銘柄や株価チャート、資産状況も一覧できるようにした。交流サイト(SNS)のように画面上に流れる関連ニュースは、株価や注目の度合いも一目で分かる。投資家に注目される有益な投稿をしたら、費用を優遇する仕組みを設ける計画だ。

証券業に参入したが、「DNAはIT(情報技術)企業。テクノロジーの力で刺さるサービスがテーマ」(林氏)。アプリ「あすかぶ!」は独自の計算技術で、銘柄の翌日の株価の上下を予想しながら参加者同士が語り合う。投信選びを手助けする「ファンデクト」など、創業以来、次々とアプリを投入。利用者は200万人に達する。ストリームでは「最速で10万口座」が目標だ。

林氏は最初から金融の世界を目指していたわけではない。東大経済学部に入学した当初はテニスに明け暮れる毎日。「勉強はほとんどしなかった」と振り返る。

父親も起業家だったことや2000年代のネットビジネスの興隆に触発され、友人らとウェブデザインを手がけてバイト代を稼いだ。「いわゆる『意識高い系』。ビル・ゲイツを超えてやるなんて言っていた」。

根っからの負けず嫌いで、就活では周りが大企業を目指すなか「どう違いを出せるか悩んだ」。コンピューターサイエンスを基礎から徹底的に学ぶために日本を飛び出すことを決め、英国のブリストル大学に合格。ただ、学期が始まる前から就職活動も始めた。

株取引アプリ「ストリーム」は投資家同士が情報交換できる

株取引アプリ「ストリーム」は投資家同士が情報交換できる

「とりあえず就労ビザが取りやすいコンサル会社や投資銀行を受けた」。ドイツ銀行ロンドン支店の最終面接はリーマン・ショックの10日後。「最悪の時期」だったが、運も味方につけ日本人として初めて現地新卒で採用された。

機関投資家の営業で欧州を回るも当時の日本株は見向きもされなかったという。理由はデフレだけではないはず。「投資やファンドはみんなでつくるもの。参加する投資家を増やす多様なサービスが必要」と感じた。帰国後はヘッジファンドに転職。その後、同窓の東大卒の同僚らと13年に起業した。

創業当初は株価の予測ツールなどを開発したが「全くささらなかった。小難しいことをやっても大手にはかなわない」。目線を変えて、遊びや競争など人を熱中させるゲーム要素を取り入れたアプリ開発を重視した。周囲には「そんなものでどう稼ぐのか」と笑われたが「お高くとまったサービスは使われない」と気にしなかった。

金融業界以外のプレーヤーも巻き込みながら走る。高度なシステムが必要なフィンテックは資本力が問われ、参入障壁の高い業界。非金融事業者も簡単にサービスを開発できる基本ソフト(OS)のようなシステム基盤を提供していく。「『貯蓄から投資へ』と言われるが、自分たちだけでは到底実現できない。技術を囲い込むのではなく、協業できるようにオープンにしていく」

新事業となるスマホ証券は、米国など海外が先行する。13年創業の米ロビンフッドは400万口座に達し、企業価値が56億ドル(約6200億円)を超える大型ユニコーン(企業価値が10億ドル超の未上場企業)にまで育った。「利用者目線に立ったサービスでミレニアル世代でトップを狙う」。林氏の挑戦が日本の若者の投資行動を変えるかもしれない。  (駿河翼)

フィナテキストには日本経済新聞社も出資している。

[日経産業新聞 2018年9月3日付]

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