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USハイ・イールド・ファンド、今後は積極運用へ 売れてるファンドはいいファンド?

2011/12/12付
ニュースソース
日本経済新聞 電子版

 個人投資家に人気の投信を毎回1本取り上げ、ファンドアナリスト・吉井崇裕がその良しあしを分析するのが、今回から始まった当連載だ。第1回は、米国ハイイールド(低格付け)債券で運用する「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」を採り上げる。

「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」(フィデリティ投信)の概要と分配実績

「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」(フィデリティ投信)の概要と分配実績

類似投信に対する超過リターンの推移

類似投信に対する超過リターンの推移

 ハイイールド債券は、債券でありながら株式に匹敵する高いリターンが魅力で、中長期的なリターン/リスクの効率性は、株式や他の債券を上回る傾向にある投資効率の高い資産だ。フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの純資産残高は類似投信の中で最も大きく、設定来13年間の運用成績は、類似投信の平均を20%以上、上回っている(折れ線グラフを参照)。

 良好な運用成績の要因は、逆張り的な銘柄選択にある。市場環境が良好かつ割安なときは、ベンチマークおよび類似投信と比べて、格付けの低い(B格、CCC格)銘柄を多く保有する傾向にある。一方、市場が割高なときには保守的な銘柄構成になる。

格付け別組み入れ状況

格付け別組み入れ状況

 こうした運用を可能にするのは、何といっても充実した運用体制だ。運用責任者は業界でも最古参の一人で、経験豊富。運用チームも業界最大規模を誇る。また、ハイイールド債券の運用は株式運用に通じるところがあり、株式の企業調査で定評のある同社の得意分野といえる。例えば、企業の格上げ予測につながる成長性の分析は、株式チームの膨大な企業情報に支えられている。割安度の分析では、企業の財務面を徹底的に調査する運用チームの経験が生かされている。

 フィデリティは、「不安定な市場環境下でも米国企業の業績は好調。市場の過熱感も解消された」との見通しから、今後、積極的な運用にシフトする方針だ。市場心理が悪化する局面では短期的に大きく下落する可能性はあるが、市場が落ち着くにつれて類似投信を上回る成果が期待できるだろう。

吉井崇裕(よしい・たかひろ)
 独立系FP法人ガイア ファンドアナリスト。モーニングスター、三菱アセットブレインズ、投信運用会社などを経て現職。運用、評価分析、販売など投信業界に精通。http://www.gaiainc.jp/

[日経マネー2012年1月号の記事を基に再構成]


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