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内閣府の「経営デザインシート」 次の成長、知財で探る
中小、事業承継に生かす 大企業、M&Aのきっかけ

2019/10/28付
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企業のビジネスモデル変革を促すツール「経営デザインシート」の利用が広がりつつある。内閣府知的財産戦略本部がつくった原型をもとに大企業がM&A(合併・買収)や新規事業の開発、中小企業は事業承継などに活用している。最新の動向を追った。(編集委員 渋谷高弘)

「5年後をめどに会社を継ぐ息子と一緒に経営デザインシートを書いた」。大阪市西淀川区でステンレス加工を手掛ける前田製作所の前田清登社長(64)は、主取引先の尼崎信用金庫の紹介で同シートを知り、後継者の健太郎専務(34)と準備も含め約1年かけてシートに記入した。

5年前まで同社の売り上げの8割は「実験用動物の飼育箱」だった。大阪の製薬会社に納めていたが、動物実験の縮小などで受注が減った。清登社長は「危機感から信金主催のセミナーに行き、シートを知った。会社の将来を息子と考える機会になった」と話す。

健太郎専務も「(シートには5~10年後の自社の姿を記入するので)自分がどうしたいか分かってきた」と話す。自身の発案で会社のホームページを作り、難しい加工にも挑戦し、受注先の多様化を図っている。

経営デザインシートは内閣府が2018年5月に公表した。A3判の1枚紙で、知財戦略本部(首相官邸)のウェブサイトに載っている。ダウンロードして誰でも使うことができる。

中小企業の中には独自技術や得意先などの無形資産を持ちながら、自身の強みとして十分認識せず、競争力を発揮しきれていない場合もある。

尼崎信用金庫のセミナーで「経営デザインシート」に書き込む経営者(兵庫県尼崎市)

尼崎信用金庫のセミナーで「経営デザインシート」に書き込む経営者(兵庫県尼崎市)

「業績が厳しい取引先にシートを紹介している」。尼崎信金の幸田務事業支援部長は話す。

セミナーでは経営コンサルのツトム経営研究所(大阪市)と連携して自社の強みを割り出し、将来のビジネスモデルを書き込む。社長と後継者、幹部らが参加する例が多い。

兵庫県尼崎市の共栄制御機器も5年前まではシャープ向けの液晶パネル関連装置などで好調だったが、シャープの経営が悪化し、受注が減った。家電メーカー以外に受注先を広げるために、シートを使って自社の「本当の強み、将来像をつかんだ」(萩原哲夫取締役)という。

M&Aのきっかけとなるケースもある。東証1部上場のソフト会社スカラと調査会社のジェイ・フェニックス・リサーチ(JPR)だ。スカラは今年8月、簡易株式交換により、JPRを完全子会社化すると発表した。

仕掛け人は子会社となったJPR代表取締役でアナリストの宮下修氏だ。宮下氏はシートの存在を知った4月ごろ、「企業の成長ストーリーを説明するのに適している」と考えた。投資先として興味をもっていたスカラの分析に使ってみたところ、「当社が必要とする資産を備えていることが分かった」(宮下氏)。その後、急ピッチで話が進んだ。

経営デザインシートの利用は大企業にも広がっている。キヤノンは10月、中堅社員が部門を横断して米中貿易戦争など事業環境の大きな変化への対策を練る手法として使い始めた。知財部門を統括する長沢健一常務執行役員は「大企業は縦割りで、変化への全社的対応が鈍くなりがちだ。中堅社員のセンスを磨く」と話す。

長期経営計画を立てる際に使うケースもある。コンサルティングを手がけるアビームコンサルティングは、顧客企業の10~15年後のビジネスモデルを策定し、不足する知財や資源をM&Aやオープンイノベーションで獲得するよう指南する。

アビームの宮丸正人執行役員は「現時点から3年後などを想定した中期経営計画では、デジタル革命に対応できない。シートは将来のビジョンを定めるのに有用だ」と話す。

大企業も中小企業も現状の維持や改善だけでは生き残りが難しい時代になっている。シートを使って技術や知的財産、人材など自社の強みと弱みを把握し、将来像を定め、そこに至るシナリオを探る過程で、これまで見えなかった好機が見えてくるかもしれない。

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