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芸術と科学のあいだ(福岡伸一)

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一覧

長いDNA収納に自然の知恵 [有料会員限定]

固定電話のコード

 その「糸」の長さはだいたい2メートル。これをクルクルクルッと巻き取って、できるだけ小さな糸玉にしたい。指先が器用なあなたならどれくらい小さくまとめられるでしょうか? しかもすぐにまたほどけるよう上手…続き (2014/9/28 3:30)

口吻をらせんで収納、蝶の神秘 [有料会員限定]

 コンピュータや電気製品の配線。毛糸やつり糸。あるいは掛け軸や賞状。このようなもの―内部に銅線や繊維組織があり、できるだけ、折ったり、傷つけたり、負荷をかけたりしたくないもの―をコンパクトに“収納”す…続き (2014/9/21 3:30)

建物と渓流の滝が生む吸引力 [有料会員限定]

 残り少ない人生。生きているうちに一度は訪れてみたい場所というものがある。とはいえ、実際に行くチャンスがなかなかやってこないまま、さまざまに想像をめぐらせながら心の中で転がしているときが一番楽しい時間…続き (2014/9/14 3:30)

らせん建築、流れゆく動線 [有料会員限定]

ニューヨーク・マンハッタンにあるグッゲンハイム美術館の内部

 サルトルは、ニューヨークは散歩する街ではない、という趣旨のことを書いている。縦線と横線からなる人工的なグリッド都市であるニューヨークは、自分の現在地を知り、行き先を告げるには合理的な街だが、どの通り…続き (2014/9/7 3:30)

らせんの美しさ残す化石 [有料会員限定]

 らせんの美しさを競うとき、アンモナイトの右にでるものはない。それは優雅ならせんに沿って放射状に配置される連続した節の造形の精密さによる。アンモナイトは殻を化石として残したが、その柔らかい身体は完全に…続き (2014/8/31 3:30)

移ろう世界 表す草の十字架 [有料会員限定]

 ケルト文化を研究する美術文明史家の鶴岡真弓さんとお話したときのこと。アイルランド・ギルデアの大聖堂に伝わる聖ブリギットの十字架の存在を教えてもらった。灯心草(イグサの一種)で作られた素朴なもので、一…続き (2014/8/24 3:30)

生命の連続性示すらせん文様 [有料会員限定]

 生命の営みを眺めると、そこにはたえず循環のリズムが満ちあふれていることに気づく。一日、ひと月、一年。そこには覚醒と睡眠のリズムがあり、生理周期があり、発生と成長と交代の消長がある。
 しかしいずれのリ…続き (2014/8/17 3:30)

らせんの塔が表す傲慢さ [有料会員限定]

 巻貝(まきがい)、アサガオのつる、蝶(ちょう)の口吻(こうふん)、鳴門の渦潮、台風の目、銀河系、あるいはDNA。ミクロからマクロまで世界には、らせんが散在している。らせんという形の本質はなんだろうか…続き (2014/8/10 3:30)

絵画修復とは情報の上書き [有料会員限定]

写真提供=Centro de Estudios Borjanos/AP

Centro de Estudios Borjanos/AP

 絵画の修復とは何だろう。それは端的に言えば情報の上書きである。そのときオリジナルは消える。
 このニュースは2年ほど前、世界中に配信されたのでご存じの方も多いと思われるが、“事件”はスペイン北部、サラ…続き (2014/8/3 3:31)

色褪せた名画の背景にある哲学 [有料会員限定]

 ウィーンのマリア・テレジア広場。自然史博物館に対面して立つのが美術史美術館である。外観は同じなのに、建物の内部は対照的だ。質実なつくりの自然史博物館にくらべ、美術史美術館の壮麗さは際立っている。精巧…続き (2014/7/27 3:30)

ヒトが初めて作った美の形 [有料会員限定]

 ウィーン市内の中心部、マリア・テレジア広場に立つと、ほぼ同じかたちの左右対称の大きな建物が、相向かい合って立っている。美術史美術館と自然史博物館。観光客の多くは、ブリューゲルの「雪中の狩人」や「バベ…続き (2014/7/20 3:30)

ネアンデルタール人は何者か [有料会員限定]

 以前、金印の真偽判定に、目立たぬところを少し削り取って微量元素組成を解析する案を書いたが、現実的には天下の国宝に傷をつけるなど到底許されるはずはない。ところが同じようなことが、激しい抵抗をはねのけて…続き (2014/7/13 3:30)

