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「活断層の真上にマンションは危険」、大阪で周辺住民が提訴

2011/8/26付
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日本経済新聞 電子版

マンションの建設現場。丘陵地を切り土した斜面に、縦じま模様の地層が見える(写真:住民提供)

マンションの建設現場。丘陵地を切り土した斜面に、縦じま模様の地層が見える(写真:住民提供)

 敷地内には活断層がある。その上にマンションを建てると、地震時に倒壊する恐れがある――。

 大阪府豊中市で工事中のマンションを巡って、周辺住民29人が2011年8月23日、建築の差し止めを求めて大阪地裁に提訴した。

 訴えられたのは、マンションの建て主であるユニチカエステート(大阪市)と、施工している東急建設。両社は約6000m2の敷地に、鉄筋コンクリート造で地下2階、地上12階建て、計140戸のマンションを計画。8月下旬時点で、低層階の躯体(くたい)工事などを進めている。

 敷地内には、砂と泥が交互に堆積してできた地層がある。工事で丘陵地を切り土したところ、各層の境界面が急傾斜となった縦じま模様の地層が現れた。

 訴状によると、こうした地層は直下に大規模な逆断層が存在する証拠だと、原告の住民らは指摘。国土地理院がまとめた都市圏活断層図でも、敷地の近くに仏念寺山(ぶつねんじやま)断層と呼ばれる推定活断層が通っていると訴えた。

地層の境界面がほぼ垂直になっている(写真:住民提供)

地層の境界面がほぼ垂直になっている(写真:住民提供)

■断層が動くと地表面に3mの段差

上町断層帯の活断層の位置とマンションの建設地。地震調査委員会の資料に日経アーキテクチュアが加筆した

上町断層帯の活断層の位置とマンションの建設地。地震調査委員会の資料に日経アーキテクチュアが加筆した

 仏念寺山断層は、大阪府を南北に貫く全長約42kmの上町断層帯の北側に位置する。

 政府の地震調査委員会は2004年3月、上町断層帯全体が動いて地震が起こる確率は今後30年間で2~3%、規模はマグニチュード7.5程度と評価した。国内の活断層の中では、地震の発生確率が高いグループに属する。

 さらに同委員会は、上町断層帯が動くと地表面に段差やたわみができ、東側が西側に比べて相対的に3mほど高くなる可能性があると指摘した。

 原告の住民らは、地震の揺れに加えて地表面に段差が生じると、建物が倒壊する危険があると主張。活断層の上に建つマンションは構造耐力上、安全なものとはいえず、建築基準法の規定を満たしていないほか、周辺住民が平穏に生活を営む権利を侵害していると訴えた。

 一方、被告のユニチカエステートなどは、事前の地盤調査の結果、マンションの敷地内に活断層はないと主張している。

 裁判では、敷地内に活断層が存在するのかどうか、建物の安全性を確保できるのかどうかなどを巡って争われることになりそうだ。

(日経アーキテクチュア 瀬川滋)

[ケンプラッツ 2011年8月26日掲載]


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