未来面「やり方を変えましょう。」

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世の中の「当たり前」を、どんな技術でどう変える?
読者の提案 高崎秀雄・日東電工社長編

未来面
2020/6/22 2:00
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高崎社長の提示した「世の中の『当たり前』を、どんな技術でどう変える?」という課題に対し、多数の投稿をいただきました。紙面掲載分を含めて、当コーナーでその一部を紹介します。

■鏡に無限の可能性

芝田知優(須磨学園高校2年、16歳) 新型コロナウイルスがまん延してから様々なことが変わった。私は体温を測っているが毎日測るのは少し煩わしいという気持ちが生まれる。体温にとどまらず、もっと省略できることがあるのではないか。そこで私が提案したいのは洗面台にある鏡の役割を変えることだ。毎朝顔を洗ったり歯を磨いたりする時に鏡が自分の体温や健康状態を鏡上に表示してくれるとしたら。体温を体温計で測ったり病院に行く手間を減らすことができる。少し立ち寄ったトイレの鏡上に雨が降るという天気予報が表示されていたら。雨が降る前に急いで帰ろうと考える。洋服店のトイレの鏡がおすすめの服を紹介してくれたら。少し見てみようと思ったり、チラシを張る必要がなくなったりする。意外にも身の回りにあり、欠かすことのできない鏡には顔といった表面上の物を見るだけにとどまらない無限の可能性があると思う。

■感情が分かるカメラ

橋本実波(三重大学教育学部3年、20歳) 今までは対面での授業が当たり前であったが、今はオンラインで大学の授業を受けている。授業を聞くだけなら対面の時とそんなに変わらないように感じる。だが、話す側になると相手がどのような反応をしているのかが対面の時よりもわかりにくく、不安に思う場面が多い。現在は画面上で上半身しか見えないコミュニケーションだが、もっと対面に近いコミュニケーションがオンライン上でもできるようになればいいなと思う。コミュニケーションは言葉だけでなされるものではなく、相手の表情や細かいしぐさからも感じ取ることが出来ると思う。そこで、カメラ機能に動作探知や表情探知の機能を取り入れて、相手の表情・しぐさを感じ取れるようになる技術を考えてみたい。口角が上がった・うなずいているなど相手の細かな動きから感じ取ることが出来る感情もあると思う。それらのデータの統計から満足度や理解度なども算出できるようになると良いなと思う。

■ウイルスを見える化

小山 大輔(会社員、44歳) 新型コロナウイルスの事態の変遷は終息ではなく収束となり、アフターコロナではなくウィズコロナを受け入れざるを得ない状況になりつつある。ウイルスは小さく、肉眼では見えないのが当たり前であるが、共存する状況でいかにウイルスを避けることができるのかが心配である。そこで、ウイルスを光イメージングして可視化できるようなフィルムやレンズが実現すれば、これを搭載したアイウエアで、安心を得ることができる。さらに空間当たりの個数も数値化されれば、しきい値により危険を回避することができる。これは子供のころに欲しかったドラゴンボールに出てくる戦闘力を測定するスカウターのようなものである。見えないことが当たり前のものが、見えることで安心を得るという意味では、人体に影響を及ぼす放射線なども同様に見えて、数値化されるようなものも需要がありそうだ。個人的には毎年春に困らされるヒノキ花粉用に期待したい。

【以上が紙面掲載のアイデア】

■リアル空気椅子

山内大輝(大阪大学法学部1年、18歳) 電車やバス、新幹線は座席が限られている。座席が埋まった状態のときに乗車した人は立っていなければならないのが「当たり前」である。荷物が多くても、疲れていても立たざるを得ない。そこで私は「リアル空気椅子」という技術でこれを変えたい。この椅子は個人が携帯できる小さいサイズの、好みの形の板である。そしてそれをお尻に当てると、板が反応して、エアーの力でそこに「空気椅子」を生み出す。これによっていつでもどこでも座れるようになる。また、使う人の高さに合わせるため、誰もが使える。現在の「ぎゅうぎゅうな満員電車」は、全員が座って、ちょうどよく人と人の間に隙間があり、快適さが保たれた「疲れない満員電車」に変化するだろう。そしてさらに、花見や花火大会でも活用でき、ブルーシートの放置問題などの解決も期待できる。