円銀の龍、時代の奔流と対峙 [有料会員限定]

明治18年(1885年)発行の1円銀貨(日本銀行金融研究所貨幣博物館蔵)

 金印の話が出たので―金印とは比べるべくもないが―手前味噌ながら私のちょっとした銀のコレクションについて語ってみたい。今、一円玉といえば水に浮かべることができるほど軽い、文字通りチープなアルミ貨となっ…続き (2014/7/6 3:30)

卑弥呼が授かった金印、いずこ [有料会員限定]

卑弥呼の墓との説がある箸墓古墳(奈良県桜井市)

 「漢委奴国王」の金印に真贋(しんがん)論争があることは前に触れたが、金印の由来や年代を確かめることの難しさについて付け加えたい。この金印は、すでに蛍光X線分析という非破壊検査が試みられ、金の含有率が…続き (2014/6/29 3:30)

競売に出る まだ見ぬ「聖女」 [有料会員限定]

 ちょっとした大ニュースを耳にした。世界に37点しか現存していないフェルメール作品のひとつ、『聖女プラクセデス』がなんと売りに出されるというのだ。ロンドンで7月上旬、クリスティーズのオークションに姿を…続き (2014/6/22 3:30)

金印、真偽の謎を越え燦然と [有料会員限定]

金印の複製(アフロ提供)

アフロ提供

 バランス、対(つい)、版画、鏡文字、印影。そんなキーワードで世界の芸術と科学の足跡を眺めてきたが、印影といえば、わが国にもたいへんなお宝がある。
 それは福岡市博物館奥の特設ガラスケース内に鎮座してい…続き (2014/6/15 3:30)

鏡文字に込めた天才の思惑 [有料会員限定]

ダ・ビンチのレスター手稿(写真提供=PPS通信)

PPS通信

 レオナルド・ダ・ビンチは万能の天才であると同時に、極度の完璧主義者でもあった。その証拠に、彼はなかなか仕事を完成させることができず、最後まで仕上がった作品は、「モナ・リザ」や「最後の晩餐(ばんさん)…続き (2014/6/8 3:30)

活字の聖書、知の革命起こす [有料会員限定]

 メトロポリタン美術館からマンハッタンを南に下ると、モルガン・ライブラリーが現れる。JPモルガンの祖、ジョン・ピアポント・モルガンの個人邸と図書館からなるルネサンス様式建築で近年、レンゾ・ピアノによる…続き (2014/6/1 3:30)

人々が敬愛する太古のカバ [有料会員限定]

 大英博物館にあるデューラーの見事なサイの絵で思い出したのが、カバのことである。話は一挙に大西洋を渡る。私は今、ニューヨークで留学生活を送っているのだが最も心おどることは、いつでもメトロポリタン美術館…続き (2014/5/25 3:30)

脱ぎ捨てられたサイの甲冑 [有料会員限定]

The Bridgeman Art Library/アフロ

The Bridgeman Art Library/アフロ

 大英博物館に来たならば、あのアイコニックなアイドルにも挨拶しておこう。建物に似てどっしりと、それでいてどこかユーモラスなたたずまいで、それはじっと立ちすくんでいる。
 1515年、リスボンに、はるばる…続き (2014/5/18 3:30)

時空を超えた文字の存在感 [有料会員限定]

大英博物館にあるロゼッタストーン  (c)Trustees of the British Museum/amanaimages

 ロンドン・グレートラッセル街に聳(そび)え立つ大英博物館に行く。正面玄関を抜けて館内に入ると一挙に広々とした明るい天蓋構造と巨大な円形閲覧室をもつグレートコートに出る。左手の方からはざわめきが聞こえ…続き (2014/5/11 3:30)

憧れの蝶の完模式標本 [有料会員限定]

アレキサンドラトリバネアゲハの雄 (C)KAZUO UNNO/SEBUN PHOTO/amanaimages

 昆虫少年だった私は、あきもせず図鑑ばかり眺めて暮らしていた。家にあった図鑑シリーズは、昆虫の巻だけがすり切れ、あとは新品同様だった。だからいまだに私の知識は昆虫方面に偏っており、花の名も鳥の名も知ら…続き (2014/5/4 3:30)

