未来面「やり方を変えましょう。」

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 日本経済新聞社は、読者や企業の皆さんと一緒に日本の課題について考え、議論する「未来面」を展開しています。今期のテーマは「やり方を変えましょう。」 革新的なアイデアをお寄せください。企業のトップが選んだ優れたアイデアは新聞紙面や日経電子版で紹介します。

リアルな世界で「動き」を実現したいバーチャルな発想とは?
読者の提案 内山俊弘・日本精工社長編

2021/2/22 2:00
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内山社長の提示した「『新しい暮らし方』、あなたは何を変えますか?」という課題に対し、多数の投稿をいただきました。紙面掲載分を含めて、当コーナーでその一部を紹介します。

■リアルなeスポーツ

石見 朋之(会社員、45歳)アスリートの動きを完全に再現できるロボットが現れると、今までのスポーツの常識が変わる。もし遠隔地にいる選手の動きと完全にシンクロでき、選手へもフィードバックできるロボットが実現すれば、リモートでもリアルな競技が実現できるのではないだろうか。アバターとして、自身の動きを再現できるロボットによる競技である。義手、義足、視覚補助装置などと連携させることができれば、五輪とパラリンピックを区別する必要がなくなるかもしれない。競技を規定すれば、eスポーツと、リアルの対戦も楽しめるようになるかもしれない。これらのために、動かすことと同時に重要なのが、動いたことを伝えるフィードバック(反応)である。べアリングの回転を関節の回転と同期できるセンシングとフィードバックの精度向上がバーチャルとリアルの競技に新たな次元を開くと考える。

■進むバーチャル商談

冨永 穂波(会社員、27歳)「バーチャル商談」によって、もっと気軽にモノを購入できる世の中になってほしい。既に生活雑貨のオンライン購入や、保険など目に見えない商品のオンライン商談が世の中では定着してきている。しかし家や車など高価な買い物はどうだろうか。一生に一度、数年に一度の大きな買い物をする際は、実物を自分の目で確かめてから購入したいと感じる人が多いだろう。そんな時に、バーチャルの世界であっても、実際に扉を開けて重さを確かめたり、エンジンやブレーキを踏んでかかり具合を確かめたり、床や壁に触れてみたり、リアルな動きの中で「五感」まで伝えられる技術が現実になればと思う。あたかもその場にいるような感覚で試すことができる「バーチャル商談」の技術が普及すれば、遠方の人や多忙でお店に行く時間が取れない人、高齢者など身体が不自由な人たちが、時間や場所にとらわれずに自由にモノを購入できるようになるのではないだろうか。

■スマホで金額実感

窪田 美礼(会社員、41歳)キャッシュレス社会が到来し、私たちは日々の買い物に現金を使うことが減っている。一日中、リアルな現金に触れることなく生活が成り立っている。カードやスマホさえあればよいという便利な生活になっている。しかし、私には悩みがある。それは、支払ったという実感が無いことだ。現金の受け渡しがないので、買い物をしてもお金が減ったという感覚が薄れてしまい、必要以上に買ってしまう恐れがあるのだ。そこで提案したいのは、支払いにリアルな重さを感じるスマホだ。スマホでは店頭で決済する際、音が鳴ったり、お知らせが届いたりするが、これを重量で知らせるのだ。しかも、使った金額に応じてどのくらい重くするかも事前に各自で設定できるようにしておく。これは、人によって金額に対する感じ方が違うからだ。こうして、決済の際に毎回数秒でも手に重みを感じれば、お金の大事さをより実感できるのではないだろうか。

【以上が紙面掲載のアイデア】

■高齢者のためのパワードスーツ

屋良 朝洋(海陽学園海陽中等教育学校中学2年、14歳) 私は、日常的な動作を助ける「パワードスーツ」が開発されることを願っている。これからの時代は医療の発達で高齢化が進み、高齢者がどんどん増える。だから、筋力が低下する高齢者のために、日常生活で身に付けて使えるパワードスーツが必要だ。今は建設現場や介護施設などにパワードスーツが導入されているが、日常的に使えるものはまだない。また、今あるパワードスーツは足腰のサポートだけのものが多く、手や足の細かい動きを助けるものが必要になる。ベアリングは、手足の動きを滑らかにサポートするために重要な役割を果たす不可欠な部品だと私は考える。パワードスーツを一社だけで開発することは難しいと思うが、日本のモノづくりの技術を集結し、日常生活で使える、一般市民向けのパワードスーツをつくってほしいと思っている。

