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脱炭素へ再生プラ争奪戦 イオンやキリン、再利用を加速
Earth新潮流 日経ESG編集部 相馬隆宏

日経産業新聞
コラム(ビジネス)
2021/3/5付
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NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞 日経産業新聞 Earth新潮流

温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に米国が復帰するなど、温暖化ガスの排出を実質ゼロにする「脱炭素社会」に向けた機運が高まっている。世界的な潮流となっている脱炭素が引き金となり、国内ではある資源を巡って争奪戦が激しくなっている。

イオングループは店舗に設置した回収ボックスなどで容器原料のリサイクルを進める

イオングループは店舗に設置した回収ボックスなどで容器原料のリサイクルを進める

企業が相次いで確保に動いているのが再生プラスチックだ。石油由来のプラスチック使用についても、温暖化ガスの排出をできるだけ抑える必要がある。そのため、バージン(新品)のプラスチックと比べて温暖化ガスの排出が少ないとされる再生プラスチックや植物由来の素材に切り替えるところが増えている。

イオンは2月、丸紅グループと組み、使用済みペットボトルから新品のペットボトルをつくる「ボトル to ボトル」の活動を開始した。

イオングループの店舗で回収した使用済みペットボトルをリサイクルし、同社のPB(プライベートブランド)商品「トップバリュ」の飲料容器原料として使う「クローズドリサイクル」の仕組みを構築する。

まず、東京都を中心に一部の店舗で実験を始め、6月にはこの仕組みで再生したペットボトル商品を販売する計画だ。2021年度中に関東エリアに広げた後、順次、全国へ展開する予定という。イオン環境・社会貢献部の鈴木隆博部長は、「持続可能なプラスチックの利用を進めて最終的に二酸化炭素(CO2)ゼロの社会をつくりたい」と言う。

今回の「ボトル to ボトル」はその一環である。30年までにPB商品のペットボトルを全てリサイクル素材か、植物由来素材にすることを目指す。

■課金・課税に備えも

石油由来のプラスチックを使い続ければ、企業のコスト負担が増すリスクもある。脱炭素を実現する手段として、様々な国・地域が(CO2排出に価格を付ける)カーボンプライシングの導入を検討しているからだ。プラスチック製品への課金・課税が広がることも想定される。

イオンの鈴木部長も「カーボンプライシングが進めば、CO2削減に貢献しない製品は高くなる。今回の取り組みは脱炭素の枠組みの中に位置付けている」と、価格戦略においてもプラスチック原料を見直す意味は大きいと話す。

「海洋プラスチックごみ問題」を機に、ペットボトルのリサイクルは活発になっている。これまでは使い捨てプラスチックを無くす「脱使い捨て」が目的の中心だったが、最近になって「脱炭素」を目的に取り組む企業が出始めた。

脱使い捨てを目指して、主要な飲料メーカーや日用品メーカーが一斉にペットボトルのリサイクルに動いた結果、リサイクル材の需要が急増している。既に需給の逼迫が懸念されている中、脱炭素での需要が加われば資源争奪戦が過熱するのは必至だ。

競争の激化は調達価格の上昇にもつながる。今後、クローズドリサイクルのループを確立し、自社でリサイクル材を囲い込む動きが加速する可能性がある。

化学的処理によって使用済みプラスチックをバージンプラスチックと同等の品質に再生する「ケミカルリサイクル」に活路を見いだす企業もある。

■化学リサイクルで連携

キリンホールディングスは2020年12月、三菱ケミカルと共同でケミカルリサイクルによるペットボトルのリサイクル事業に取り組むと発表した。

現在、「ボトル to ボトル」の主流は、物理的処理を使う「メカニカルリサイクル」と呼ぶ手法だ。比較的低コストで済む半面、異物の除去に限界があるため、素材の品質を劣化させずに繰り返しリサイクルするのが難しいとされる。

ケミカルリサイクルであれば、ペットボトルからペットボトルへ何度も繰り返しリサイクルできる。ペットボトル以外の製品に使われているPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂からもリサイクルできる。

両社は今後、ケミカルリサイクルの実用化に向けて、技術や回収の仕組みを検討する。25年ごろにはケミカルリサイクルを活用した資源再生工場を稼働させるもようだ。

キリンは、ケミカルリサイクルも活用しながら、27年までにリサイクルペットボトルの使用率を50%以上にすることを目指す。使用済みペットボトルは既に争奪戦が激しくなっているため、流通量が多い衣料などペットボトル以外の製品に使われているPET樹脂を積極的に回収し、リサイクルに回す考えである。

ユニリーバはチリで量り売りの移動販売によって売り上げを伸ばした

ユニリーバはチリで量り売りの移動販売によって売り上げを伸ばした

リサイクルを進めると同時に、ビジネスモデルの変革によってプラスチック削減を進めているのが、英蘭ユニリーバだ。

同社は欧米やアジアの一部でシャンプーや洗剤などの「量り売り」を展開している。顧客が持参した容器に中身を充填する販売モデルで、容器に使うプラスチックを大幅に減らせる。

日本ではユニリーバ・ジャパンが2月から、長野県佐久市で移動販売車を利用した量り売りの実証実験を始めた。現地で日用品や食品の移動販売サービスを手掛ける事業者と連携し、シャンプーや全身洗浄剤など6製品を提供する。価格は100グラム当たり60円。近隣のドラッグストアで売っている商品より価格を抑えたという。

先行して19年5月から移動販売車による量り売りを始めたチリでは、売り上げが約1年で9倍に伸びた。移動販売車が顧客の自宅近くまで来てくれる利便性や、購入するとポイントがたまるお得感が受けている。

企業にとって脱炭素と両輪で進む脱使い捨ての取り組みには、安定調達を確保する資源戦略や新たな収益源を生むビジネスモデルの構築が欠かせなくなっている。

[日経産業新聞2021年3月5日付]

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