雌雄のトンボが描くハート型 [有料会員限定]

写真:Blickwinkel/アフロ

 二頭の蛇がラセン状に絡まり合う意匠は、古くから伝わるカドケウスと呼ばれるものだ、と教えてくれたハーバードの老教授はこんな風にも言った。でも、もし二頭の蛇が雄と雌だとすれば、このシンボルは別の意味を帯…続き (2014/4/27 3:30)

一対の蛇、均衡・互恵の象徴 [有料会員限定]

一橋大学の校章も二頭の蛇が巻きついた杖を図案化している(提供=一橋大学)

 美しいDNAの二重ラセン構造の例えとして、私は以前の回で、これを二頭の蛇が絡まりあっている様子、と説明してみたのだが、実は、一対(つい)の蛇が均整をとって互いに巻きついているというイメージは、ワトソ…続き (2014/4/20 3:30)

すべては500年前の絵の中に [有料会員限定]

アルブレヒト・デューラーの「メランコリアI」(提供=Alamy/アフロ)

 ドイツ・フランクフルトにあるシュテーデル美術館とフェルメール作『地理学者』をめぐる謎、顕微鏡的世界、結晶、あるいはこの世界における対(つい)のあり方について、つらつらと眺めてきたが、実はこの美術館に…続き (2014/4/13 3:30)

建物と生物、中心軸を考える [有料会員限定]

国連大学本部(東京都渋谷区)

 私は現在、青山学院大学に教授として奉職しているが、都会の風が吹き抜ける青山通りに面した緑豊かなこの場所は、日本で最もおしゃれなキャンパスである、と自慢しても罰はあたるまい。正門から中にはいると銀杏(…続き (2014/4/6 3:30)

NYの空、対の均衡が消えた [有料会員限定]

 ニューヨークという街は、たった一本の単純な線で表すことができる。羊羹(ようかん)をななめに切ったようなシティグループセンター、曲線で縁取られたファサードを持つクライスラービル、どっしりと聳(そび)え…続き (2014/3/30 3:30)

DNA 対の構造を愛する [有料会員限定]

 対(つい)ということに関して、すこし考えてみたい。20世紀最大の発見のひとつは、DNAの二重ラセン構造の解明だった。これを成し遂げたF・クリックは当時37歳、J・ワトソンはわずか25歳だった。今から…続き (2014/3/23 3:30)

結晶の美を追ったパスツール [有料会員限定]

パリ・パスツール研究所前に立つパスツールの胸像

 水の中に溶けている多種類の分子はふつう自由にランダムに運動しているが、特殊な条件―温度が下がるとか、水が蒸発して濃度が上がるとか―が与えられると、同一の分子同士が集合し、規則正しくきちんと稠密(ちょ…続き (2014/3/16 3:30)

染色体の手品 解き明かす [有料会員限定]

二極に分かれる染色体
=写真 田村洋一/アフロ

 ロンドンにある王立協会の総裁ポール・ナース卿について、ここでぜひ触れておきたい。彼のなしたことは、ある意味で、20世紀最高の科学的達成だった。
 生命は常に増殖しようとし、細胞は分裂してその数を増やす…続き (2014/3/9 3:30)

観察スケッチ描いたのは… [有料会員限定]

レーウェンフックが描いた毛根のスケッチ(英王立協会蔵)=撮影 小林廉宜氏

 その日、私はロンドンの王立協会の書庫を訪ねた。王立協会は17世紀半ばに設立され、いまも続いている世界最古の学会組織。顕微鏡の始祖アントニ・レーウェンフックの観察記録はここに秘蔵されている。レーウェン…続き (2014/3/2 3:30)

地理学者は画家の友か [有料会員限定]

Artothek/アフロ

 蝶(ちょう)の翅(はね)。色とりどりの鱗粉(りんぷん)。顕微鏡の世界。アントニ・レーウェンフック。17世紀のオランダ・デルフト――と探求の歩を進めた私は、そこでヨハネス・フェルメールを知った。レーウ…続き (2014/2/23 3:30)

顕微鏡にオタク魂 [有料会員限定]

 子どもの頃、私は虫の虫だった。ものごころつくと、少年は、ロボット・鉄道・プラモデルといったメカ系に行くか、虫・魚・化石といった自然系に行くか、いずれかの道をたどるものだが、私の場合、気づいたときには…続き (2014/2/16 3:30)

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