■予測する防犯

大山千咲(香蘭女学校高等科3年、17歳) 私は事件や事故を事前に予知できない「当たり前」を変えたいと思う。普段外を歩いている時、後ろから来た人や車に一瞬恐怖を感じてしまう人が少なくない。最近は通り魔のような事件や身勝手な運転をする人の事故が増えているので、特に小さい子どもを持つ親などは不安に感じることが多いのではと思う。そこで、人の精神状態の無意識な「ぶれ」を感知して不審者を事前に検知するカメラの技術を活用することで、この不安を軽減できるのではないか。このカメラにブザー機能をつけてかつ持ち運べるようになれば、事件を事前に予測して教えてくれる「次世代型防犯ブザー」として役立つ。さらに全地球測位システム(GPS)の技術を搭載することで、過去に事件や事故の起きた場所を知らせて、交通事故も一緒に回避できる。同様の機能を持つスマートフォンのアプリを開発すれば老若男女問わず多くの人が犯罪や事故の被害を回避でき、社会全体の防犯意識も向上するのではないかと思う。

■従来の仕事を奪う技術

吉田将崇(会社員、26歳) 近年、損害保険業界ではRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)と人工知能(AI)を搭載したツールの開発・導入が急速に進んでいる。数年前、保険の補償内容や規定に関する不明点を文章形式で問いかけるとAIが回答を提示してくれるツールが導入され、全国の代理店で利用が推進されている。AIの学習機能により利用されればされるほど回答の確度が向上していくこのツールが普及するのに比例して、代理店からの問い合わせの数は漸減しているように感じる。また今までは手作業が当たり前だった保険の見積もりの作成も、機械による自動作成化が進んできた。「当たり前」「常識」の支配力が強い日本社会において、「当たり前」を変える力を持っているのは、従来の仕事を奪う技術だと思う。かつては誰もが業務として当たり前にこなしてきた単純作業が機械によって奪われつつある今、我々は人間にしかできない新しい仕事を模索せざるを得ない。

■すべての人に楽しい朝を

高橋悦子(キャリアコンサルタント、57歳) 朝、目覚まし時計の音を消し、時間を確認し、もう少し寝ていたいと思いながら起きる。そんな「当たり前」を、スマートハウスの技術でウキウキとした目覚めに変える。それには寝るタイミング、快適な眠り、起きるタイミングが重要だ。快適な眠りについては実用化が進んでいるので、寝るタイミングに注目したい。就寝時間が近づくと部屋の明かりが徐々に暗くなり、気分がリラックスするアロマが香ってくる。パソコンやスマホの画面も原則オフにするように促される。だが、続きは明日にやろうと思えるだろうか。想定通りの時間に起きられることが確約され、さらに、ウキウキとした目覚めであれば、夜更かしの誘惑を断ち切れるのではないか。明朝、何をしたいか? おいしいコーヒーでも、趣味の園芸でも、仕事の達成でもいい。それをイメージできる装置があるといい。すべての人が楽しい朝を迎えれば、今より平和な世の中になるだろう。

■医療の当たり前を変える技術

森駿介(駒沢大学グローバル・メディア・スタディーズ学部3年、20歳) 新型コロナウイルス終息のカギと言われているワクチン。現在、世の中の「当たり前」では病院に行き、医師に注射を打ってもらう。しかし、擦り傷をした際に、絆創膏(ばんそうこう)を用いて自分で処置するように簡単で安全に注射できる注射器があれば、より多くの人が気軽にワクチンを受け取る事ができるのではないだろうか。私はインフルエンザの予防接種を病院の待合室で待っている際、せきこむ他の患者と同じ場で待つ事に抵抗を感じる。さらに、新型コロナのワクチンの供給が仮に始まったとしても、重症化する確率の高い高齢者や基礎疾患を持つ人は、既に病気を持っているかもしれない患者と同じ場で待機することはハイリスクとなり、スムーズな接種の妨げになる恐れがあると思う。そこで、絆創膏感覚で使える注射器があれば、「病院に行き、予防接種を受ける」という0を誰でも気軽に自分で注射できる1に変える事ができるのではないだろうか。

