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昼間は元気、なのに夜は落ち込む「非定型うつ」
日経ヘルス

2013/1/20 6:30
ニュースソース
日本経済新聞 電子版
 最近よく耳にするようになった「非定型うつ」。女性に多く、発症年齢が20~30代と若いのが特徴。1日の中に気分の浮き沈みがあり、炭水化物や甘いものが食べたくなることが多い。

■うれしいこと、嫌なことで気分が乱高下

定型うつ(典型的なうつ)の症状といえば、「眠れない」「食欲がない」「何をしても楽しくない」「朝は調子が悪く夕方にかけて少し良くなる」。

しかし、最近はこのような典型に当てはまらない「非定型うつ」が増えていると見る専門家もいる。他人からの批判や小言に大きく動揺して落ち込むが、楽しいことがあれば気分が良くなるというように、1日のうちで気持ちが大きく浮き沈みするのが特徴だ。

女性の患者数は男性の2~3倍、発症年齢は20~30代と若い。「非定型うつは、冬うつと同様に多眠・多食になりやすい。炭水化物や甘いものに対する渇望の症状が出ることが多い」(国際医療福祉大学三田病院精神科の平島奈津子教授)。

長時間眠っても疲れがとれず、朝起きられないため、「今日も何もできなかった」と、夕方ごろから自己嫌悪になり、不安、落ち込みが強くなってくる。しかし、自分が好きなことは楽しめるため、周囲の人には「ただのナマケ病だ」と、なかなか理解してもらえない。「非定型うつの人は、自分がうまくいかないのは周りが悪い、と思ってしまう傾向がある。会社に対する不満も『今の職場では正当に評価されない』といった葛藤を抱えている人が多い」とパークサイド日比谷クリニックの立川秀樹院長は言う。

考え方の癖や生活リズムの乱れなど、何らかの「なりやすさ」を持っている人が、ストレスをきっかけに発症するケースが多い。他人の評価を気にして、不安な人はなりやすいといわれている。また、セロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の機能低下も関与していると考えられている。

医師でも非定型うつと混同する 「適応障害」ってどんな病気?
 「落ち込んでいても、好きなことだけできる」ように見えることから混同されやすい非定型うつと適応障害。しかしこの二つの病気はまったく違うもの。適応障害とは大切な人との死別や会社、学校など、新しい環境やストレスにうまく適応できないこと。環境に慣れるか離れれば元気になる。「普通は6カ月ぐらいで環境に慣れて回復する。長引く場合は、うつの可能性が高い」(立川院長)。

【病院での治療】 SSRI、抗精神病薬のほか、感情調整薬も有効。薬以外では、その日の出来事を書き出して客観視する訓練の認知行動療法も効果的。

■相手の立場で考えるロールプレイ治療も

一般的にうつはセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどの神経伝達物質の機能低下が一因と考えられている。非定型うつも、冬うつと同様にセロトニン量を調整するSSRIを処方されることが多い。また、ドーパミンの働きを調整する抗精神病薬なども処方される。

「非定型うつの人は他人に言われたちょっとした言葉に傷つきやすいなど、人間関係に対して過敏なところがあるため、感情調整薬が有効なことも多い」(立川院長)。

非定型うつは、悲観的になりがちな「考え方の癖」を取ることが大切。一日の出来事を書き出して、客観的に見直し、悲観的な受け止め方を直す訓練「認知行動療法」が行われる。 

また、想像力を豊かにし、適切なコミュニケーション法を学ぶ。「病院のグループ療法では、患者同士が部下と上司役になって、わざと攻撃的な態度をとるロールプレイを行う。これにより、逆の立場だったらどう考えるかという想像力を養います」(平島教授)。相手の立場を経験し、理解することで「なぜキツい言葉を受けたのか」が納得でき、落ち着くという。

~非定型うつの治療病院で出る薬の例~

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
ストレスなどの影響で脳内の神経伝達物質・セロトニンが減少するのを防ぐ。パキシル、ルボックス、ジェイゾロフトなどが処方される。

抗精神病薬
 作用の強い安定剤。適応症状は幅広く、重度のうつ病や双極性障害、統合失調症などにも処方される。エビリファイやリスパダールなどもこの仲間。

感情調整薬
 イライラやあせりに効く。抗てんかん薬や抗躁薬が感情調整薬として使われることも。リーマス、テグレトールなどが処方されることも。

この人に聞きました

立川秀樹さん
 パークサイド日比谷クリニック(東京都千代田区)院長。筑波大学医学部卒業、同大学院博士課程修了。産業医を経て2007年より現職。「筋トレ中は頭がからっぽになっていい。私もやっています」
平島奈津子さん
 国際医療福祉大学三田病院精神科教授。東京医科大学卒業。精神保健認定医。「女性の場合、婦人科からの紹介で受診する人が多い。かかりつけの医師に、まず相談を」。

(ライター 竹島由起、日経ヘルス 羽田光)

[日経ヘルス2013年1月号の記事を基に再構成]


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