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台湾プロロジウムテクノロジー、中国EVに全固体電池[36Kr]

36Kr
スタートアップGlobe
アジアBiz
コラム(テクノロジー)
2019/9/23 2:00
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新興EVメーカー「蔚来汽車(NIO)」は8月22日、リチウムバッテリーセルの開発・製造を手掛ける台湾の「輝能科技(プロロジウムテクノロジー、PLG)」と協力覚書を締結した。

PLGはNIO向けに全固体電池パック「MAB(Multi・Axis Bipolar Pack)」を生産する。協力の第一段階として、NIOの試作車にPLGの全固体電池パックを搭載することを目標に掲げる。試作車完成後、量産へと協力を拡大する可能性もあるという。

PLGの全固体電池パック(プロロジウムテクノロジー提供)

PLGの全固体電池パック(プロロジウムテクノロジー提供)

今回の覚書締結は、電気自動車(EV)の発火事故が相次いだことを受け、NIOが車載電池を現在主流の三元系リチウム電池から、より安全で信頼性の高い全固体電池へと切り替える可能性を探り始めたことを意味する。

PLGは2006年に台湾で設立された。同社が開発した全固体電池技術は数々の国際的な賞を受賞している。創業者兼CEOの楊思楠氏は、将来的に全固体電池が液体電池に取って代わる公算が大きいと指摘。早ければ5年以内に全固体電池が主流になるとし、2021~22年は全固体電池の量産元年になるとの見方も示した。

全固体電池の最大の強みは安全性と安定性だ。固体電解質は高温に強く、液漏れの心配が無く、破損しても簡単には爆発、引火しない。薄型かつ軽量で柔軟性があり、曲げた状態で利用することもできる。一方、生産コストが高く、生産設備が十分でないなど実用化には課題が残る。

PLGは2014年に全固体電池の実用化に乗り出した。当初はウェアラブルデバイス、IoT(モノのインターネット)など家電機器市場を見据えていたが、全固体電池はコストが高いことから市場が限られ、売上高も累計で600万ドル(約6億4800万円)に届いていない。同社は研究開発などに1億ドル(約108億円)を投じているが、その大半を最大株主のソフトバンク・チャイナ・ベンチャー・キャピタル(SBCVC)が出資している。

現時点で、全固体電池の量産化を最も早く実現できそうなのがトヨタだ。同社は2020年の東京オリンピック開催までに全固体電池を搭載したEVを発表する計画を明らかにしている。さらに、トヨタは全固体電池搭載車の量産化を早ければ2022年に実現するとの一部報道もあった。楊氏はPLGが自動車メーカーと共同開発することで、トヨタと同時期、またはそれよりも早く全固体電池搭載車を量産できる可能性を示唆している。

PLGは中国EVメーカーのNIOに全固体電池を提供する(図虫提供)

PLGは中国EVメーカーのNIOに全固体電池を提供する(図虫提供)

楊氏は、頻発するEVの発火事故を受けて、多くの自動車メーカーが液体電池の安全性の問題に目を向けるようになったとの見方を示す。その上で、目下の問題は液体電池の改善がこれ以上見込めないおそれがある中で、全固体電池がまだ量産化されていないことだと指摘した。

全固体電池の生産コストを引き下げるため、PLGは電極に液体電池と同じ材料を採用する。2021~22年には生産能力を20GWhまで高め、全固体電池の生産コストを液体電池の98%程度に抑えたい考えだ。また、量産化を早急に実現するため、バッテリーセルやパッキングに関する技術を提携先にライセンスアウト(技術供与)すること、もしくは合弁会社を設立して共同開発を行うことを計画している。

楊氏によると、世界の一部自動車メーカーでは、液体電池の調達に関する契約が2023~24年に集中的に満期を迎えることから、今後は2025年に全固体電池に切り替えることが検討されると考えられる。そしてその時には、全固体電池の生産コストは抑えられ、安全性と安定性における優位性が一段と高まり、現在の液体電池の生産能力や戦略はいずれも全固体電池への段階的移行期間の「つなぎ」になる可能性があるという。

「36Kr ジャパン」のサイトはこちら(https://36kr.jp/)

中国語原文はこちら(https://36kr.com/p/5244374)

 日本経済新聞社は、中国をはじめアジアの新興企業の情報に強みをもつスタートアップ情報サイト「36Kr」(北京市)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップやテクノロジーに関する日本語の記事を、日経電子版に週2回掲載します。
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