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パネイル、クラウド型電力システム拡販狙う

2018/7/31 6:30
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NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

電力向けシステム開発のパネイル(東京・千代田)は、インキュベイトファンドやSMBCベンチャーキャピタルなどから総額19億3000万円の資金を調達した。電力会社向けに業務を自動化できるクラウド型システムの販売拡大につなげる。ディー・エヌ・エー(DeNA)出身の名越達彦社長に調達の狙いと今後の展開を聞いた。

パネイルの名越達彦社長

パネイルの名越達彦社長

――今回の大型調達の狙いは何ですか。

「全国の電力会社や新電力に、我が社のクラウド型電力管理システムを採用してもらうための、機能開発や営業費用に使う。料金見積もりから顧客管理、電源調達、請求処理までクラウド上で一気通貫しており、これまで手作業だった事務処理が自動化できる」

「電力小売りは薄利多売で、システム維持など販売管理費は電力価格の15%を占めるといわれる。当社のシステムで3%に抑えることが可能だ」

――4月に東京電力エナジーパートナーと共同出資会社を作りました。

「クラウド型システムの採用第1弾として共同出資会社PinT(同)で使い始めた。東電以外にも採用を働きかけている。電力管理システムのプラットフォーム(基盤)として、大手電力や新電力に営業をかけていく。ただ既製のパッケージシステムとして提供するつもりはない。電力会社ごとの事業環境に合わせて必要な部分は作り込み、電力会社が事務処理に煩わせないシステムを提供する」

――最近は新電力としても台頭しています。

「クラウド型システムを作った当初、どこにも相手にされなかった。あるベンチャーキャピタル(VC)からは『実績がないと出資できない』と言われたこともあった。実績を作るために、このシステムを使った新電力を立ち上げた。効率的なシステムで安い料金を設定でき、代理店を経由して徐々に顧客を増やしていった」

――以前調達した総額11億8千万円の多くは営業費用に充てました。

「フリマアプリのメルカリは調達費用の大半を広告宣伝費に充てて認知度を一気に高めた。当社の場合、法人の電力契約の入札案件を一気に取りに行く戦略をとった。全国で入札して、北海道大学や名古屋市役所など相次ぎ落札。(500社あるとされる)新電力の販売量シェアで2018年3月に15位まであがった」 「だが電力小売りはシステム販売の手段で、この拡大に主眼は置かない。システムを多くの電力会社に使ってもらう当初の目的は今も変わっていない」

――新規株式公開(IPO)の考えは。

「今回の調達で時価総額は700億円強になった。私としてはDeNAや(コンテンツ開発の)エイチームでIPOに関わった経験があり、3社目のIPOができればと思っている」

■ ■ 記者の目 ■ ■

日本で電力小売りが全面自由化したのが2016年4月。約2年が経過し、割安な電気料金やセット割などサービス競争は激しくなっているが、「電力会社の多くは、使い勝手の悪い古い情報システムを使い続けている」と名越社長は語る。DeNAやエイチームなど新興IT(情報技術)企業を渡り歩いた経験を基に、独自の電力管理システムの開発につなげた。

共同出資会社PinTの社長で東京電力エナジーパートナー出身の田中将人氏は「稟議(りんぎ)や開発時間など従来なら1カ月以上かかったシステム変更が、今は1週間で可能になった」と指摘。パネイルのシステムの柔軟性と、スタートアップ企業ならではの対応の早さを評価する。

現在は新電力事業が収益の中心だが、システム会社として成長して上場を目指す。システムは利用企業ごとに機能を修正するとしており、東電以外の電力会社の利用を狙っている。変革スピードが他産業に比べ遅いとされる電力業界で、パネイルのシステムがどこまで広がるかが上場のカギを握る。 (榊原健)

[日経産業新聞 2018年7月31日付]

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