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ラジオの未来、ラジコ型かスポティファイ型か
先読みウェブワールド (藤村厚夫氏)

コラム(ビジネス)
2019/10/28付
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NIKKEI MJ

ラジオ番組をパソコンやスマートフォンで聴ける「radiko(ラジコ)」が人気だ。最近では月間の利用者が700万人に上るという。デジタル化をテコに、地域と時間の制限なく手軽に聴けることが受けている。

ラジコ(奥)はもちろん、スポティファイ(手前)にもニュース番組が混ざるようになった

ラジコ(奥)はもちろん、スポティファイ(手前)にもニュース番組が混ざるようになった

マクロミルが昨年7月に調査した結果が興味深い。ラジコの利用は「自宅」との回答が8割を超え、「移動中」は2割弱と少ない。従来型のラジオでは、自宅と移動中が5割強で拮抗しているのと対照的だ。ラジオをネット経由で聴く層は目的意識の強いマニアに偏っているようだ。

衰退がつとに指摘されるラジオだが、ラジコはネット世代を魅了できるだろうか?

気になるトレンドが、米国などでブームの「ポッドキャスト」だ。2000年代初頭に音楽再生プレーヤー向けに「音声版ブログ」として誕生。米国では7千万人以上が聴くという。

そのポッドキャストに、楽曲配信サービスの大手「スポティファイ」が力を注ぎ始めた。「アップル・ミュージック」と激しいつばぜり合いを続け、いずれも配信楽曲数は4千万とも5千万ともいわれ規模では優劣がつけにくい。見いだした活路がポッドキャストというわけだ。

スポティファイの大きな特徴は人工知能(AI)の駆使だ。ユーザーの嗜好にそってアーティストを推奨したり、アルゴリズムで選曲したりする。筆者のスマホのスポティファイのホーム画面には、好みの楽曲やアーティストだけでなく「ウォール・ストリート・ジャーナル」やラジオNIKKEIなどのニュース解説番組も並ぶようになった。

ふじむら・あつお 法政大経卒。アスキー系雑誌の編集長、外資系IT(情報技術)企業のマーケティング責任者を経て2000年にネットベンチャーを創業、その後の合併でアイティメディア会長。13年からスマートニュース執行役員。18年7月からフェロー。東京都出身。

ふじむら・あつお 法政大経卒。アスキー系雑誌の編集長、外資系IT(情報技術)企業のマーケティング責任者を経て2000年にネットベンチャーを創業、その後の合併でアイティメディア会長。13年からスマートニュース執行役員。18年7月からフェロー。東京都出身。

さらに面白いことに、AIが楽曲を組み合わせてお勧めする「プレイリスト」に、ポッドキャストが混ざるようになった。日本人向けには仕上がっていないが、「あなたの毎日のドライブに」というプレイリストでは楽曲の合間に、BBCの新着ニュースや最近人気のサイエンストピックなどが盛り込まれている。

楽曲と非楽曲をAIがうまく組み合わせてまとまりのあるプレイリストを提供する意図は、たとえばクルマで出勤するユーザーに毎日聴く習慣をつけさせることだ。これこそまさに「ラジオの再発明」。個人の嗜好や置かれた状況に合わせる「AI時代のラジオ」というわけだ。

楽曲の合間に組み込まれるポッドキャストが5分程度の聴きやすいサイズに収まるよう、ポッドキャスターと契約もする。スポティファイのラジオ再発明には、並々ならぬ情熱がこめられている。

ここまでくると「独自の番組作りにも取り組むのでは」との疑問も湧いてくる。案の定だが、IT(情報技術)専門メディアの「インフォメーション」は、スポティファイがCBSニュースの元幹部をコンサルタントに迎えようと交渉中だと報道した。

ラジコの話題に戻ると、利用層は20~30代で4割に満たない。中年以上がネット時代に改めてラジオを楽しんでいる図が見えてくる。一方、スポティファイの日本での利用層は20~30代が5割超と、若者に傾いている。ラジコ型かスポティファイ型か、ラジオの未来は若者の支持によって決まると言えそうだ。

[日経MJ2019年10月28日付]

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