いつもつながっていられるような方法を追求したい。

■天使の実現 

脇本 康裕(自営業、60歳)小さくて、静かで、優雅なドローンができてほしい。現在のがさつなドローンとは異なり、空中を漂う天使のように優雅なもの。アニメーションでは、小さな天使や肩に乗るペット、自律型ロボットといった魅力的なキャラクターは枚挙にいとまがない。しかしながら、現実のドローンは小型の室内用でもかなりの騒音と風をもたらすものであり、バーチャルな世界とは距離がある。研究レベルでは、太陽電池のみで作動する羽ばたきロボットやハチドリのようなロボットも発表されているものの、飛行時間や実用性には課題が多い。超小型で軽量なエネルギー源と動きを実現するアクチュエーター、なめらかで複雑に動く羽、それを支える軸受けが不可欠だろう。こうした飛行物体は環境への影響を最小限にしながら空間を行き来できるため、セキュリティや見守り、手に持たない情報端末などへの応用も考えられる。人知れず気がつけばそこにたたずんでいた、というのが理想である。

■バーチャルホスピタル

橋本 弘幸(会社役員、62歳)現在の医療・介護施設は、本来必要な療養施設ではなく、そこで働く有能な人材は労働集約型で、時間に追われ、治療や予防に持っている能力を発揮できていない。今後必要なのは、過去から未来へとつなぐ、ヘルス&メディカル・セキュリティーハウス (健院)だ。そこでは、世界中の医療データや論文などAIで分析・活用し、医療関係者が集団でWEBカンファランスを行い、情報を共有し、適切な治療やアドバイスをする。そのデータは個人がクラウド上で管理する。病院のカルテを無くせば、費用はじめ様々な利点が得られるはずだ。世界中にネットワークが広がり、24時間身体の情報管理を行い、毎日健康管理をする。年1回の健康診断で判断する時代は終わるだろう。近未来は、バーチャルホスピタルが一般化し、アース・ヘルスにつながり、SDGsの目指すところと考える。今般の新型コロナでも活躍できる。このことは早い段階で実現可能ではないか。

■移動式住居 

西村 雄一郎(会社員、47歳)現在の日本には多くの課題があるが、原因の一つは住居が固定化されていることではないだろうか。今は空想にすぎないが、巨大化したキャンピングカーのように容易に移動することができる住居が一般的になれば多くの課題が解決できると考える。毎年発生する台風や地震等の自然災害は災害そのものを無くすことはできないが、住居を動かすことで被害を最小限にすることができる。台風の接近がわかった時に安全な場所に移動したり、危険な場所から安全な場所に住居ごと移動して新たな街を形成することができたら面白い。また、現在は都会の土地に大きな価値があり、その土地に多額の出費が強いられるが移動式の住居が一般的化すればそのような概念も無くなる。更には季節ごとや年代ごとに好きな場所に住むことができるようになれば、人生も更に豊かになると考える。日本人が遊牧民のようになることもそんなに悪いことではなさそうだ。

■マジックハンド

田中 沙歩(早稲田渋谷シンガポール校2年、17歳)私のこれから実現してほしいものはマジックハンドの進化版だ。床の物を拾ったり遠くのものと取るだけでなく、伸び縮みが自由自在にできて伸ばして物を取った後つかんだものを反対の手まで届けられるなど、本物の手に近付いてほしい。私の母は私と妹よりも身長が低いためよく私や妹に上にあるものを取らせる。私はそれがとても面倒なので上にある重い物や取りにくい物でも安全にとれるマジックハンドが欲しい。本当に手が伸びるような感じだ。また、瓶を開けるのも苦手なので、瓶の蓋を開けられる機能も欲しい。普通のマジックハンドの機能に加え、重い物が軽い力で持てる、伸び縮みして上から荷物を安全に取れる、握力が上がる、そして軽量で携帯できる、この機能があれば誰でも使う場面はあるはずだ。お年寄りなら1人でできることが増えるたり、誰でも手の届く範囲を気にせず上の収納スペースを使えたりする。これがあればより広く空間を使えて便利だと思う。