■電子化で「脱ハンコ」を

錦織百々(駒沢大学グローバル・メディア・スタディーズ学部3年、20歳) 日本人には「印鑑を押す習慣」が根付いているが、この習慣が根強く存在している国は日本だけである。鎌倉時代に中国の禅僧によりもたらされた文人印が日本の僧侶間で盛んに使用されるようになったことが原点だ。そんななつ印の文化がコロナ禍により変革の時を迎えている。総務省は電子的な社印「eシール」の使用を22年度から1年前倒しし、世界で日本だけが後れをとっている「脱ハンコ」に向けて整備を推し進めている。ポストコロナにおいてもテレワークを続けると答えている企業が多く見られる一方、ハンコのためだけにリスクを冒して出社しなくてはいけない社員も見られるためだ。「明日はハンコのためだけに出社しなくてはいけない」と私の父も話していた。社会に起こりうる変化はコントロールできない。できることはその先頭にたつことだけである。環境の変化に応じて目の前にある「当たり前」であった文化に創意工夫することが求められる。

■昆虫食が当たり前となる世界

石田夕貴(駒沢大学グローバル・メディア・スタディーズ学部3年、20歳) 世の中の大半は昆虫を食べ物だと認識していない。だが、「昆虫を食べること」が当たり前に変わる時代が来る日はそう遠くないかもしれない。世界的な人口爆発による食糧危機や、環境問題は、新型コロナウイルスとは関係なく取り組み続ける必要がある。国際連合食糧農業機関は、食糧問題の解決策として、昆虫食に対する報告書を既に2013年に公表している。今現在、各国でも研究が進められている状況だ。私たちの食文化に、新たな当たり前が生まれようとしているのだ。まず、昆虫食が当たり前になるためには、健康に影響を及ぼす細菌などに対する衛生問題をクリアする技術が一番必要だと考える。私たちは、毎日口にする食材に対して、安全だという信頼があるから安心して食べることができる。昆虫に対しても、確実に安全だと信頼できる技術が、昆虫食普及には必要なのではないか。衛生問題を解決する技術が、昆虫食が当たり前になる世界へと発展させるだろう。

■満員電車の乗客分散アプリ

野中康平(駒沢大学グローバル・メディア・スタディーズ学部3年、20歳) 日本文化の一つでもある満員電車を解消する。新型コロナを通じて、「濃厚接触」を避けるような生活が求められているが、満員電車ではそれが避けられない。そのため、乗客が心地よく電車に乗れることを目指す必要がある。私はほぼ毎日のように通勤ラッシュ、帰宅ラッシュといった時間帯の電車に乗るが、この当たり前の生活から抜け出したい。満員電車を解消するためには乗客を分散させる必要があるが、その前段階として、人々が電車の中を把握できなければならない。それを実現させるものとして、その電車の乗客数や人の少ない号車をリアルタイムで見ることができる新たなアプリを作成する。このアプリが人々に普及すれば、電車内の密度は確実に下がり、少しでも心地よい乗車が可能になる。新型コロナ第2波、第3波を出さないためにも、このようなアプリを作成するべきだ。

■ロボット検疫官

小林 亮太(駒沢大学グローバル・メディア・スタディーズ学部4年、21歳) 現在、世界中で新型コロナが話題だ。現場で闘う医療従事者が「休みがない」「感染リスクが怖い」などと訴える様子をニュースで見た。今回提案したいのは、ロボット技術を用いた検疫システムの導入だ。PCR検査など人が行なっていた活動をロボットが行うのだ。見込める効果は2つあると思う。1つ目は感染リスクの抑制。検疫をロボットが代わりに行う事で、検疫時の感染リスクを低下させる事ができる。2つ目は医療従事者の時間確保だ。検疫に費やす時間が無くなる事で、その分の時間を休息などに使える。また患者にとっても効果がある。検査待ちの患者をロボットが対応する事で、検査ではなく診察希望の患者にも順番が回りやすくなり、医療機関の混雑緩和が見込める。コロナを打開する為には特効薬の開発かもしれないが、医療現場を改善するにはロボットの導入であり最重要課題と考える。

