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中国共産党、メディア・ネット統制強化へ
大衆紙など統合整理

2011/10/26付
ニュースソース
日本経済新聞 電子版

中国共産党が「文化体制改革」を名目に、新聞やテレビなどメディアやインターネットへの統制強化に乗り出す。党の指導によって大衆紙に整理・統合を促すほか、有害情報の取り締まりなどの理由でネット管理に関する法制も強化する。中東諸国の政権を崩壊させた民主化運動「アラブの春」の影響もあり、中国指導部の社会秩序の維持への危機感を浮き彫りにしている。

7月の高速鉄道事故ではネット上で政府の対応への批判が相次いだ。社会格差が拡大する中で国民に不満が高まるのを抑制し、2012年からの次期指導部への権力移行を円滑に進める狙いもありそうだ。

中国メディアは26日、共産党が第17期中央委員会第6回全体会議(6中全会)で18日に採択した「文化体制改革の深化と社会主義文化の発展・繁栄に関する決定」の全文を掲載した。

ネットについては「普及によって世論を正しく誘導する力が低下している」と指摘し、ニュースサイトやミニブログなどを念頭に言論統制を強化する方針をにじませた。低俗情報の取り締まり強化やネット管理業者への監督強化も盛り込んだ。

中国は「金盾工程」と呼ばれるシステムでネットや通信を監視。政府批判の書き込みがあれば自動的に削除したり検索できないようにしたりするほか、海外との接続を遮断することも可能だ。

これに対し、米通商代表部(USTR)は米国企業が中国国内でのウェブサイトの閲覧制限で被害を受けていると主張。中国政府に17日、海外のサイトを遮断する場合の指針や基準について詳細な情報提供を求めた。

採択文書は新聞などへの統制では「世論を正しい方向に誘導することは党と人民の幸福だ」と強調。党機関紙や通信社、テレビを主体に情報提供していくとする一方、都市部の大衆紙やネットメディアは整理・統合する方針も明記した。

中国の新聞社数は全土で約3000社とされる。党関係者は「明らかに乱立状態であり合理化が必要だ」と述べ、2~3年かけて社数を減らす考えを明らかにした。

北京の地元紙「新京報」は、9月3日付の紙面(右)から主管が変わった(左は2日付の紙面)

北京の地元紙「新京報」は、9月3日付の紙面(右)から主管が変わった(左は2日付の紙面)

ただ、社数削減の目的の一つは中央政府が統制しやすい体制づくりとみられる。党や政府に批判的なメディアが整理対象となるのは必至。北京では、高速鉄道事故で政府を批判していた地元紙「新京報」など2紙が9月から北京市共産党宣伝部の直接管理下に置かれた。

共産党幹部は「この10年の課題は経済安定だったが、来年から10年は社会秩序の安定だ」と述べ、次期指導部の課題にネット規制など社会管理の強化を挙げた。メディアへの統制強化は今後ますます進むとみられる。

ただ、党内部からは異論も聞こえる。党機関紙の人民日報は17日に「群衆の監督だけでなく、群衆の新しい方式にも慣れるべきだ」との記事を掲載。「ミニブログなどの国民の声を敬遠せず、うまく適応することこそ賢明な選択だ」と強調した。(北京=島田学)


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