■スーパースーツ

水楢 佳佑(駒沢大学グローバル・メディア・スタディーズ学部4年、22歳)「人間とロボットの融合」によって、人手不足の課題解決を実現してほしい。このアイディアは、等身大のロボットスーツを着用すると人間が出せる本来以上のパワーが手に入る。宙を舞い、パワーを調整し、しなやかで素早い動きを実現したい。従来のロボットと人間の関係は、人間がロボット(機械)を動かしていたが、このスーツを着用すると人間の意志で同時に動かせる。これは、映画「アイアンマン」と戦隊シリーズの「合体ロボ」から着想を得た。映画やドラマでは戦闘用に使われるが、特に労働集約的で重労働・危険区域の現場、将来的に人手不足が深刻化する産業での活用を提案する。私の叔父は林業の現場で働く。少子高齢化により、現場で働くほとんどが高齢者だという。頑丈で安全なスーツにより、性別や年齢に関係なく重いものを容易に運び作業の効率化が期待できる。スーパースーツが負担軽減や人手不足を解決し、さらなる社会発展に貢献してほしい。

■AI搭載の軽量タイヤ

渋谷 文美(会社員、34歳)一度通った段差は全て記憶し、スムーズに対応できるAI搭載の軽量型タイヤを実現したい。昨年第一子を出産、普段慣れた道をベビーカーで歩くと倍以上の時間がかかった。おしゃれな石畳、道路のつなぎ目、電車の乗降、どれもがベビーカーが躓く要因だった。こうした障害が無くなるのを待つのではなく、タイヤが変わればいいのにと何度も思った。イメージはAI搭載の「キャタピラー」のような軽量タイヤだ。どんな障害も一度通ったら全て記憶し、次に通る際は安全に走行できるようチェンジアップする。さらに求めるのは、ベビーカーだけではなく、車いすや救急車の搬送用ベッドに装着される未来だ。車いすの方が、補助無しで電車の乗降ができれば、思い立った寄り道もできるだろう。災害地で搬送用ベッドがスムーズに動けたら、より早く安全な場所へ辿り着くだろう。このタイヤで踏み出す一歩が、ワクワク・安全・安心できる一歩になってほしい。

■進化型電動スクーター

本江 エミリー(早稲田渋谷シンガポール校2年、17歳)シンガポールでは以前電動スクーターが普及した。便利で環境にも優しいので政府もその活躍を期待したが、事故などが多発して現在は使用が禁止されている。しかし、AI技術の導入によって安全面の強化ができれば、電動スクーターの再普及が期待できる。安全性を強化するため、電動スクーターにAIを組み込むことによって、危険察知センサーや衝突直前の自動ブレーキシステムなどを導入できる。さらに、自転車や歩行者専用の道路があるように、電動スクーター専用の道路を作ることで一層の安全性が見込める。また、車を買うよりコストが安いため手に入れやすい。自動車を動かすために必要なガソリンなどは、環境問題の一つの要因となる排気ガスを生み出すのに対して、電動スクーターは電気によって動くため、環境にも優しい。このように様々な面において利点が見込める電動スクーターの導入は、私達の生活をより良いものにする手助けとなると思う。

■歩く車椅子

鵜飼 信(会社員、38歳)社会の高齢化は日本のみならず、世界中でますます進行するだろう。そうなると車椅子の利用者も増えることが予想される。しかしながらバリアフリーの進展は未だに十分とは言えず、災害時の避難などを考えればバリアフリーだけを頼りにするわけにもいかない。そこで思い出すのがSF作品に出てくるような足の生えた椅子である。4本足や6本足で動き回りながら座った人の姿勢を安定させるには極めて高度な技術を要するが、最新のテクノロジーはこうしたニーズに追いついてきている。現実的には車椅子とハイブリッドにして、普段は折りたたまれ、必要時に展開するのが良いだろう。車椅子が倒れそうになったときに足を出して踏ん張ったり、暴走するのを食い止める機能も期待できる。さらにこの技術は車椅子だけでなく担架にも応用できる。がれきの散乱した災害現場で怪我人をスムーズに搬送するのに「歩く担架」は抜群の力を発揮するだろう。

