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訪日客を魅了する街へ IR、効果と課題議論
日経 統合型リゾートフォーラム大阪

2019/8/25 12:00
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カジノを含む統合型リゾート(IR)の関西経済への効果などを議論する「日経 統合型リゾートフォーラム大阪」(主催=日本経済新聞社)が8月8日、大阪市内で開かれた。IR事業者や専門家らが、訪日外国人を呼び込む街づくりやギャンブル依存症対策などを議論した。

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パネル討論

討論する(右から)井手、大崎、小坂の各氏。左端はモデレーターの橋爪氏

討論する(右から)井手、大崎、小坂の各氏。左端はモデレーターの橋爪氏

成長持続策 地元からの調達がポイント

「関西経済の持続的成長」のパネル討論で、大阪府立大の橋爪紳也教授は「IRをきっかけに関西や大阪が持続的に発展する必要がある」と指摘。最後発となる日本が海外から人や投資を呼びこむには「新しいタイプの魅力ある施設を発明しなければならない」と訴えた。

りそな銀行の小坂肇副社長は「IRの経済効果や波及効果は現状の試算より大きくできる」と述べた。地元企業からの継続的で大規模な調達がポイントと指摘。スタートアップ企業の育成に向けて「行政がIR事業者からの納付金を活用してもいい」と話した。

吉本興業ホールディングスの大崎洋会長は関西経済の発展につながる構想として、若手料理人を大阪に集めた料理コンテストを実施したいと述べた。「食の街である大阪から食べる楽しみを発信したい」と意気込み、地域特産の素材を利用して地域創生にもつなげるとした。

元観光庁長官で日本観光・IR事業研究機構の井手憲文理事は「(地域の観光情報などを提供する)送客施設をIRに求める日本の取り組みは世界でも珍しい」と話した。顧客を呼びこむソフトの力が必要と訴え、関西全域の連携を提案。一方でIR整備の「スケジュールの厳しさを直視してほしい」と述べ、政府が部分開業を認めるかがポイントとの認識を示した。

夢洲開発 交通インフラ、早期整備を

「夢洲(ゆめしま)開発と都市の未来」がテーマのパネル討論で、阪急阪神ホールディングスの角和夫会長は、大阪市の人工島・夢洲へのIR誘致が実現したときの課題として交通インフラを挙げた。JR新大阪駅と夢洲を結ぶ高速道路などを念頭に「大阪にはミッシングリンク(連続性が欠けた部分)が残っている」と述べ、早期整備を求めた。

鉄道では夢洲へのアクセスの構想として、大阪メトロ中央線を延伸する南ルートと、JR桜島線を延伸する北ルートがあると紹介。南ルートは「トンネルをすでに設けてある。安価に整備できる」と説明したうえで「(JR大阪駅から直通列車のある)JR桜島線を延ばすほうがいい」と語った。

綜合警備保障(ALSOK)の鈴木基久取締役は訪日外国人客の増加などによる治安悪化の懸念に対し「大阪を含め日本の犯罪は近年、大きく減っている」と話した。ただ「無差別犯罪、特殊詐欺などは減っていない」とし、IR誘致をきっかけに「より安全な都市づくりを進める必要がある」と訴えた。IR施設の安全管理は「テクノロジーも使い組織暴力を排除する必要がある」と語った。

また、鈴木氏は「(医療関連をはじめとした)データ活用を進めるにはサイバーセキュリティーが極めて重要。国家単位の攻撃も想定し対策をとる必要がある」と述べた。

MICE 世界が驚くエンタメ提案

IRは国際会議場が併設されることになっており、MICEと呼ばれる国際イベントや見本市などで訪れるビジネス客の増加が期待されている。「IRが刺激するインバウンド・MICE需要」のパネル討論では、ビジネス客をどう取り込むかが議論された。

元観光庁長官で大阪観光局の溝畑宏理事長は「大阪はMICE関連の富裕層を楽しませる仕組みがまだできていない。東京は五輪を控えて夜11時以降の受け皿をつくろうとしている」と指摘。「お笑いの文化がある大阪で、世界をびっくりさせるエンターテインメントをつくりたい」と期待感を示した。

