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PCR「時短検査」生かせず
結果通知まで3日、検体輸送の効率化課題

2020/8/6付
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新型コロナウイルスの感染者が再び増加するなか、PCR検査のスピードが上がらない。検査の体制は1日3万件超にまで拡大したが、患者が結果を受け取るまでに3日程度かかる。判定に時間がかかれば、その間に無自覚の陽性者が感染を広げかねない。検査時間を縮める装置の活用や、検体輸送の効率化が課題となる。

「若者は無敵ではない」。世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は7月30日、米国や欧州などで若者を中心に感染が拡大している状況に警鐘を鳴らした。日本でも、東京都内の6月、7月の新規感染者は20代が4割と大半を占める。

感染拡大防止の対策として急浮上しているのが検査の迅速化だ。若者ほど外出する傾向が強く、検査結果を待つ間に他者にウイルスをうつしてしまうリスクが指摘されている。米国でもマイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が7月末、米CNNテレビで「米国のPCR検査は時間がかかり無駄だ」と批判した。

一長一短の装置

日本でも通常5時間かかる検査時間を縮める装置が開発されたほか、鼻や喉の粘膜だけでなく唾液も検体に使う検査装置、試薬も発売された。医療現場での活用も始まったが、それでも時間の短縮に限界が出ている。

検査装置は1台数百万円から数千万円程度かかる

検査装置は1台数百万円から数千万円程度かかる

原因のひとつが装置の置き換えの難しさだ。地方衛生研究所や民間の検査受託センターなどでは1日で数百人から1000人規模の大規模検査が可能な高性能な装置を配備している。多くは業界標準とされるスイスの製薬大手ロシュの装置だ。

ロシュの装置は1台で1回約100人分の検査をさばけるが、解析だけで3時間程度かかる。日本では解析時間を15分に縮める装置をキョーリン製薬ホールディングス子会社の杏林製薬が開発したが、小規模なクリニック向けを想定しており1回の検査数は4人にとどまる。どちらも弱点を抱えるなか、ある民間検査大手の担当者は「実績のない他社装置に切り替えることには慎重になってしまう」と打ち明ける。

価格の問題もある。検査装置は1台数百万円から数千万円程度かかる。杏林製薬の装置も1台約300万円でクリニックにとっては負担が重い。

困難な規則緩和

制度も課題だ。多くの医療機関は検体を衛生研究所や検査会社などに輸送しPCRの結果を待つ仕組みをとる。検体を運ぶ場合、WHOの規則と厚生労働省の省令に基づき、病原体を入れる密閉性の高い容器を緩衝材と吸収材で包み、さらにそれを二重の容器で包む「三重梱包」の措置をとらねばならない。

検体は専門事業者が複数の医療機関から集めて輸送に回すが、作業は1日がかりとなる場合が多い。検体を通じた感染リスクを防ぐ必要があり、規則の緩和は困難とされている。

検査結果を診断書にする作業も時間がかかる。約1時間でのPCR検査を可能にする試薬を開発した島津製作所は京都市内の病院と提携し、検査をしたその日のうちに結果を医療機関に送る仕組みを構築した。それでも医師が複数患者の検査データを読み込むのは容易ではなく、患者の手元に診断書が届くまでに検体の採取から2~3日かかってしまうという。

検査スピードを上げるひとつの手が小規模な検査システムの確立だ。日本医師会は5日、検査機器の配備増設を政府に求めた。クリニックでも時短検査の設備を導入できるような政府支援があれば、検体輸送の問題が無くなり、診断書作成の煩雑さも緩和される。

量・スピード追求

大規模検査と小規模検査の併存は、検査体制の強化にもつながる。

民間と公的機関をあわせた日本の1日約3万5000件の検査能力は、現在の稼働が5割にまで高まっている。米国では7月中旬以降、1日あたりの検査数を70万~80万件に増やしているが、手が回らず、結果が出るまでに2週間以上かかる例も出てきた。

日本でも検査のハードルを下げようと日本医師会が地域のかかりつけ医の判断でPCR検査が受けられるようにする方針を打ち出した。クリニックのかかりつけ医が検査に主体的にかかわれるようになれば、感染疑いがある人を幅広く捕捉しやすくなる。量とスピードを併せた検査体制を築き、適切な隔離を通じた感染防止の対策を日本もとっていく必要がある。

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