日本経済新聞社

記事利用について
印刷 印刷

ネット新潮流「IoT」 700兆円生む インフラまでつなぐ

2014/6/17付
ニュースソース
日本経済新聞 電子版

米マイクロソフトは家電からインフラまであらゆる機器やシステムがインターネットにつながる「IoT(インターネット・オブ・シングス)」に対応した新戦略に乗り出す。基本ソフト(OS)を無償にし、今夏から企業向けに専用のサービスを提供し始める。IoT関連市場は2020年に700兆円を超すとされる。巨大市場を狙い、IT(情報技術)大手のサービス競争が激しくなりそうだ。

「機器をネットにつなげて情報を活用してこそ価値が生まれる」。日本マイクロソフトの加治佐俊一最高技術責任者(CTO)は16日、マイクロソフトのIoT戦略説明会でこう強調した。

IoTとはスマートフォン(スマホ)だけでなく、住宅や自動車などにもセンサーを搭載し、あらゆるモノがネットにつながること。効率よく一元管理しコストを下げられるほか、新サービスを生み消費者の生活を変えると期待されている。

米シスコシステムズによるとネットにつながる機器の数は15年に250億個、20年に500億個に達する見通し。米IDCの予測では、関連機器やソフト、サービスの市場規模は20年に7兆650億ドル(約720兆円)に膨らむという。

■来月にも試行版

マイクロソフトの戦略は明快だ。IoTで使う組み込み用OS「ウィンドウズ エンベデッド」を無償にした。現在もPOSレジやATM、自動販売機などに搭載されているが、これをあらゆる機器に広げる。無償化で新たな市場をいち早く押さえる狙いだ。さらに7月にも、センサーを搭載した端末をネットワークにつないで管理し、データを収集・分析できるクラウドサービスの試行版の提供を始める。

マイクロソフトと組む事例も出始めた。例えば、ソフトバンク子会社が開発したネットとつながる本棚は、無線で客のスマホにお薦めの本の紹介情報を送り、将来はどんな客がどの本を手にしたか情報を集められる。今夏から紀伊国屋書店で試験展開する。ソフト開発ベンチャーのコムツァイト(鹿児島県鹿屋市)は住宅の中にセンサーを多数つけて高齢者を見守るシステムを開発した。

■英地下鉄を管理

ロンドンの地下鉄ではマイクロソフトが協力し、照明や空調、エスカレーターや監視カメラなどの機器の情報を一元管理できるシステムを開発中だ。地下鉄にかかわる様々なデータがパソコン上に集められ、異常の予知などができる。

マイクロソフトの新サービスは、ウィンドウズOSを搭載した機器だけでなく他社のデバイスもつながるようにしたことが特徴。自社OSにこだわりすぎて失敗したモバイルの経験を生かした。

タブレットやパソコン販売のほか、データベース関連のソフト、クラウドサービスの利用料などで収益を稼ぐ狙いだ。

(深尾幸生)


本サービスに関する知的財産権その他一切の権利は、日本経済新聞社またはその情報提供者に帰属します。また、本サービスに掲載の記事・写真等の無断複製・転載を禁じます。