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ガンホー社長が明かした「パズドラ」ヒットの舞台裏 TGS2013

2013/9/20 15:11
ニュースソース
日本経済新聞 電子版

ガンホー・オンライン・エンターテイメントのスマートフォン(スマホ)用ゲーム「パズル&ドラゴンズ」(パズドラ)。すでに日本国内で1900万ダウンロードを記録し、2000万ダウンロードの大台達成も目前に迫るほどの大ヒットとなっている。

東京ゲームショウ2013初日の幕開けとなる「TGSフォーラム2013基調講演」に、同社の森下一喜社長が登壇。「パズドラ」を大ヒットに導いた要因や、ゲーム制作においてガンホーがこだわっているポイントなど、これまで多く語られることのなかった「パズドラの舞台裏」を明かした。

「パズル&ドラゴンズ、大ヒットの秘密」をテーマに、ガンホー・オンライン・エンターテイメントの森下一喜社長を招いて基調講演が実施された

「パズル&ドラゴンズ、大ヒットの秘密」をテーマに、ガンホー・オンライン・エンターテイメントの森下一喜社長を招いて基調講演が実施された

大ヒットを記録しているパズドラだが、森下社長は「ゲームにあまり触れてこなかった人にも楽しんでもらえたのが特にうれしい」と語る。同社は、これまで家庭用ゲーム機用のゲームやパソコン用のオンラインゲームを手がけてきたが、パズドラの大ヒットにより、女性をはじめとするこれまでゲームに親しみのなかったユーザー層を獲得できたことに手応えを感じてるようだ。

■ヒットした理由は分析しない

ガンホー・オンライン・エンターテイメントの森下一喜社長

ガンホー・オンライン・エンターテイメントの森下一喜社長

パズドラが大ヒットした理由を問われると、「僕自身は、失敗したことの原因を分析することは大事だと思っているが、ヒットした理由を分析しようとは思わない。今回のパズドラの成功は、運によるところが大きいと思う。すばらしい開発チームに巡り会えたことや、多くの人にダウンロードしてもらえたこと、応援してくれる人が多かったことなどが幸運だった。パズドラがヒットしたからといって、決しておごることのないように努めている」と森下社長は淡々と語った。

ただ、ガンホーがゲーム作りのうえでこだわっている「直感的」「革新的」「魅力的」「継続的」「演出的」の5つのポイントは、パズドラの制作に当たってもしっかりと守ったという。

特に、すべてタッチパネルで操作するスマホでは、家庭用ゲーム機のコントローラーのボタンを押した時のような「触感から伝わる小気味よさ」が伝わらないため、ドロップ(画面上に表示される色とりどりの宝石)を動かした際に発する音や動きにこだわった。音や動きの演出が軽快さを感じさせ、飽きさせずに継続的にプレーさせる要因になっているのだ。

■ゲーム性高めた2つの転換点

また、森下社長は「開発時にパズドラの魅力を一気に高めたターニングポイントがあった」というエピソードを紹介した。「パズドラは、もともとスマホを横にして持つ横長の画面で制作していた。だが、ある日縦持ち用に作り変えてみると、親指が届く画面の下半分にドロップを集中して配置し、親指の届かない上半分にダンジョンの画面が配置でき、操作の軽快さやゲーム性が格段に高まった。電車のつり革につかまりながら片手で操作できるメリットも生じた」と、発想の転換が思わぬ効果を生み出したことを説明した。

基調講演のコーディネーターを務めた、日経BPヒット総合研究所 上席研究員の品田英雄

基調講演のコーディネーターを務めた、日経BPヒット総合研究所 上席研究員の品田英雄

パズドラのキモとなるドロップの動かし方も、開発の途中で発想を大転換したことが成功につながったと語る。実は、開発の初期段階では、ドロップは上下左右のいずれか1コマずつしか動かせなかったという。パズドラのプロデューサーを務める山本大介氏が「コマ数の制約なく、いろいろな方向に連続で動かせるようにしたらどうか」と提案した際、森下氏は「それではゲームが簡単になりすぎる」と、いったんは否定したと明かした。

しかし、動かせる時間に制限を設けることで、プレーヤーの焦りを招いて思わぬミスを誘ったり、何度も繰り返し遊ぶことで腕を上げたり、ビギナーでも偶然のラッキーなプレーができたりと、ゲーム性が格段に高まることを発見。これが、パズドラの楽しさを飛躍的に高めるきっかけとなった。

森下氏は「ゲーム制作には破壊と創造が大事」とし、「僕はパズドラという文化を壊していきたい」とも述べた。「いつまでも成功体験にこだわっていては、それを超えるものが生み出せずに失敗する。ゲーム業界は特に時代の動きが速くなっており、僕らはパズドラに縛られることなく、常に革新的なチャレンジをやり続けていかないといけない」と語り、基調講演を締めくくった。

(ライター 磯修)

[日経トレンディネット2013年9月19日付の記事を基に再構成]


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