ロイヤルホテルの蔭山秀一社長は6月に大阪で開催された20カ国・地域首脳会議(G20サミット)について「世界のVIPを迎え、喜んで帰ってもらえたことは(大阪のホテル業界の)大きな自信になった」と振り返った。IR事業者と地元企業の関係について「人材集めや商品サービスの安定供給のため地元のプラットフォームや大企業の橋渡しが必要」と訴えた。

JTB総合研究所の太田正隆主席研究員は、「ブレジャー」という新しい観光客の台頭を紹介。「ビジネスとレジャーの間を取った言葉で、和訳するなら『出張休暇』。行動様式はまだ解明されていないが、夢洲に囲い込むのではなく、関西各地に送り出す機能が重要になる」と指摘した。

関西の未来図 大阪、日本の先導モデルを

IR関連法案の成立に関わった2人の衆院議員は、有力候補地と見られている大阪へのIR誘致の期待を語った。

民主党政権で国土交通相を務めた国民民主党の前原誠司氏は今後の課題として「付加価値を高めることが重要だ。クールジャパンを構成するアニメなどのコンテンツをいかに伸ばしていくか」と述べた。「京都では祇園でオーバーツーリズムが問題化する一方で、大原などは訪日客が少ない」として、分散が必要と訴えた。

公明党の遠山清彦氏は政府の政策手続きについて「国の基本方針は9月にも具体的な案が明らかになる」とした。誘致を目指す大阪府・市には「日本のIRを成功させるリーディングモデルを示してほしい。年間1500万人としている来場者数をもっと増やせる絵を描いてほしい」と求めた。

依存症対策 事業者や行政、連携徹底を

ギャンブル等依存症対策に関するパネル討論では、IR事業者や認可・監督権限をもつ国・自治体が依存症などの問題に責任を負う「レスポンシブル・ゲーミング」のあり方を巡って意見を交わした。

一般社団法人日本SRG協議会(東京・中央)の代表理事で精神科医の西村直之氏は、海外のIRは依存症の疑いがある客に対し、事業者が早期に介入して被害を抑制していると紹介。「持続的な産業発展にはリスク対策が必要。日本でも導入すべきだ」と訴えた。

大阪商業大学長の谷岡一郎氏は、依存症患者やその家族の申請でIRに入場できなくする海外の事例を挙げ「パチンコ、競馬、競輪などの業界と連携し、情報共有すべきだ」と話した。大阪では周辺の自治体を含めた施策づくりが課題になると指摘した。

衆院議員の中谷元氏は、ギャンブル等依存症対策の法制化に関するワーキングチームの座長を務めた経験を振り返り「啓発週間を設けるなど依存症予防の教育に力を入れた」と説明。「3年ごとに(検証を)取りまとめ、実態に合わせて対応をリフレッシュする」と話した。

司会を務めたあずさ監査法人パートナーの丸田健太郎氏は「法律でがちがちに固めるのではなく、時代や地域、技術の進化に合わせて更新しやすい規制が必要」と議論を締めくくった。

大阪府・市 万博と一体開業、効果高めたい

大阪府の吉村洋文知事と大阪市の松井一郎市長は「大阪IRが目指すべき姿とは」をテーマにしたパネル討論で、行政の課題と民間への期待について語った。

討論する(右から)吉村大阪府知事、松井大阪市長

討論する(右から)吉村大阪府知事、松井大阪市長

吉村知事は「来春には大阪のパートナー(IR事業者)を決めたい」とし、2025年国際博覧会(大阪・関西万博)の前のIR開業を目指す府市の方針を強調した。松井市長も「万博とIRを一体で開業させることで、大阪・関西の経済効果をさらに上げたい」と話した。

松井市長は国際会議や展示会など「MICE」への期待感を示し「日本の中で注目されるエリアをつくりたい」とした。吉村知事は「大阪はエンターテインメントの街。今まで日本では見られなかった飛び抜けたエンターテインメントを大阪で実現したい」と意欲を語った。

吉村知事は「大阪にとって最もプラスになる事業者を選びたい」と話し、「工事を円滑に進めるために行政手続きを遅滞しないように後押ししたい」と述べた。一方で、大阪の企業に対しては「いろいろな観点でIRにコミットし、大阪全体の経済を高めてほしい」と求めた。