■空間に、触れる

谷田部千理(会社員、36歳) この3か月余りで、世の中の『当たり前』が急速に変化している。例えば、レジ打ちはコンビニでもセルフレジに、宅配受け取りは押印・サインが不要で玄関前に置かれるようになり、勤務はリモートワークや時差出勤にと非接触型のサービスが増えた。レストランのメニュー表や注文もタブレット端末に代わった。しかし、ある病院では院内タブレットからCOVID-19感染が拡大したという。人が触れるタッチパネルを、非接触型のパネルに変える時期に来ているのかもしれない。空中に浮かぶ仮想的な画面で操作するタッチパネル技術はすでに実用化されている。ATMなどで指紋がついているのを見ると、指紋が盗まれるのではないかという不安もある。非接触パネルを普及させることは衛生面だけではなく、セキュリティー面の効果も期待できるのではないだろうか。

■体調の見える化

高橋利明(会社員、26歳) 体調が悪くなったら病院へ行く。それが常識だ。しかし、新型コロナによる影響で病床が満杯となり、病院での治療が満足に受けられない事態が発生した。またコロナ以外の治療でも受診までの待機時間に密状態がうまれ、今までは想定していなかった感染リスクも発生している。コロナ後は今まで以上に体調の自己管理が大切になり健康ニーズも高まると考える。デバイスを用いて体調管理の見える化はできないだろうか。身体に健康管理デバイスを装着することで体の生理的信号を測定し、心拍数や摂取したカロリー、栄養など見える化する。今の自分にどの栄養が足りないのか、睡眠の質はとれているのかなど現在の自分の体の情報を見える化することで毎日自身の体調の情報を管理できる。体調をデータ化できれば、より正確な情報を医師に送れて、オンラインでの非対面診断も効果が見込めるだろう。

■楽で便利な自給自足生活

曽田昌弘(会社員、40歳) 何でも自分で用意する自給自足の生活は大変だ。それより世界中からクリック一つで物を買う方が楽で便利だというのが、現在の世の中の「当たり前」だ。しかし、ネットワークの普及と3Dプリンターや培養肉の技術の進歩を見ると、その「当たり前」もいつか変えられると思う。楽で便利な自給自足生活へと。世界中の人々がネットワーク上にアップロードしたレシピ・設計図を製造機に取り込み、身の回りで簡単に手に入る原料を使って、あらゆる物が自宅で作れてしまうという、未来の自給自足だ。これが普及すると、経済や職業の概念も大転換するだろう。経済的困窮は減り、経済的理由によらず、本当にやりたい仕事、本当に世の中のためになると思う仕事に力を注げるようになる。技術は副産物として富の不平等への道も作ったが、富の平等への道だって作れるはずだ。経済学者トマ・ピケティが理想とする世界は、技術によって作られるかもしれない。

■スマートフォンから「個人向け秘書ロボット」へ

三宅正史(会社員、55歳) 今のスマートフォン利用者は一人当たり100個ほどのアプリケーションをインストールして使い分けている。またアプリストア登録本数はグーグル、アップルとも数百万本もあり、新しいアプリとの出会いは多額の広告宣伝に依存せざるを得ず発展性が乏しくなっている(仕組みの限界)。そこで個々のアプリをマイクロアプリ化して一つの基盤に載せ、さらにAIを活用することにより、一人一人の、その時、その場、そのシチュエーションに合ったアプリケーション・情報のみを自動で提供し、すぐ行動に移せるように変えたい。即ちスマートフォンが個人向けの秘書に進化させ、更にロボット、音声認識や画像認識などと統合することによってGAFA、BATHを超える日本型の新しいロボットDXを生み出す。

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