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アリババの医療AI技術、心血管疾患の診断に光

36Kr
アジアBiz
コラム(テクノロジー)
2019/7/11 2:00
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中国のIT大手アリババグループが、医療AIの領域でさらなる新境地を開拓した。従来、高難度とされてきた心血管認識技術を開発したという。同グループ傘下の基礎科学・イノベーション技術研究機関「阿里巴巴達摩院(Alibaba DAMO Academy)」マシンインテリジェンス実験室が提出した関連論文が、今秋開催予定の医用画像処理・コンピュータ支援外科の国際会議「MICCAI 2019」に事前受理されている。

プロジェクトの責任者によると、数十万のサンプルを用いた学習を経たAIが、完全無人で冠動脈の画像を抽出できるという。冠動脈1本を抽出するまでわずか0.5秒、冠動脈全体を抽出するまで20秒以内で、従来の100倍近くの効率を実現した。

アリババグループ傘下の基礎科学・イノベーション技術研究機関「阿里巴巴達摩院」(図虫提供)

アリババグループ傘下の基礎科学・イノベーション技術研究機関「阿里巴巴達摩院」(図虫提供)

従来の方法では、冠動脈の中心線を抽出するまで人の手による多くの操作を経る必要があり、その所要時間も長いなどの欠点があった。今回アリババが発表したのは、冠動脈を自動判別してトラッキングする技術だ。3DCNN(三次元畳み込みニューラルネットワーク)を用い、画像内を反復探索して全血管を検出する。

冠動脈疾患を診断するには、CT血管撮影(CTA)画像から冠動脈の中心線を正確に抽出しなければならない。これは診断の過程で最も時間が費やされる部分だ。冠動脈は幾何特性が複雑で非常に細いうえ、冠静脈との判別が難しく、血管に閉塞箇所があれば、血管全体の抽出が困難になるからだ。

アリババの開発したAIは0.5秒てで病変部位を自動検出できる(同)

アリババの開発したAIは0.5秒てで病変部位を自動検出できる(同)

心筋梗塞の場合は急を要するケースも多い。迅速に治療に当たらなければ命に危険が及ぶこともある。急患で搬送されてきた場合には、担当医師はすべてに優先して対応しなければならない。画像診断から診断書の作成までスピードを要するとともにミスは許されない状況であり、医師への負担も甚大だ。しかし、アリババがこのほど開発したAIを活用すれば、わずか0.5秒で冠動脈を抽出するため、医師は自動生成された画像を基に速やかに病変部位を発見できる。

心血管疾患は世界的に見ても致死率の最も高い疾患であり、今後10年にわたって罹患者数が急速に増加すると見られている。国家心血管疾患センター(NCCD)が発表した「中国心血管疾患報告2017」では、とくに中国農村部における心血管疾患の死亡者数が大幅に増加すると予想している。

AIによるメディテックでは、比較的完成度の高い製品の開発に成功した例はまだ少ない(同)

AIによるメディテックでは、比較的完成度の高い製品の開発に成功した例はまだ少ない(同)

心血管疾患の治療においては、二つの問題点が顕在化している。一つは、一部の先進医療機関に負荷が集中し、末端医療機関での治療を希望する患者が少ないことだ。もう一つは、診断過程が複雑で、手間や時間がかかることだ。画像診断だけでも最低30分を要する。

こうした問題を解決するため、多くのメディテック企業がAIの活用を試みているが、心血管疾患の診断は複雑で、画像認識に関する既存のデータも少ない。さらに、心臓は間断なく拍動する臓器であり、スキャンした画像を3Dで再構築することが非常に難しい。冠動脈が網目状の複雑な構造を持つことや、症状の個人差も大きいことも、AIにとっては大きな障壁となっている。これらの問題をクリアして、比較的完成度の高い製品の開発に成功した例はいまだ少ないのが現状だ。

こうした中、阿里巴巴達摩院のビジョンコンピューティング部門は、医療AI関連で複数の技術的革新を実現している。心血管分野以外にも、AIによる肺結節の検出技術を活用してこれまでに1000万人の患者を診断してきた。現在は肝臓がんの診断技術を開発中だという。

「36Kr ジャパン」のサイトはこちら(https://36kr.jp/)

中国語原文はこちら(https://36kr.com/p/5220436)

 日本経済新聞社は、中国をはじめアジアの新興企業の情報に強みをもつスタートアップ情報サイト「36Kr」(北京市)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップやテクノロジーに関する日本語の記事を、日経電子版に週1回掲載します。

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