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日米欧、藻類活用で知恵比べ 燃料代替やCO2吸収
Earth新潮流 日本総合研究所常務理事 足達英一郎氏

日経産業新聞
コラム(ビジネス)
2021/7/9付
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NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞 日経産業新聞 Earth新潮流

6月29日、藻類のミドリムシと使用済みの食用油を原料とする国産バイオジェット燃料を利用した小型ジェット機が、鹿児島空港から羽田空港に向けて飛び立った。

■「民間機初」のフライト

バイオジェット燃料によるフライトの発表会に臨むユーグレナの出雲充社長(右)(6月、東京都大田区)

バイオジェット燃料によるフライトの発表会に臨むユーグレナの出雲充社長(右)(6月、東京都大田区)

民間機としては日本初フライトとされる。バイオジェット燃料を製造したのはユーグレナだ。同社は2005年に世界で初めて微細藻類ユーグレナ(和名ミドリムシ)の食用屋外大量培養技術の確立に成功した。ミドリムシなどを活用した機能性食品や化粧品の開発・販売のほか、遺伝子解析サービスも手掛ける。

バイオ燃料については18年10月末、日本初の製造実証プラントを竣工した。20年3月に供給を開始し、バス、配送車、フェリー、タグボートなどで導入が広がっている。

08年から特許を持つ新種の藻に二酸化炭素(CO2)を吸収させてバイオ燃料を生産する研究に取り組むのがデンソーだ。池や温泉に生息する「コッコミクサKJ(旧名シュードコリシスチス)」と呼ぶ5マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルの植物に期待が集まる。

この藻はCO2を吸収して光合成ででんぷんを作るだけでなく、ディーゼルエンジンで使用できる軽油の成分を含んだオイルも作る。成長が速く、丈夫で培養しやすいのが特徴とされる。これまでの研究で得られた藻は、保湿クリームやラリー車両向け燃料で活用されている。今後、ユーグレナは、デンソーが培養した藻を原料のひとつに取り入れる計画とも伝えられる。

ユーグレナやデンソーが扱う藻は、緑藻と呼ばれるグループに属し、クロレラやイカダモといった微細藻、アオサ、マリモ、カサノリといった大型藻を含む。この他にも藻類のグループはあり、藍藻の分野ではDICが1977年に管理培養下での量産に成功したスピルリナが有名だ。

DICは継続して製品の製造・販売に取り組み、数々の栄養補助食品を世に送り出している。乾燥したスピルリナはタンパク質やビタミン、ミネラル、多糖類(食物繊維)を含む。古来、耕作や牧畜に適さない土地で貴重な食糧だったという説もある。

もうひとつの紅藻のグループに属するのが、アサクサノリ、テングサなどだ。テングサから作られる寒天は、近年、食品としての価値が注目されている。水分を吸う食物繊維が豊富で満腹感を覚えやすいため、米や小麦食品の摂取を抑制できる。寒天の製造で国内でトップシェア、世界でも有数のシェアを占めている寒天メーカーが伊那食品工業(長野県伊那市)である。

■欧州委が「藻類戦略」

鉄(フルボ酸鉄)を沿岸海域に魚礁として設置し、海藻を増やし、CO2吸収量を増加させる。さらに、生育した海藻を製鉄所の高炉炭素源として使う。こうした研究プログラムに着手したのは、日本製鉄、日鉄ケミカル&マテリアル、金属系材料研究開発センター(JRCM)のグループだ。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「先導研究プログラム/エネルギー・環境新技術先導研究プログラム/ブルーカーボン(海洋生態系による炭素貯留)追及を目指したサプライチェーン構築に係る技術開発」に採択された。

このように藻類はエネルギー、食糧、炭素固定化といった切り口から、地球と社会の持続可能性に向けて大きな可能性を秘める。日本企業の実績がある領域でもある。

このコラムでは以前、欧州委員会が藻類に関する戦略文書を打ち出そうとしていることを紹介した。その発行時期は22年になる見通しだ。20年あたりから、欧米の動きは活発になっている。

21年1月には、欧州域内における藻類生産関連産業の包括的な調査結果が公表された。それによると、23カ国で447カ所の藻類生産関連拠点が確認された。

調査では藻類を微細藻類と大型藻類に分けて数字を把握している。企業数では前者がドイツ、スペイン、イタリア、後者でフランス、アイルランド、スペインが上位につける。また微細藻類はフォトバイオリアクター、池、発酵槽で培養するのに対し、大型藻類は依然として多くが天然資源から収穫するものの、陸・海上での養殖が増える傾向にあることを指摘している。

藻類の生産は世界で増えている。生産規模を国別にみると、中国、インドネシア、フィリピンなどが上位に並ぶ。欧州でも07年以降、関連する企業の増加傾向は顕著だ。

報告書を作成した研究者らは藻類関連の産業が欧州のカーボンニュートラルや、栄養価が高く持続可能な食品へのアクセスに貢献する大きな可能性を秘める点を指摘する。産業としての振興策の必要性を訴えており、こうした産業の輪郭をはっきりさせる作業を欧州委は常に欠かさない。

■米、大規模な実証を支援

米国では20年7月、藻類に関連する連邦政府部局のスタッフを横断的に組織した「バイオ経済構想と藻類に関する省庁間作業部会」が、連邦政府全体の取り組みと支援策を網羅的にまとめた報告書を出している。21年1月にはエネルギー省が藻類ベースのCO2利用を進める研究プロジェクトに800万ドルの予算を充てることを発表し、その支援先の公募を始めた。

興味深いのは、藻類を原料に付加価値が高い製品を生み出すことで炭素回収の短期的なコストを削減したいとする狙いの下、大規模な実証と検証を支援するという点だ。

藻は樹木と比べてCO2の吸収効率が高く、同じ面積で比較した場合、藻の培養池は森林の10倍のCO2を吸収する能力があると言われる。また、藻自体は世界中に2000種類以上も存在すると言われている。50年のカーボンニュートラルに向けて宝の山とも考えられる藻類の生産と利用をどう産業化していくのか。無節操な拡大が生態系に負の影響を与えることにも配慮しながら、各国の知恵比べが始まっている。

[日経産業新聞2021年7月9日付]

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