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【製薬大手】スイスのロシュ傘下。がん領域など新薬候補は充実。

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宇宙創薬、巡航軌道へ ペプチドリーム

2018/1/18 6:30
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宇宙を創薬の実験場として利用する動きが広がっている。無重力の状態ではたんぱく質が規則正しくきれいな結晶になり、構造の分析に役立つためだ。創薬のペプチドリームは宇宙航空研究開発機構(JAXA)の協力を得て、病気の原因になるたんぱく質の結晶化実験を進めている。宇宙は、画期的な新薬を開発する揺りかごになるだろうか。

国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」でたんぱく質の結晶化実験をする金井宣茂宇宙飛行士(JAXA/NASA提供)

国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」でたんぱく質の結晶化実験をする金井宣茂宇宙飛行士(JAXA/NASA提供)

2017年12月20日、国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」で、金井宣茂宇宙飛行士がある実験を始めた。たんぱく質の結晶化だ。大学によるプロジェクトで、たんぱく質は米宇宙開発会社スペースXのロケットで届けられた。金井氏が滞在する半年の間に、ペプチドリームなど企業の結晶化実験を行う可能性もある。

同社の舛屋圭一取締役は「たんぱく質の構造を解析することが創薬の出発点」と話し、構造解析には宇宙が地上よりも適していると説明する。

同社は薬の候補物質として、アミノ酸が連なる「特殊環状ペプチド」を開発している。病気の原因になるたんぱく質は手のひらを丸めたような構造だ。そのへこみを鍵穴に見立て、ペプチドが鍵のようにはまることで体に悪影響を及ぼすたんぱく質の活動を止める。

ペプチドを開発するには、標的となるたんぱく質の構造を正確に知る必要がある。そのために、きれいな結晶構造を作らなければならない。

結晶は、たんぱく質が入っている溶液に塩水などを加えればできる。ただ、地上では対流が起きるためたんぱく質の分子が規則正しく並ばず、針状になってしまうこともある。

無重力の宇宙ならば対流が起こらず、分子がゆっくり取り込まれて成長し、きれいな結晶が生成される。

同社は17年2~3月に結晶化実験を実施し、乳がんの原因になるとされるたんぱく質の高品質の結晶を得た。これを受け、宇宙創薬の研究を広げることにした。

新たな契約期間は17年8月~20年8月までの3年間。宇宙で実験するたんぱく質の試料数を6倍の24種類に増やす。がんや中枢神経系、糖尿病など幅広い病にかかわるたんぱく質を調べる。

同社は06年に設立された東京大学発の企業で、東証1部に上場している。薬の候補物質となるペプチドを数兆種類も合成できる技術力が評価され、第一三共田辺三菱製薬など国内勢のみならず英アストラゼネカや米メルクといった世界大手と提携している。技術提供の対価を得ており、17年6月期の売上高は前の期比13%増の48億円。

ペプチドリームは技術を存分に生かすため宇宙をうまく使いたい考え。JAXAとの契約では、同社が提携先から依頼されたたんぱく質の実験もできる。

JAXAきぼう利用センターの松本邦裕技術領域主幹は「我々の提供する宇宙環境を広く利用してもらえることも企業にとってのメリット」と話す。

JAXAは国際宇宙ステーションでの実験以外に、結晶化に最適な溶液成分を選んだり、実験前のたんぱく質を精製して純度を高めたりする。宇宙から地上にたんぱく質を持ち帰ると、大型放射光施設「スプリング・エイト」(兵庫県佐用町)などに持ち込みX線で構造を解析する。

JAXAに依頼する内容によるが、有償契約ではひとつの試料につき地上実験が170万円ほど、宇宙実験が追加で85万円ほどかかるという。欧州などの企業に委託するよりも破格のコストで頼める。

JAXAは国際宇宙ステーションの試験利用の制度を13年から企業に提供し、これまで中外製薬や大鵬薬品工業など9社が参加した。

試験利用から有償契約に至ったのは今のところペプチドリームだけ。過去には「地上に戻ってきてからの品質管理などの要求を満たせていないところがあった」と、JAXAの松本氏は認める。

だが、現在までに実験環境の温度を20度だけでなく4度にも設定できるようにしたり、打ち上げの頻度を年4回に倍増させたりして企業の需要に応えようとしている。

企業は研究開発の情報を外部に出すことに及び腰になってしまう。だが舛屋氏は「当社は開発のスピードを上げるため、外部の組織が得意とするものはどんどん利用していく」と強調する。

試験的に利用した企業のなかには、有償契約を結ぶことを検討するとの声がある。宇宙はより身近になりつつあり、長い目で見ればひとつの研究開発の場ととらえる企業は増えるだろう。

(企業報道部 安西明秀)

[日経産業新聞2018年1月18日付]

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