住民にはギャンブル依存症や治安悪化などの不安もある。吉村知事は「住民の理解はものすごく重要。(ギャンブル依存症対策で)最先端の大阪独自のモデルをやろうと議論している」と話した。

ビジョンを聞く

AIと絡め強力な都市に 東洋大教授・竹中平蔵氏

IRプロジェクトを成功させるには3つの政策の要素を組み合わせるべきだ。

1つ目はインバウンド(訪日外国人)をさらに増やすこと。東京や大阪のインバウンドは急増しているが、IRを持つシンガポールやマカオと経済成長率を比較すると半分しかない。早急にIRを活用してインバウンドを強化する必要がある。

2つ目は地方創生。これまでは「爆買い」という言葉があるようにモノを買っていたが、今はコト消費が膨らんできている。コト消費をさらに広げる要因としてIRが存在すると考えるべきで、コト消費が地方創生に資することになるだろう。

3つ目は人工知能(AI)を活用した都市「スーパーシティ」の考え方を絡め、より強力な都市、地域をつくること。例えばIRの中は全て自動運転にするなど第4次産業革命を活用した未来都市とする。スーパーシティとIRが重なるところに日本、地域の本当の発展の姿が見えてくる。

大阪周辺は世界遺産がたくさんあり、関西国際空港という非常に強いアクセスポイントがあるなど最もポテンシャルのある地域だ。重要な観光資源とスーパーシティなどを絡め、大阪府知事・大阪市長という非常に強い首長のもと、IRを誘致する大きなチャンスを持っている。日本のIRをリードしてほしい。

効果高めるため整備急ぐ 自民党幹事長代行・萩生田光一氏

IR事業者を監督する「カジノ管理委員会」の設置に向けた政府の準備はもう整っている。7月に参院選があり、政治的な配慮でやや日程がずれ込んでいる。自民党としては、IRの効果をできるだけ速やかに発揮できるように進めたい。

2025年国際博覧会(大阪・関西万博)までにホテルや展示会場などIR施設の一部が開業することが、万博の成功にもつながる。カジノ管理委員会設置後のスキームを政府ができるだけ短期間で前に進めるのが極めて大事だ。

自治体と選ばれた事業者とがつくる区域整備計画の更新制度が事業者にとって大きなリスクになっているのは十分承知している。自治体と事業者の間の約束に関するポジティブなチェックポイントだとわかってもらえるよう党の責任者として努力したい。

IRの誘致合戦がこれから全国で始まる。カジノではなくIRの誘致合戦だと明確に世の中に示していきたい。国民の皆さんの不安や誤解を払拭するのは私たち政治家だけでなく、この事業を理解いただいている皆さんもだ。

東京に次ぐ日本の2つ目の「極」としての大阪の役割をしっかりと果たしてもらえる、そんな万博、IRを目指してほしい。そのためにも政権与党として大阪の取り組みをサポートしていく。

来場者や雇用、万博上回る ウィン・リゾーツ・デベロップメント社長 クリス・ゴードン氏

クリス・ゴードン氏 都市開発プロジェクトに従事した経験を生かし、15年からウィン・リゾーツの不動産開発を指揮。米国で大学講師も務める。

クリス・ゴードン氏 都市開発プロジェクトに従事した経験を生かし、15年からウィン・リゾーツの不動産開発を指揮。米国で大学講師も務める。

日本は今後、三大イベントの開催を控えている。ラグビーワールドカップ(W杯)と2020年東京五輪・パラリンピック、25年国際博覧会(大阪・関西万博)だ。IRと三大イベントを規模と年間雇用者数で比べてみよう。

(訪日外国人の)予想来場者はW杯40万人、五輪80万人、万博350万人。IRは年間1100万人だ。年間換算した雇用者はW杯3000人、五輪3900人、万博6万5000人に対して、IRは8万8000人となる。いずれもIRが三大イベントを上回る。

