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カルビー松本CEO退任 「経営は不連続が理想」

2018/6/20 11:35
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カルビーは20日の定時株主総会後、松本晃会長兼最高経営責任者(CEO、70)が退任する。同社初の外部出身トップに就任後、9年間で業績を飛躍的に高めたカリスマが残した功績は巨大。それだけに世代交代には大きな困難がつきまとう。松本時代に続いた成長が踊り場に入るなか、バトンを受け継ぐ伊藤秀二社長(61)に課されたハードルは高い。

「経営は不連続が理想。引き継ぎメモは一切、作らない。伊藤さんは伊藤さんのやり方でやるべきだ」。退任直前、日経新聞のインタビューに応じた松本氏はこう述べた。突き放したような発言は、自身の後継者が置かれた立場の難しさを理解する松本氏なりの心遣いなのかもしれない。

伊藤忠商事から転じた米ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人で社長として辣腕を振るい「プロ経営者」として知名度を高めた松本氏。成長が頭打ちだったカルビー創業家から、停滞を打破する役割を期待され招請を受け、2009年に会長兼CEOに就任した。

「商品力が強すぎるので、他が弱くても何とかなる状態」。就任当初をそう振り返る松本氏がまず取り組んだのはコスト改革だ。集中購買を通じて調達費を下げ、浮いたお金を販促に回すことで工場の稼働率をアップ。固定費が収益を圧迫する構造にメスを入れた。

1991年の発売後、ぱっとしない日陰商品だったシリアル「フルグラ」に、「朝食革命」というキャッチフレーズを付け、健康志向の消費者の取り込みに成功したのも松本氏の功績だ。松本時代の9年間、売り上げは2倍、営業利益率は3倍になり、製菓業界屈指の高収益企業に変身した。

松本氏の強力なリーダーシップが成果を上げるほど、カルビーは同氏の個人的力量への依存を強めた。表向きは09年に同時にCOOに就いた生え抜きの伊藤氏が実務面をサポートする「2頭体制」といわれたが、CEOの任期として想定された6年間を過ぎても松本氏から伊藤氏への権限移譲は進まなかった。

今回、松本氏の退任に合わせ伊藤氏はCEO職を兼務するが、ある社外取締役は「『ポスト松本』が伊藤氏なのは既定路線だが、松本氏のこのタイミングでの退任は晴天のへきれき。前もって準備された体制移行ではない」と明かす。「自分はリリーフピッチャー。人事は仕事じゃない」という松本氏自身も、後継体制の整備に主導的に関わってこなかった。

フルグラの健康効果の共同研究開始を発表するカルビーの松本会長兼CEO(右)

フルグラの健康効果の共同研究開始を発表するカルビーの松本会長兼CEO(右)

そのことを強く感じさせるのが、CEO退任後に松本氏が就く「カルビーシニアチェアマン」という奇妙な役職だ。プロ経営者としての新天地を求め、6月24日付でRIZAPグループのCOOに転じる松本氏。当初カルビーの全役職を外れるとみられていたが、複数の取締役がカルビーに何らかの形で残ることを要請。固辞しかねた松本氏が「グループの対外的な広報活動を支援する」名誉職での留任を受け入れたようだ。

今後、単独でカルビーを率いる伊藤氏の道のりは平坦ではない。近年、業績をけん引してきたフルグラの売り上げ成長が鈍化。北米事業の不振も重なり、18年3月期は松本氏のCEO就任後、初の営業減益となった。松本氏の手掛けたコスト改革の成果が出尽くすなか一段の成長は難しくなる。松本氏自身、「まだ2~3合目の海外事業の育成や、手を付けられなかった生産拠点の再編は、伊藤さんの仕事」と宿題の多さを認める。

筆頭株主の米ペプシコとの関係も課題だ。09年、ペプシコ傘下の日本企業をカルビーが買収するのに合わせペプシコはカルビー株の2割を取得した。現在のペプシコとの関係は出資交渉にも関わった松本氏と、インドラ・ヌーイCEOの個人的信頼関係に依存する部分が大きい。松本氏はヌーイ氏と電話1本で話せる仲だが、ホットラインについて「引き継ぎはしない」という。5月下旬、松本氏は退任あいさつでペプシコを訪問。ヌーイ氏の歓待を受けたが伊藤氏は同行しなかった。

19年7月には当初の契約の特別条項が終了し、ペプシコはカルビーへの出資比率を変更できるようになる。出資時には構想された北米での広範な共同事業も目立った実績はなく両者の関係の再定義は不可欠だが、松本氏抜きでペプシコとの交渉を進められるのか、不安は大きい。

3月下旬の松本氏の退任会見に同席した伊藤氏は「社内の人間ができなかった課題に大なたを振るい、正しいことを進めた」と松本氏を称賛。「改革の方向性は共有しており、海外、フルグラ、新事業に力を入れていく」と強調した。

既存の企業文化の延長線上にはない革新を持ち込み、不連続な成長をもたらした松本氏。巨大なカリスマが去った後、いかにその遺産を発展的に継承できるか、プロ経営者が一般的でない日本の企業社会全体にとっての試金石になりそうだ。

(企業報道部 松井基一)

[日経産業新聞 2018年6月20日付]

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