■変形するエスカレーター

倉島 研(教職員、45歳)百貨店や大手家電量販店などの店舗、地下鉄を利用する際の階をまたぐ移動にはエスカレーターが便利だ。しかし、車椅子やベビーカーは通常利用できない。その際、代替の移動手段としてエレベーターが用いられる。ただ、待ち時間が付きものだし、定員いっぱいで乗れないことさえある。スペースを使い申し訳ないと思う利用者もいるだろう。そのような不便さを解消するため、歩行者と同じように利用できるハイパーメカニカルなエスカレーターを実現したい。乗ろうとする人のニーズに合わせて面積と形状を自動的に計算し、変形してスペースを確保する。微細な造形が可能なパーツの組み合わせにより、乗った後には転落防止のために隅も盛り上がる。普段はエレベーターを使用せざるを得ない人たちが、そのスムーズな流れと造形美に感動するだろう。

■メカ昆虫

曽田 昌弘(会社員、41歳)カナブンやキンバエなど金属光沢を放つ昆虫を見かけると、昆虫は実は機械なのではないかと思うことがある。機械だとしたら何と小さく軽く精巧な機械なのか。そして、はるか昔から存在していながら、まだまだ人間が解明できていない機械的構造が沢山あるそうだ。例えば、テントウムシが羽を折りたたむ構造が解明されたのは、ほんの数年前の話だ。この構造は、人工衛星のアンテナや折りたたみ傘の展開方法に応用できそうだという。そこで、リアルな世界で「動き」を実現したいバーチャルな発想として、人造のメカ昆虫を挙げたい。アニメなど架空の世界には昆虫型ロボットや昆虫の羽のような動きの飛行機が登場する。昆虫の機械的構造の解明が進めば、昆虫を機械として再現できるようになるのではないか。もし、メカ昆虫が再現できれば、輸送・交通手段が大きく変わるかも知れない。近年広まった無人航空機の「ドローン」だって、元来はハチを指す言葉なのだ。

■「説明書」の要らない世界

倉崎 朗(東洋大学経済学部4年、22歳)特撮やアニメでは、変わった武器やアイテムを説明書なしで使いこなす。中にはアイテムとつながって使い方が脳内に流れる描写もある。リアルな世界でもこれらの様に短時間で物を使いこなせるようになりたい。先日祖母が家族とLINEをするためにタブレットを購入した。しかし、このような情勢もあり直接教えることができないため、いまだに祖母とLINEで会話ができていない。おそらく、スマホやパソコンを上手く扱えないという人は私の祖母だけでは無いだろう。今後オンライン診療や自動運転車での健康診断など命に関わることの場合、スマホやパソコンを扱えないということは致命的だと考える。高齢者数の増加に伴い増加するのであろうこの問題を解決するためにも、特撮やアニメのように誰でもスマートに物を使いこなせるようになってほしい。このようなことが当たり前となり、「説明書」という言葉が完全に要らなくなった社会が実現してほしい。

■滑らかな介護支援機能

野口 裕太(教員、36歳)祖母が祖父のことを介護する様子を間近で見てきたが、介護は想像以上に重労働だった。目の見えない祖父の身の回りの世話をするのは、私たち健常者であっても難儀なことであるが、祖母のような高齢者にとってはなお大変なことである。しかし日本では高齢化が一層進み、老々介護がますます増えることが予想される。そういう時に、介護をサポートする機器があれば介護する方、される方、両者にとって幸せではないだろうか。現状では、介護支援ロボットは一般家庭に普及するには程遠いし、その機能性も限定的だ。ベアリングの技術を使って、利用者にとって快適な動きを補助する機器があれば多くの需要が見込まれると思う。介護は結局、人を相手にする仕事だから、よりソフトな、スムーズな動作が求められる。その滑らかさを実現するには高度な技術が求められることだろう。介護先進国の日本だからこそできる、ニッチな技術となるかもしれない。

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