当社がIRを運営している米ボストンと大阪市は共通点がある。ともにウオーターフロントで歴史を持ち、スポーツとエンターテインメントが集まる。

地域住民からはカジノへの不安の声も聞かれる。ただ、ボストンでカジノの占める面積は全施設の7%だ。また、IRの開業によりボストンの税収は約30%増えた。試算では大阪市でも納税額が現在より約20%増加する。

最適なサービスを提供するには、IRが街の一部にならなければならない。既存組織である観光局やスポーツチーム、文化・芸術施設との連携が重要だ。市民への説明責任を果たす必要もある。ボストンでもやってきたが、大阪でも果たしていきたい。街の再活性化に尽力し、教育やインフラ整備に協力する。

健康テーマに独自施設を MGMリゾーツ・インターナショナル グローバル開発部門長 ブライアン・サンドバル氏

ブライアン・サンドバル氏 ネバダ州のゲーミング委員会委員長としてラスベガスの風紀改善などに注力。10年ネバダ州知事。19年MGM入社、現職。

ブライアン・サンドバル氏 ネバダ州のゲーミング委員会委員長としてラスベガスの風紀改善などに注力。10年ネバダ州知事。19年MGM入社、現職。

歴史や文化が豊かな大阪はIRに最適だ。「健康」を題材に他国・地域にない独自の施設をつくりたい。2025年国際博覧会(大阪・関西万博)にもつながる。

IRは地域経済の発展に寄与する。ホテルやスパなど様々な施設を備え、雇用を生み出す。首都圏に集中する働き手を大阪に呼び戻せる。候補地である夢洲(ゆめしま)周辺のベイエリアに投資を呼び込める。

当社は地元中小企業と協業し、関西経済の発展に貢献したい。施設内で独自の商品やサービスを提供するなど、IR運営に関わってもらう仕組みを作る。当社が米国で手掛ける施設でも提供できるよう関西の魅力的な飲食物を既に探している。

地域住民がIRへの理解を深める取り組みも進めたい。5月にJR大阪駅前の複合ビル「グランフロント大阪」で展示会を開いた。こうした周知活動で「IR=カジノ」という印象は変わり始めている。当社が日本で実施したアンケートで61%の回答者が「IRに行ってみたい」と答えた。

IRは日本文化を発信する中心地にもなる。当社は15年、米ラスベガスの運営施設で歌舞伎を上演した。毎日何万人も観光客が通る噴水の前で開催し、伝統芸能を知ってもらう機会になった。関西の豊かな観光資源を活用し、日本の施設でこうした体験を来場者に提供したい。

地域への説明責任果たす メルコリゾーツ&エンターテインメント最高財務責任者 ジェフリー・スチュアート・デイビス氏

ジェフリー・スチュアート・デイビス氏 07年にメルコリゾーツ&エンターテインメント入社。10年に財務副責任者。11年4月から最高財務責任者。

ジェフリー・スチュアート・デイビス氏 07年にメルコリゾーツ&エンターテインメント入社。10年に財務副責任者。11年4月から最高財務責任者。

当社は2004年に創立し、マカオなどでIRを運営している。15年間でグローバル企業に成長し、米ナスダック市場に上場した。現在は日本市場の開拓も視野に入れている。

IRの来場者は年間数百万人に上る。開発には2つのポイントを考えなければならない。

1つ目がパートナーシップだ。地元企業や行政、地域社会など様々なパートナーの協力が欠かせない。協力を得るため、当社はマカオやフィリピンなどこれまで展開してきた地域社会に対し、説明責任を果たしてきた。

2つ目がビジター(来場者)。顧客を呼びこむには好奇心を満たし、新しい経験ができるコンテンツを用意する必要がある。大阪ではこれまで見たことのないようなユニークなIRをつくりあげたい。

日本庭園をはじめ、ホテルやレストラン、ショッピングセンター、劇場といった様々な施設を整備する。大阪は既に優れた観光都市だ。IRをつくることで、さらに発展させたい。

食材などの現地調達にも力を入れていきたい。(IRを運営することになった場合は)食材の8割以上を日本で調達する方針だ。既に当社は九州にある養殖地から調達したフグを自社施設で提供している。日本は肉や魚、酒など質のいい食材が豊富にある。持続可能な社会の構築にも責任を果たしていきたい。

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